【レビュー】トレイルシューズとしては異次元のバウンス体験、「ANTA Guanjun AG Saker Speed RC」はまさに山を飛ぶハヤブサだ【Sponsored】


今まで履いたどのトレイルランニングシューズとも違う、驚きの走り心地です。

中国のスポーツブランド大手、ANTA(安踏)からお誘いをいただき、同社のアウトドア・プレミアムライン「ANTA GUANJUN(安踏冠军)」のトレイルランニングシューズをレビューしています。すでにレビューを公開した「Saker 3RC」は香港100の開催にあわせて発表されるスーパーシューズです。

今回は、第二弾として、ANTA Guanjunの最新作として注目されているもう一つのトレイルランニングシューズ、「AG Saker Speed RC」を実際にトレイルでテストしたレビューをお送りします。

ブランドが謳う「MAKING GREATER POSSIBLE(成就更高峰)」というスローガンは、実際のフィールドでどのような感覚として現れるのか? ロードのトップレーシングシューズの心臓部を持つこの「白いハヤブサ」の実力に迫ります。

一言でいえば「トレイルランニングシューズでも、ここまで攻めたモノづくりができるんだ」と衝撃を受けました。誰が履いても快適に楽しめる一足とはいえないかもしれませんが、自分の速さの限界を試したいというアスリートにとっては貴重な選択肢となりうる製品です。

AG Saker Speed RC の基本情報とポジショニング

AG Saker Speed RCは、ANTA Guanjunのトレイルライン「Saker(ハヤブサ)」シリーズの最新世代に位置するフラッグシップモデルです。最大の特徴は、ロードのトップレーシングシューズのテクノロジーをトレイル仕様にアレンジして搭載している点にあります。

  • 価格: 1599元(日本円で約33,000〜35,000円前後、ただし現時点で日本での発売予定なし)
  • 重量: 約255g(27.0cm / US9)、約232g(25.5cm / US7.5)
  • ドロップ: 6mm(ヒール 37.5mm / 前足部 31.5mm)
  • ミッドソール: 「n2Pro」システム(Nitroedge Pro + Nitroedge TPU Lite + フルレングスカーボンプレート)
  • アウトソール: Vibram Megagrip + Litebase + Traction Lug(ラグ深さ3.5mm)

DogsorCaravanで先にレビューしたSaker 3RCもカーボンプレートを搭載したレーシングモデルですが、両者の性格は異なります。筆者の主観で整理すれば次のようになります。

  • Saker 3RC: 前足部(フォアフット)での強力な反発を重視し、足指を使って地面を掴みながら進む感覚。テクニカルな路面への対応力も意識されています。
  • AG Saker Speed RC: 足裏全体から押し返すようなバウンス感と、ロッカー構造による自動的な「転がり」を重視。ロードシューズに近い感覚で、走れるトレイルでの高速クルージングに特化しています。

Speed RCは、Sakerシリーズの中でも特に「ロードランニングのスピードをそのまま山へ持ち込む」ことにフォーカスした、極めて攻撃的なハイブリッド・レーサーと言えるでしょう。

ファースト・インプレッション:「笑っちゃう」ほどの反発力

足を入れた瞬間、そして走り出した最初の一歩で、このシューズの性格は明白になりました。私の第一声は「一歩目からムニュッと沈んで跳ね返す。この反発力がもう、笑っちゃうぐらいすごい」というものでした。

足裏全体、かかとからフォアフット、つま先に至るまでが「反発の塊」のような感覚。先日DogsorCaravanでレビューしたSaker 3RCがフォアフット(前足部)中心の反発を特徴としていたのに対し、このSpeed RCは足裏全体から押し返してくる感覚があり、さらに一段階上の次元にあります。まるでトランポリンの上を走っているかのような、あるいは足元に強力なバネが仕込まれているかのような感覚です。

あまりの反発の強さに、「ここまでくると耐久性が犠牲になっているのでは」と心配になる程です。それほどまでに、素材のポテンシャルをギリギリまで引き出したような、強烈な弾力性が感じられます。

ロードのマラソン用厚底スーパーシューズを履いたことがあるランナーなら、「ああ、あの感覚がそのままトレイルシューズになったのか」と直感的に理解できるでしょう。アスファルトの上で感じるあの推進力が、土の上でも再現される驚き。まさに「ロードのスーパーシューズをそのまま山に持ち込んだ」という表現が最も適しています。これは単なる比喩ではなく、走行感そのものの本質を突いています。

もちろんアウトソールはVibram Megagrip の Litebase でしっかりとトレイル仕様になっています。

テクノロジーと走行感の融合:なぜこれほど進むのか

「n2Pro」ミッドソールとカーボンプレートの仕事

スペック上では、ミッドソールは上層に超臨界発泡フォーム「Nitroedge Pro」、下層に「Nitroedge TPU Lite」を配した二層構造(n2Pro)で、その間にフルレングスのカーボンプレートが挟み込まれています。

この構造は、特に「登り」で劇的な効果を発揮しました。 ロッカー構造(つま先が反り上がった形状)とカーボンプレートの剛性が相まって、階段や急坂を登る際、体重を前に預けてある均衡点を超えると、「テコの原理」のように「クッ」と体が前に押し出される感覚が得られます。

急登ではふくらはぎや大腿四頭筋を使って「体を持ち上げる」動作が必要ですが、このシューズは体重移動さえ行えば、カーボンプレートがそのエネルギーを前方への推進力に変換してくれるようです。自分の筋力をセーブしながら、シューズが体を前へ前へと運んでくれる――これは長い距離を走る上で強力な武器になります。疲労が蓄積したレース後半でも、フォームを維持しやすくなるという副次的なメリットも期待できます。

37.5mmの厚底は「不安定」か?

ヒールハイト37.5mmという数値は、トレイルシューズとしてはかなりの厚底です。一般的に重心が高くなれば、テクニカルな路面での接地感や安定性は犠牲になります。地面からの情報を足裏で感じにくくなり、捻挫のリスクも高まるのが常識です。

しかし、実走テストでの評価は「見た目ほどの不安定感はない」という意外なものでした。 木の根や岩の飛び出しを踏んでも、致命的なバランス崩れには至らない。もちろん、地面の情報をダイレクトに感じる薄底のシューズに比べれば、微細なコントロール性には譲る部分がありますが、「見た目ほどの不安定感はない」というのが正直な評価です。その秘密は、アッパーの「ホールド感」にあります。

ANTA独自の補強技術「Xian Fiber(弦科技)」を用いたアッパーと、足首を包み込むニットカラー、そして強力に締め上げられるクイックレースシステム。まるでソックスを履くように足首まで密着していて、足入れのフィット感がパーフェクトなのです。

これらが足を完璧にロックすることで、腰高なミッドソールをコントロール下に置くことに成功しています。
特に、斜面を横切るトラバースのようなシーンでも、靴の中で足が横滑りすることなく、しっかりと踏ん張ることができました。厚底のネガティブな要素を、アッパーの技術力でねじ伏せていると言えるでしょう。

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アウトソールと適正路面:スピードへの特化

アウトソールには信頼の Vibram Megagrip を採用。 岩や硬い木の根に対しては「吸い付く」「食い込む」ような粘り強いグリップを発揮し、ドライな路面での安心感は絶大です。濡れた岩場でもスリップを最小限に抑え、自信を持って足を置くことができます。

ただし、ラグの深さは3.5mmと浅めであり、ラグの数も間引かれています。これは泥捌けの良さと軽量化、そしてハードパックな路面での転がり性能を重視したスピード仕様であることを意味します。 深い泥(マッド)のコンディションや、柔らかすぎる土の急斜面では、ラグが路面に食い込みきれず「苦戦する場面があるだろう」と感じました。しかし、林道や乾いたトレイル、グラベルといった「走れる路面」では、この浅めのラグがロードシューズに近い軽快な足捌きを可能にします。地面へのひっかかりが少ない分、エネルギーロスが少なく、スムーズなピッチを維持できそうです。

結論:このシューズは誰のためのものか?

テストを経て見えてきた「AG Saker Speed RC」の適正距離とターゲットは明確です。

「走れるコース」のスペシャリスト

このシューズが最も輝くのは、テクニカルな難所が続く山岳縦走よりも、林道や整備されたトレイルが多い、いわゆる「走れる」コースです。 距離適性としては、その爆発的なスピードを活かせるショート(20-40km)はもちろんですが、厚底のクッションと推進力が後半の疲労をカバーしてくれるロング(60-80km)がまさに「スイートスポット」と言えるでしょう。この距離カテゴリーでは、脚へのダメージを抑えつつ、最後までスピードを維持することが勝負の鍵を握るからです。

ウルトラトレイルにおいては実力者にとっての「最強の武器」になる

さらに、100kmから100マイルのウルトラディスタンスにおいても、このシューズは強力な選択肢になります。 特に、ある程度の走力を持ち、シューズの反発を推進力に変えられる「履きこなす力」のあるアスリートにとっては、後半まで足を残しつつハイペースで引っ張ることを可能にする、かけがえのないパートナーとなるはずです。さらに終盤に入って疲労困憊の状態でも、シューズが「あと一歩」を前に進めてくれる感覚はウルトラランナーにとって精神的な支えにもなるでしょう。

おそらく、ロードやトラックでスピードのある陸上競技のトップ選手がトレイルを走るというシナリオでも、違和感なく履きこなせるのではないでしょうか。

ロードランニングのスピード感をそのままトレイルで再現したいランナーにとって、ANTA Guanjun AG Saker Speed RCは、中国から飛来した「記録を破るための」新たな選択肢です。これまでのトレイルシューズの常識を覆すような推進力を、ぜひ体感してみてください。

なお、残念ながらこの「AG Saker Speed RC」も、現時点では日本国内での発売予定はありません。入手するには中国や一部の海外市場から直接購入する必要がありますが、その手間をかけてでも体験する価値のある、強烈な個性を持った一足であることは間違いありません。

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