8月26日金曜日の夜、フランス・シャモニーをスタートした2011年のUTMBについて、自分自身の視点からレポートとして書き残すシリーズ。来年以降の自分の備忘録として(また参加するのか??)、あるいはUTMBに興味のある方の参考になればよいと思う。
レース中には写真を一枚も撮らなかったので、見た目に楽しくはない記録となりますがご容赦ください。
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(結果のまとめ)
今回の当方のUTMBの結果は以下のようなものだった。公式サイトから誰でも見ることができる。要は38時間49分53秒で363位だった。
UTMBの完走率については同じく公式サイトに情報があるがエントリーは2369名、うち1134名(47.87%)が完走した。なので、今回のこの記録は完走者の上位から3分の1程度のものだと考えていただければよいかと思う。当方としてはいろいろ言い訳はあるのだが、今の自分はこのくらいが精一杯。
(スタートまで)
スタートまでの時点では、スタート時間の繰り下げと最終盤Vallorcineからのコースが変更になったこと、関門の制限時間が少し繰り上げられたことを聞いていたが、122キロ地点のChampex lacからのコースがMartigny経由となったことはtwitterで噂を見ただけだった。
夜間のスタートとなり、雨はピークは過ぎたがまだ降り続きそうなので、防寒・防水・防風のフル装備をスタートから着込むことにした。上半身は長袖のミッドウェイトのベースレイヤー(冬のスキー用のシャツをイメージすると近いと思われる)にハードシェル(Montane/Spktr Smock)を着込み、下半身もSalomonの3/4タイツにカーフガードを組み合わせ、上からOMMのKamlaicaパンツ。およそ走るとは思えない格好だが、スタート地点ではしばらく並ぶことも考えればこれ以外にないと思った。
同室のnoriさんたちと一緒に22時半くらいにスタート地点に向かう。雨のせいか皆出足は遅いようでまだ空いていたが、その後すぐにどんどんランナーがやってきてぎゅうぎゅう詰めになる。
30分前にベスパとPROBARをとってエネルギーをチャージ。Singing in the rainの曲がながれたり(前でカトリーヌさんが踊ってたらしい)と細かい演出があった後に11時28分におもむろにスタート。
(トラブル発生)
スタート地点からは目抜き通りのパッカール通りを走るが元々道幅は狭く、応援の人も多くて押し流されるように進んでロードに。ここでDMJのyamayaさんの背中を見たが、あまりに速くて声をかけられなかった。スタートから2キロほどでクライミングの練習場にもなっている岩壁の前に着き、林道へ。このあたりもキロ6分よりも速いくらいのペースで、長いレースにしてはずいぶん速い。当方は心拍数を見ながら140くらいをキープ。ここはあくまで冷静に、と自分に言い聞かせる。身体を動かしていると少し暑く感じるが、このあとは冷え込むことを見越し、ウェアの透湿性を信じてそのまま進む。
8キロで最初のエイドでもあるLes Houchesに到着し、舗装路と林道が入り交じった登りがスタートする。少し落ち着いて人との間ができたところで、自分のヘッドライト(Petzl / MYO RXP)がずいぶん暗いことに気づいた。どうも電池が切れかかっているようだ。何という失態。応援の人がいて明かりがあるところでバックパックを下ろし、雨の中であわてて電池を交換するが今度は点灯しない。まずい。用意していたハンドライトで歩き始めたのだが、その後ジェルを摂ろうとして胸のポケットに入れたりしているうちになくしてしまった。やむなくもう一度バックパックを下ろし、緊急用にと考えていたPetzl / eLiteを点灯。これは優れものだが、やはり行動用に使うには安心できる明るさがない。不安ではあるが、前後のランナーの明かりを頼りながら進む。しかしこのまま夜明けまでeLiteで歩くのかと考えるとこれはまずい失敗をしたと気分は重くなった。
気温は低く、自分の吐く息でサングラスも曇り、視界がよくない。不安なまま押し流されるように800mほどの標高を登り切り、Delevret, La Charmというピークを通過。今度は下りだが、相当ぬかるんでいるところもあり、大きな窪地で滑って泥にまみれる。ウェア類は機能しているが、グローブはやはり手首から雨が侵入してしまい、防水された手袋の中に水が溜まってしまっている。ペースは抑えているつもりだが、ついつい周りに引きずられてしまう。
(Saint GervaisとLes Contamines)
20キロ地点のエイドがあるSaint Gervaisはまだまだ人も多く、エイドではコーラを一杯飲む。バックパックを下ろして、既にいくつかジェルを摂っていたので、すぐに補給できるようにポケットに何個か移す。夜中の2時半だというのに応援の人も多く、雰囲気は高揚している。雨はこの辺で上がっているが気温は低いまま。
30キロ地点のLes Contaminesまでは林道や住宅街の中を抜けるゆるいアップダウンのルート。走りやすいが手元の明かりは暗い。心拍を上げすぎないように注意しながらジョグで進む。
30キロ地点のエイドがあるLes Contaminesもまだまだランナーでごった返し、雰囲気も高揚している。ここでハイドレーションバッグに水を補給、タブレットを投入。オレンジなどを軽く食べる。ここでDMJのisoさんにあった。奥久慈でも序盤にお会いしたことを思い出し、isoさんのような力のある人に序盤で会ってしまっているということはちょっと速すぎかなと思った。鏑木さんの順位やYamayaさんがとても速かったことなどを話してisoさんを見送る。
エイドでPetzlが電池交換のサービスをしているようだったので、先ほど点灯しなくなったライトをもう一度取り出して確認したところ、3本の乾電池のうち一本の正負極を間違えていた。なおしたところ無事に点灯。こんなことだけで気分は少し前向きになり、NortreDame de la Gorgeまでの林道は気分よくジョグで走り、トレイルに入ってからも順調に歩いていけた。ボンノム峠までは長い長い登りだがさほどきつくは感じなかった。途中のLa Balmeのエイドについたのは午前5時半。ここからボンノム峠までの少し本格的なトレイルに入っていく。
(続きます)