上州武尊山スカイビュートレイルが新定義「ハイマウンテンレース」を発表。これはトレイルランニングの分断ではなく深化である【ニュース解説】

 

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群馬県北部を舞台とする国内屈指の山岳レース「上州武尊山スカイビュートレイル」が、2026年大会に向けた大きなコンセプト刷新を発表しました。

新たに掲げられたのは「High Mountain Adventure(ハイマウンテン・アドベンチャー)」。そして、日本のトレイルランニングシーンに「ハイマウンテンレース」という新たなカテゴリーを定義するという、非常に意欲的な試みです。

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プレスリリースの中で、大会ディレクターの岸正夫氏はこの刷新について次のように熱い思いを寄せています。

「上州武尊山というフィールドが持つ本質的な価値を、より正確に伝えたいという思いから、今回のコンセプト刷新に至りました。“ハイマウンテンレース”は名称変更ではなく、私たちが何を大切にしている大会なのかを示す言葉です。日本百名山の山頂付近を走るというワイルドで特別な体験を、責任を持って次世代につないでいきたいと考えています」

発表された事実関係を紹介します。

大会概要と新定義

  • 開催日程: 2026年9月12日(土)〜13日(日)
  • エントリー開始日: 2026年3月1日(日) (※競技規則、参加資格等の詳細は公式ウェブサイトにて順次公開予定)
  • 新種目名:
  • ハイマウンテンレース HOTAKA (138km) ※旧称: スカイビュートレイル130
  • ハイマウンテンレース TONE (77km) ※旧称: スカイビュートレイル80
  • 「ハイマウンテンレース」の3要件:
  • 標高2,000m級の高山域を含むコースであること
  • 山頂付近や稜線部など、自然条件の厳しいエリアを通過すること
  • 天候、地形、行動判断を含めた総合的な山岳対応力が求められること

これまでの大会で一般的だった距離や累積標高といった数字を基準にした区分ではなく、高山環境そのものと向き合う体験価値を重視したカテゴリーとして再定義されています。

DogsorCaravan Analyst Note

先日のDogsorCaravanでも紹介したキリアン・ジョルネの論考は、競技の均質化が進む中で「山岳性(アルピニズム)」の喪失に警鐘を鳴らすものでした。今回の上州武尊山の「ハイマウンテンレース」という新定義は、この世界的潮流に対する日本の一大会からの誠実な応答と言えます。

これまで国内の大会難易度は距離や累積標高といった数値が主な指標でした。しかし、本大会が明文化した「総合的な山岳対応力」は、走力だけでなく、自立した登山者としてのリスクマネジメント能力を求めるものです。コースの厳しさをあえて言語化するこの手法は、自身のフィールド特性を最大化するシャープなブランディング戦略として評価できます。

一方で、こうした先鋭的な定義が里山トレイルやレース性やエンターテインメントに配慮したコースデザインとの間で二元論的な対立につながったり、コミュニティの分断を生むことは避けなければなりません。「ハイマウンテン」も「里山」も、トレイルランニングという一つのスポーツが持つ多様性の表れではないでしょうか。

今回の試みが、カテゴリー間に壁を作るのではなく、それぞれの「体験の質」を互いにリスペクトし合う契機となること。そして、日本のトレイルランニング文化がさらに成熟していくための、意味のある一石となることを期待したいところです。

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