いろいろありますが季節は桜の花咲く春。昨日土曜日は雨と風に見舞われるあいにくの天気だったが、鎌倉方面のトレイルを少し走ってきた。雨のトレイルも晴れた気持ちのよいトレイルとは違う趣があってよい。しかし、走った後の防寒対策が不十分だったせいか日曜の今日は鼻風邪気味。。
しかし風邪を引くためだけに雨の鎌倉に行ったわけではなく、走るときに着るレインウェアのテストのためでもあった。
Sponsored link
もちろん、雨の降る日にトレイルランなどしなければいいのだし、降られてもほんの数時間、どうせ汗をかいて濡れるのだから、軽くてコンパクトなウィンドジャケットがあれば十分、という考え方もある。
しかし、長距離の100キロ、100マイルのトレイルを、しかもレースを走るとなれば話は違ってくる。UTMBでもこの点は今年からレギュレーションが強化されており、上下のレインウェア(waterproofのウェア)を持つことが必須とされている(下半身については足を完全に覆うタイツやパンツとは別にwaterproofのovertrouserをもつこととされている)。ナンバーカードの受け取り時にチェックされるとのことなので、あまりいい加減にはできない。
http://www.ultratrailmb.com/page/16/r%C3%A9glement.html
– jacket with hood and made with a waterproof (recommendation: minimum 10,000 Schmerber) and breathable (recommendation: RET lower than 13) membrane (Gore-Tex or similar) which will withstand the bad weather in the mountains.
– waterproof over-trousers
というわけで、上下の防水性のあるレインウェアを持つ必要があるわけだが、普通にアウトドアショップで売られているものは登山、ハイキングが想定されており、重くて動きにくい。一方、今シーズンから各メーカーはこのあたりのニーズを踏まえて新製品を発売している。
まずはThe North Face。トライアンフ・アノラックがアップデートされ、防水メンブレインに2.5層素材のGoreTex Paclite、表面の生地にPertex Quantum GLで170gという意欲的な製品に。ただしお値段も意欲的。アノラックなのでジッパーは胸のみ(一般にジッパーは下まであるものより胸のみのアノラック、プルオーバー、スモックタイプの方が軽量になる)。下半身のズボンはないので、別途探す必要がある。
トライアンフ アノラック|ザ・ノース・フェイス [THE NORTH FACE] 公式通販サイト
次いでHaglofs。Intense SeriesのOZO Pulloverは昨年から色だけ変わって継続されている。防水メンブレインに2.5層素材のGoreTex Paclite、Lサイズ180gということで上のTNF/トライアンフ・アノラックとほぼ同等ということになるか。ただしはTNF以上に意欲的。こちらも下半身のズボンはないので、別途探す必要がある。
HAGLOFS ホグロフスオフィシャルサイト 11 Spring/Summer OZO PULLOVER
Patagoniaで最軽量のレインウェアとなるとM10 Jacket。防水メンブレインにはpatagonia独自のH2N0の3層素材を使っているが非常に軽くしなやかで肌触りがよい。ただしお値段はさらにさらに意欲的。重量は3層でジャケットタイプの製もあって323gと上の二つには及ばない。どちらかというとトレイルランよりもシビアなクライミングに向くレインウェアということになりそう。こちらは同素材のパンツあり。
パタゴニア:オンラインショップ:メンズ・M10ジャケット:M’s M10 Jacket
ここで注目なのがMont Bell。先月トレントフライヤージャケットがアップデートされ、防水メンブレインに2.5層素材のGoreTex Paclite、220gという超軽量、しかもお値段も上記各社に比べればずっとお手頃になった。重量についてもプルオーバーでなくジャケットであることを考えれば上出来だろう。なんだかんだいっても普段使うにはジャケットタイプの方が使いやすい。生地の感触も非常に柔らかくしなやか。同素材のパンツ(180g)もあり、普通に考えるならこれがベストの選択かも。
モンベル | オンラインショップ | トレントフライヤー ジャケット
モンベル | オンラインショップ | トレントフライヤー パンツ
しかし探求はまだ終わらない。GoreTexやPertexに代表される防水透湿性素材の分野では素材の進歩が続いていて、GoreTex Active ShellやPolartec Power Shield Pro、OutDryといった特に透湿性が優れた素材を使った製品が今年の秋冬から相次いで発売される模様。現時点でも、透湿性に優れた防水素材としてeVentが知られていて、メーカーは限られるがこれを使った製品も発売されている。
その中で、今年の春発表されたのがMontane / Spektr Smock。Mサイズで210gだが、eVentは3層構造の素材であること、GoreTexよりも透湿性に優れることを考えれば、驚くべき軽さだ。ジッパーを使わない首もとも個性的でインパクトがある。お値段はそこそこ高価ではある。あと、素材の質感もややごわついた感じだ。
Griffin International Ltd. モンテイン
揃いのパンツはないが、本国UKのサイトをみると、Entrant DTという防水透湿素材を使ったパンツがあり、Mサイズで200g。
Montane Shell Atomic Dt Pants for Men
という具合にいろいろ調べてきたが、結局行き着いたのはOMM(Original Mountain Marathon)というイギリスのブランドの製品。日本では代理店がないのか、あまり製品は見ないが、トレイルランというかアドベンチャーレース向きのなかなかマニアックな製品を作っているようだ。
Cypher Smockは防水透湿素材に3層構造のeVentをつかったプルオーバー。240g。生地はかなりごわつく感じがあるので、プルオーバーという形状もあって脱ぎ着はちょっとしにくい(同素材のジャケットもある)。昨日の鎌倉で着てみたが、いい印象。昨年のUTMBではTNFの旧型のトライアンフ・アノラック(Hyvent DTのもの)を着たが、着て走っているうちに肘に汗がたまり、ノースリーブのシャツだったので腕にはレインウェアの生地が張り付いてあまり気分がよくなかった。昨日の鎌倉では、Tシャツの上に直接Cypher Smockを着たが、肌への張り付き感や汗がたまる感じはしなかった。もちろんそれなりに中は蒸れるが不快ではなかった。寒いときだとeVentの生地から蒸気が出ているのがみえるほど、と聞くがそこまでは目にできなかった。
パンツについては、eVentを使ったランニング用のパンツというのはなさそうだ。OMMではKamleikaという商品名でパンツを作っている。これはGelanotsという防水透湿素材を使っており、非常に伸縮性があってしなやか。重量も190gと防水性があるものとしては非常に軽い。レインウェアというよりはジャージの感覚でOMMでも”Shell”ではなく”Waterproof Softshell”と位置づけている。スタイルもトレッキング用のレインパンツとは違い、裾が絞られているので、しなやかな生地と相まって走る動きをしていても違和感がない。昨日の鎌倉でも走っている途中でバックパックから取り出して履いたのだが、膝までジッパーがついているので、シューズを脱がずに履くこともできる(ただし多少泥で汚れてしまう)。
ちなみに同素材のプルオーバー(260g)、ジャケット(300g)もある。
なお防水性、透水性についての各素材の数値を比較しようとしたのだが、いろんな測り方があり、なかなか一覧できるものがない。各メーカーやショップのウェブサイトから上記製品について書かれているものを拾うと次のような感じ。
UTMBのリクアイアメント:防水性・10,000 mm 透湿性・RET 13以下
eVent/ 3 layer:防水性・40,000 mm 透湿性・MVTR 17,000 gsm/24h
Gelanots:防水性・20,000 mm 透湿性・MVTR 15,000 gsm/24h
Pertex SHIELD / 2 layer:防水性・10,000 mm 透湿性・MVTR 12,000 gsm/24h
なお、REIのウェブサイトには、透湿性について下のような一覧あり。
Rainwear: How It Works: Expert Advice from REI