[report, WS100] 100マイルレースの難しさとアメリカのトレイルランニング・コミュニティの底力を実感・Western States Endurance Run,2012を完走(その2)

6月23日土曜日の午前五時(日本時間同日午後九時)にスタートしたWestern Stetes Endurance Run(WS100)。そのコースは100マイルに及ぶが、大まかにいうとスタートから一気に標高差700mを登り上げ、その後はフィニッシュ地点のAuburnまで「下り基調」ということになる。ただ、その途中にキャニオンと呼ばれる谷底に下りては登り返すパートが4カ所ほどある。また、大きなアップダウンは62マイル地点(約100キロ地点)のForesthillで一段落し、以降はいわゆる走れるトレイルが多くなる。一般的な「登って下りる」のではなく、「下って登る」パターンが多いのがコースの特徴だ。

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WS100の経験が豊富なトレイルランナーであり、現在のRace Director、Greg Soderlundさんに代わって次期RDに選ばれたCraig Thornleyさんのブログにこのコースの詳細な解説記事がある。当方も事前にこの記事を熟読し、レースの進行をシミュレーションし、アドバイスを何度も復習した。

Western States 100 Trail Description « Conduct The Juices

Craigによるコースの大まかな概要とアドバイスをまとめると次のようになる。当方のふり返りも、このパートわけに従って進めたい。

  • High Country – start to Robinson Flat(29.7マイル地点<47.8キロ地点>)– beautiful, easy running, eat, eat, eat
  • New Trail – Robinson to Dusty(38.0マイル地点<61.2キロ地点>)– a little up then 8 miles of down, eat, drink
  • The Canyons – Dusty to Foresthill(62.0マイル地点<99.8キロ地点>)– fun beautiful terrain, drink, douse, stay cool
  • Cal St – Foresthill to River(78.0マイル地点<125.5キロ地点>)– the racing begins, show me the river
  • Finish – River to Auburn(100.2マイル地点<161.2キロ地点>)– “only” 22 miles of runnable trail, push, focus
  • セクション1:High Country – start to Robinson Flat(29.7マイル地点<47.8キロ地点>)– beautiful, easy running, eat, eat, eat

前夜は夜9時にはベッドに入り、午前3時半頃起床の予定だったが、レースの準備が気になったりしてなかなか寝付けなかった。

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例年、WS100は暑いレースだと評判だ。特に上述のキャニオンの谷底には熱気が溜まり、気温が40℃にも達することがあり、レース中は身体に水をかけたり、日よけをかぶったりして暑さ対策が必須だと聞いていた。

ところが、今年のWS100が行われる週末は気温が低そうとの予報。レース前日にSquaw Valleyで開かれたプレレースミーティングも屋外で行われたせいもあってかじっとしていると肌寒く、厚手のパーカーかフリースが必要なほど。そしてミーティングの最後に明日の天気予報についても説明があったが、寒いところでは華氏45度ほどだと聞いて耳を疑った。7℃ほどしかない?

Trip for WS100, Day 4

(プレレースミーティングの模様)

結局ウェアと装備は継ぎのような感じで調えた。

シャツMHW / Way2Cool tank 気温は低いとはいえ、日が昇るうちにやがて暑くなる可能性はあると考えて袖のないタンクを選んだ。

パンツMHW / Ultrarefuel Shorts 最近お気に入りの股下の短いショーツを選択。シャツがMHWなのでそれに合わせて。ブランドロゴのない右側のももに日の丸の小さめのワッペンを着けた。

バイザーArc’teryx / Neutro Visor 長髪の当方にはサンバイザーが必須。今シーズン発売のこれは汗抜けがよく、夜のライト装着時に脱いだ場合も折りたたんでしまっておけるのがよい。これにも 小さめの日の丸の日の丸のワッペンを縫い付けた。日本から来たことが一目瞭然となり、エイドやランナーとのコミュニケーションのいいきっかけになってくれた。

シューズNew Balance / MT110 迷ったが、はき慣れているシューズでもあり、ミニマリスト系のMT110をチョイス。UTMFの時は最後にはアッパーがぼろぼろになったが、今回は右足の甲で少しカギ割きができたくらいで無事。ただ、後半に気分を改めるため、62マイル地点のForesthillでMontrail / Bajadaに履き替えた。

ソックス:渡渉やぬかるみがコース上には点在しているようなので、日本にも最近上陸して足を水濡れから守ることで評判の高いDrymaxを使うつもりだったが履き替えの数が足りないので、最初は足指のフィット感が快適な Injinji / Performance lightweight mini-crewでスタート。予想通り、足が濡れたのでRobinson Flat(30マイル地点)でドロップバックに入れたDrymax / Hyper Thin Runningに履き替え。その後、ForesthillでシューズをBajadaに替えた際にDrymax / Lite Trail Runningに履き替え。Drymaxはアメリカのブランドで、アメリカのランニングショップならどこでも売られている。水濡れしにくい素材ゆえか足に入れた感じが少しガサガサ擦れる感じがするのがなんともアメリカンな感じ。当方も足を入れた感じのフィット感ではInjinjiのソックスの方がしっくりきて好きだ。しかし、トレイルランニングで足が濡れるとなれば話しは別で、濡れた状態が長引けばマメ(blister)となって 大きく下がってしまう。日本のレースで晴れの日でも足が濡れ続けるような渡渉が頻発することはまずないが、自然の地形を生かしたトレイルが多いアメリカのレースでは膝下までどっぷり濡れるような箇所が何度も現れることも少なくない(ちなみにUTMBでは渡渉はほとんどなかったと記憶)。

ハイドレーションamphipod / Hydraform Handheldを両手に一つずつ持った。ストラップにポケットなどが付いていないミニマルなレース向けのモデルはPalo AltoのZombieRunnerで見つけたもの。20ozのボトルは独特のlow profile(扁平)な形状をしており、当方がいろいろなボトルを昨年来試した中では一番揺れや重さが気になりにくいと思った。なおamphipodはボトルの他にもウェストパックなど様々な製品を出していて、アメリカのランニングショップではどこでも売られている一般的なブランドだが、まだ日本には未上陸。

バックUltrAspire / Quark & Cell。後述のように、WS100ではほとんど荷物を持つ必要がないが、UltrAspireのMBSシステムで身体の前後に比較的大きめの容量のバックを選択。背中側のQuarkにはウィンドジャケットを外側のポケットに入れておいたほか、現金や胃腸薬、予備のジェルやベスパ、途中で使わなくなったバイザーやライトをしまうだけ。かさばらないのでできるだけコンプレッションを効かせて揺れないようにしておく。一方腹側のCellには途中でとる予定のジェル2,3個とコース上のエイドとその距離をまとめたチートシートを入れておく程度。エイドに何が用意されているか、確信がなかったので念のためこのようなバックを持ったが、あらかじめわかっていればバックは持つ必要がなかったかもしれない。

その他:防寒対策に薄手のウィンドジャケットを持つ(最初はMontane / Slipstream GL Jacket、後半の夜に備えて、ドロップバックにはMHW / Ghost Whisper Anorakを準備)。さらに防寒用に、c3fit / パフォーマンスアームカバーを持った。

ドロップバッグ:WS100では途中で10カ所もドロップバッグを置けるポイントがある。とはいえ、全部のポイントに置くこともないと考え、当方は30マイル地点のRobinson Flat(序盤の足濡れ対策にウェットティッシュ、ワセリン、ソックスなどのセット、ジェルとベスパ)、55.7マイル地点のMichgan Bluff(ヘッドライト<Petzl / Myo RXP>とスペアの電池、頭に巻くbuff状のもの、GarminのGPSウォッチの替え、足濡れ対策セット、後半用のウィンドジャケット、ジェルとベスパ)、62マイル地点のForesthill(新しいシューズ<Montrail / Bajada>、足濡れ対策セット、長袖のシャツ、ジェルとベスパ)の3カ所のみ。

まだスタートしていませんが、長くなったのでここで一回区切ります。

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