さて、長らく書き綴ってきたUTMB参戦記も今回が最終回です。
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(あれ、ここで登り?)
アルブ川沿いのコースを進み、さてあと4、5キロくらいこの調子で進めばフィニッシュだ、どんな感じでフィニッシュしようか、等と考えていたところでコースの指示は登り。あとで地図で確認すると、Les Tinesのあたり、ゴルフ場の先あたりで先日の調整ジョグですぐ近くまで来ていたあたりだ。
登り始めるとそれなりの手応えある登り。少しの登りだろうと思いながら登るが体感的にはずいぶん長く続く。走れるところは走る。しかし、ここまででハイドレーションバッグのドリンクは全て飲んでしまった。大丈夫だろうか。前にも後ろにも人影は見えない。しかし、コース指示はちゃんと着いている。時々前に人影が見えると、ハイカーだった。
あれれ、と思いながら進んでいるとやがて斜面をまっすぐトラバースする感じになり、道標が現れた。Petite Balcon Sudを進んでいる。これで謎が解けた。オリジナルコースのFlegereからの下りに合流させて、それ以降のフィニッシュまではオリジナルのUTMBと同じになるのだ。うれしいというべきか、辛いというべきか。コース変更はしても盛り上げるところは盛り上げるという演出重視のUTMBだからなのか、あるいは元々2007年はこういうコースだったのか。
Petite Balcon Sudがオリジナルコースに合流する地点に到着。前にランナーが数人見える。ここまで来て前のランナーを追い越すのも少し気が引けるが、もう少しフィニッシュまで距離はあり、あまりゆっくり進むのもしんどいので、無理のない範囲で前のランナーを追い越していく。
いよいよChamonixのロードに到着。ここからはあまり無理はせず、前のランナーとの距離を詰めすぎないようにする。フィニッシュはお互い楽しみたい。
(いよいよフィニッシュ!)
午後のChamonixの街は観光客、応援の皆さんで大賑わい。その中をフィニッシュに向けて進む。アルブ川沿いのスポーツセンターの脇を走る。Joseph Vallot通りを進んで一旦Michel Croz通りに入り、そしていよいよフィニッシュゲートのある広場に向かおうというとき、Furuさん、キムタクさんが出迎えてくださった。何という感激!ありがたいこと。日の丸を手渡され、高々と掲げながらフィニッシュに向かう。このあたり、時折後ろを振り返って日の丸を振るなど、それなりにパフォーマンスをしたような。
いよいよフィニッシュゲートへ!
あれ、右側の観客にはおなじみのティアドロップのサングラスをかけた日本の著名トレイルランナーが。
午後2時18分、38時間49分53秒・総合363位でフィニッシュ。長い長い道のりでした。
完走後、NHKの取材の方によるインタビュー。何をいったかあまり覚えてませんが、気の利いた話しはしてないと思うのでたぶんボツかと。
インタビュー中にキムタクさんと。Furuさん、キムタクさん、気配りいただきありがとうございました。
フィニッシュ地点で腕のチップとスリングを外し、デポジットの20ユーロを受け取る。日本語の上手な女性スタッフからフリースの完走者ベストを受け取る。そこに突貫さん。缶ビールを受け取り、日本の有力選手、仲間の皆さんの様子を教えていただく。その後、Furuさん、キムタクさん、先にフィニッシュしていたキャットさんと、フィニッシュ地点におられた鏑木さんご夫妻に挨拶しにいく。変更されたコースのこと、長い旅だったこと、自分が思っていたのとは違う「ランニング」だけではないレースだったこと、などをお話しした。
そのままフィニッシュゲートで続くランナーを迎えたかったが、疲弊も激しく、ほどなくホテルに戻った。
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以上が当方の2011年のUTMB参戦記でありました。この規模、この盛り上がり、このコースの激しさ、いろんな意味で世界最高のトレイルランニングイベントに違いないUTMB。トレイルランニングに触れた方であれば誰もがこのビッグイベントに引きつけられるに違いない。
当方も、一昨年の秋以来、UTMBの完走を一つの目標にしてきた。その過程でいろんな方にいろんなことを教えていただいた。レースやセミナー、自主トレで仲間と競い合ったり励まし合ったりしたことも思い出す。今回のUTMBは自分のランニング、トレイルランニング、ウルトラマラソンの経験の中で一つのマイルストーンだが、同時に新しい経験へのスタート地点でもあると思う。
来年以降もUTMBに挑戦するだろう。そして、UTMBを知ったことで、UTMBの目指す価値観とは異なるトレイルランニング、ウルトラマラソンの世界があることも知ることができた。手作りのレースや走ることを純粋に楽しめるレース、険しいコースを的確にこなすコース、レースではないトレイルラン。今後もより広い世界、楽しみ方に視野を広げ、その一端を自らの言葉で発信していきたいと思う。