【レポート】視界がAIとつながる日。重量わずか49gの「Rokid スマート AI グラス」がトレイルランニングの体験をどう変えるか / Rokid AIグラス新製品・日本戦略発表会

トレイルランニング中の撮影やルート確認、海外のトレイルにおけるコミュニケーションは、ランナーにとって常に切実な課題です。スマートフォンを取り出すために足を止めればリズムが崩れ、疲労した状態でのデバイス操作は大きなストレスを伴います。もし、ポールを握ったままの完全なハンズフリーの状態で、目の前のトレイルをそのまま映像として記録し、さらにはAIによるリアルタイム翻訳や情報アシストを視界の中で受けられるとしたらどうでしょうか。

2026年2月25日、東京・日比谷で開催された「Rokid AIグラス新製品・日本戦略発表会」にて、そのようなランナーの実用的なニーズに応え得る革新的なデバイス「Rokid スマート AI グラス」が日本市場向けにお披露目されました。

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本製品は、重量わずか49gという一般的なアイウェアと遜色ない軽さの筐体に、1,200万画素センサーによる一人称視点(POV)カメラ、GPT-5等の最先端マルチAIモデルとの連携、およびオフライン環境でも稼働する多言語リアルタイム翻訳機能を凝縮した最新鋭のスマートグラスです。グローバルAR企業であるRokid(ロキッド)と、日本の正規販売元となるフューチャーモデル株式会社が展開するこのデバイスが、トレイルランナーのパフォーマンスと体験をどう拡張するのか、発表会の内容から分析します。

限界を押し広げる「49グラム」の魔法

発表会の冒頭に登壇したRokid Inc.のGlobal General Managerである ゾロ・シャオ Zoro Shao 氏は、同社がこれまで11世代にわたるARグラスを開発してきた歴史を振り返りました。「私たちのロードマップは、本質的にAR業界の歴史そのものです」と語る彼の言葉を裏付けるのが、今回の新製品が達成した「本体重量49グラム」という驚異的な数字です。

Rokid Inc.のGlobal General Manager  ゾロ・シャオ Zoro Shao 氏

トレイルランニングにおいて、身につけるギアの重量とフィット感は、パフォーマンスのみならず安全性に直結するシビアな問題です。フューチャーモデル株式会社の代表取締役社長である 曲亮 (きょく・りょう)氏がプレゼンテーションで強調したのは、単に軽いだけでなく、長時間の着用を前提とした人間工学に基づく設計でした。極めて柔らかく設計されたエアマット式のノーズパッドや、マグネット式のクリップオンフレーム(視力矯正レンズ対応)とサングラスの採用は、過酷なフィールドで長時間行動するウルトラランナーにとっても、「安全装置」としての基準を満たす可能性を大いに感じさせます。

「一人称視点」が紡ぐ、新たなナラティブ

Rokid スマート AI グラスがトレイルランナーの表現を根本から変える最大の武器が、フロントに搭載された1,200万画素のSony IMX681センサーによる一人称視点(POV)の4K撮影機能です。

数日間に及ぶ過酷なロングトレイルの終盤には、ランナーの心身は極限状態に達します。これまでは文字や音声、あるいは立ち止まって撮影した写真でしか共有できなかったその瞬間の荒い息遣いや、視界に飛び込んでくる山の稜線を、このスマートグラスはハンズフリーで記録します。「声」で指示を出すだけで録画が開始されるこのシステムは、広大な山脈をを突き進むアドベンチャーランのような過酷な環境でランナーの精神的な葛藤や内面的なドラマを記録するのはもちろん、近くの里山を家族や仲間とゆっくりと歩く場合でも、かつてない強力な「アーカイブツール」となるでしょう。

さらに、Qualcomm Snapdragon AR1 Gen 1とNXP RT600というデュアルチップ構成により、消費電力を最適化。通常使用で8〜10時間というバッテリーライフを実現しつつ、テンプルの後部にマグネットで装着するわずか十数グラムの「カプセル充電器」を用いることで、行動しながらの連続使用も可能にしています。100マイルにも及ぶ超長距離のトレイルを踏破する上でのエネルギーマネジメントと同様に、デバイスの電源管理もスマートに解決されている点に、確かな技術的成熟を感じます。

世界のトレイルと繋がる「言語の壁」の崩壊

海外の壮大なトレイルへの挑戦には様々な準備と経験を積み重ねる必要があります。しかし、そこには常に言葉の壁が立ちはだかってきました。

Rokid スマート AI グラスには、89言語以上に対応するリアルタイム翻訳機能が搭載されています。曲亮社長によれば、他社の追随を許さない大きな特徴として、主要6言語(日本語・英語・中国語・ドイツ語・フランス語・スペイン語)の「オフライン翻訳」に対応している点が挙げられます。山岳地帯の電波の届かない山小屋やベースキャンプで、現地の人々や海外のハイカーが語りかける温かい言葉が、リアルタイムにレンズの視界の中に日本語の字幕として浮かび上がる。これは単なる利便性の向上ではなく、トレイルという共通の情熱を通じた「熱狂と感情の共有」を、国境を越えて実現する画期的な機能と言えます。

オープンエコシステムが広げる、トレイル保全とコミュニティへの貢献

後半のセッションでは、Rokid Inc.のHead of Developer Ecosystemである ウェイチー・ジャオ Weiqi Zhao (CHN) と、BS Code株式会社 取締役の 歌川英之 Hideyuki Utagawa (JPN) から、このグラスが単なるハードウェアではなく、オープンなAIエコシステム(GPT-5やGeminiなどと連携)であることが示されました。

介護や農業の現場において、ハンズフリーで事象を記録し、AIが分析してノウハウを蓄積していくという実証実験の紹介は、私たちに別の未来を想像させます。例えば、トレイルの整備やグループランの引率において、危険箇所の報告やルートの状況を走りながら記録し、即座に運営本部や仲間と共有する。走る行為そのものが、自然環境の保全や地域コミュニティへの貢献へと直結していく。Rokid スマート AI グラスは、そんな未来志向のプロジェクトを後押しするプラットフォームになり得るポテンシャルを秘めています。

今回発表された「Rokid スマート AI グラス」は、一部の新し物好きのための実験的な玩具ではなく、高度な専門知識とデータ処理能力をランナーやハイカーの身体と極めて自然に統合するデバイスだといえます。

この注目のデバイスは、クラウドファンディングプラットフォーム「Makuake」にて、明日2026年2月26日(木)11時より先行販売が開始されます。一般販売予定価格109,890円(税込)のところ、先行特別価格として79,990円からのラインナップが用意されているとのこと。

自らの限界に挑み、自然との対話を深めるトレイルランナーにとって、この49グラムのグラスがどのような「記憶」と「体験」を映し出してくれるのか。DogsorCaravanとしても、体験できる機会があれば引き続きその可能性に迫っていきたいと思います。

左からBS Code株式会社取締役の歌川英之、フューチャーモデル株式会社代表取締役社長の曲亮、Rokid Inc. Global General Managerのゾロ・シャオ、Rokid Inc. Head of Developper Ecosystemのウェイチー・ジャオの各氏。

左からBS Code株式会社取締役の歌川英之、フューチャーモデル株式会社代表取締役社長の曲亮、Rokid Inc. Global General Managerのゾロ・シャオ、Rokid Inc. Head of Developper Ecosystemのウェイチー・ジャオの各氏。

【Analyst Note:岩佐の視点】

今回の「Rokid スマートAIグラス」発表会で注目すべきは、単にヘッドマウントディスプレイが普通のメガネと同じくらいに小型化されたことではなく、「環境を理解し、ハンズフリーで操作できるAIアシスタント」がわずか49gのデバイスに収まった点です。

トレイルランニングの現場において、スマートフォンを取り出すという行為は、立ち止まること、あるいは転倒のリスクを意味します。しかしこのデバイスがあれば、ポールを握ったまま視界の映像を記録し、海外のランナーとリアルタイム翻訳で会話をし、さらには自分の体調やコースの状況を「音声」だけでテキストログとして残せます。

この「完全なるハンズフリー」の実現は、私たちメディアの人間にとっても、長時間の過酷な取材や執筆、情報収集における劇的なストレス軽減をもたらしてくれるはずだと、今からとてもワクワクしています。

また、スマートグラスの弱点であったバッテリー問題に対し、重量バランスを崩さずに装着できる「カプセル充電器」という物理的な解決策を用意してきた点も、長距離志向のユーザーや長時間の取材にはとても響くポイントです。

フューチャーモデル社による日本国内でのデータ保管・サポート体制も、海外製IoTデバイスに対する不安を払拭してくれます。

現在のGoogleマップ連携が、将来的にGPXデータのルートナビゲーションへと進化すれば、トレイルランナーの「必携装備」の概念を書き換える可能性がある画期的なアイテムとなる予感がします。

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