本日27日日曜日は、三鷹のステキアウトドアショップ、Hiker's Depotさん主催のHiker's Partyに参加。当方は日中にちょっと長めのジョギングをしたせいで少々疲弊気味。
Hiker's Party 2011 『秩父多摩甲斐国立公園を語ろう』
Sponsored link
今回は東京近郊のハイカーにとって最も身近なフィールドである、奥多摩、奥秩父について考えるということで、環境省、東京都のレンジャーの方、金峰、甲武信、雲取の山小屋の皆様がご参加。さらには、著名なアウトドアブロガーの皆様も参加され、初めてお目にかかって感激。当方、一人だと人見知り気味ですいません。
途中は奥秩父、奥多摩のトレイルに関するディスカッション。多少の感想と備忘は以下に続きます。
ディスカッションの際に時間が割かれたのは、トレイルの整備について。トレイルに倒木があったり、側面が削れて通行が危険だったり、木道、木段がもろくなっていたり土砂が流出して歩きにくくなっていたり、道迷いしそうなところに表示があれば安全なのに、藪が濃くなっていてトレイルを見失いやすい、と思うようなことはよくある。ではそうしたところの整備は誰がしているのかというと、現時点でははっきりしていないという。情報は環境省や都のレンジャーが拠点とされている野外センターなどの拠点に集まるがレンジャーの方が自ら対応できる案件は限られる(なんと広大な秩父甲斐多摩国立公園を担当する環境省のレンジャーは2人だという)。さらに、日本の山林の事情として、山林を全て国が所有しているアメリカとは異なり、利用者や所有者が複雑に入り組んでいるので、レンジャーと言っても勝手に手を出せるわけではない。一方、山小屋の皆さんは、自治体から委託を受けていたり、自分の小屋を訪れるお客さんの便利のために、といった事情を背景に最低限のトレイル整備をされている。これが日本のトレイル整備の全容で、それ以上の取り組みはない。
話は、一般のハイカーでもトレイル整備を手伝えたらいいんじゃないか、という意見が出ることになる。当方も自分も役に立てるならやりたいと思っていた。
しかし、上記のような実情を知れば、そうした個々のハイカーの善意が形になることは非常に難しいことがわかる。やったことがないが、倒木をどけたり木を切ったり、土砂をどけたり盛ったり、よく考えれば何も経験のない素人が善意だけで役に立てる余地は少なそうだ。さらには山林には様々な利用者や所有者がいるとすれば、そうした人たちに無断で整備をしてよいははずはない。
さらに大きな問題として、トレイル整備という時にどこまで手をかけるのか、という問題がある。倒木があるとしてもそれが自然の姿だとしたら、むやみに取り除いて良いわけではなかろう。でも、通りやすさを優先するならきれいに取り除きたい気もする。この辺りのレベル感が無条件にハイカーの間で共有できているとは思えない。
ディスカッションの後でも参加者の皆さんと少し話したが、結局、トレイル整備をはじめ、多くにのことはハイカー個人の善意だけでは動き出さず、そうした善意を取りまとめ、基準を共有できる仕組みを作り、関係者の皆さんと共有する仕組みが必要だということになる。何とも気の遠くなる話だ。
トレイルランでも、レース前のコース整備を参加者が手伝えればいい、という気がするのだが、こういう背景を知ると決して簡単なことではないことがわかる。主催者が人を集めてスコップやノコギリを用意すれば誰でも貢献できる、ということを実現するには多くの壁がある。しかし、だからといって取り組まずにいればいいことでもない。
なお、自然の姿を残すことの意味の違いを感じさせることとして、熊鈴のことが話題になった。アメリカのハイカーは熊が出るトレイルであっても、熊鈴など持たないという。それは、自然には熊がいるのであれば、熊こそそこで自然のままに生きることが優先されるべきで、そこに立ち入る人間は、自ら工夫して熊をはじめとする危険から自分の責任で身を守るべき、という考え方による。人間が自然界にはない熊鈴を鳴り響かせて、熊が自由に行動するのを妨げるなどとんでもない、ということになるそうだ。