[DC] ダイジェスト・ #TJAR2014 Day 1 台風接近、コースを変更してスタート

いよいよトランスジャパンアルプスレース/Trans Japan Alps Race 2014が昨夜開幕しました。当サイトでは8月17日(日)にこのレースが幕を閉じるまで、およそ一日一回のペースでその日のレースのダイジェストをお送りします。トレイルランニングの撮影で有名なフォトグラファーによる写真もご紹介します。

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初めてのコース変更、劒岳を回避して立山駅経由で一ノ越へ

TJAR-logo今回で7回目となる2014年のトランスジャパンアルプスレースがスタートする8月9日土曜日は台風11号が西日本の太平洋側に接近。既に西日本各地では猛烈な風雨に見舞われていました。

深夜0時のスタートを前に富山県魚津市の早月川河口のミラージュランドで開会式が行われた後、大会実行委員会から台風の接近を受けて序盤のコースを変更することが発表されました。

変更されたコースについて説明を受けるスタート前のランナー。Photo by Koichi Miyagami

変更されたコースについて説明を受けるスタート前のランナー。Photo by Koichi Miyagami

ミラージュランドから馬場島登山口から早月尾根を経由して劒岳山頂を通り、立山の一ノ越に至る約44kmが変更され、ミラージュランドから上市方面を経て立山駅へ(ここまでロードが約38km)。立山駅から材木坂ルートと呼ばれる急なトレイルで立山ケーブルの美女平駅へ。ここから立山黒部アルペンルートの舗装路沿いのトレイルで天狗平、室堂を経て一ノ越へ。変更後のスタートから一ノ越まではおよそ63kmとなり、テクニカルな劒岳を通る危険はないとはいえ、ランナーにとっては決して楽ではないコースとなりました。

TJAR2014-Day1-Start-Koichi_Miyagami-02

8月10日日曜日深夜0:00に富山県魚津市・早月川河口をスタートしたトランスジャパンアルプスレース/TJAR。Photo by Koichi Miyagami

深夜0時のスタートから一夜明け、雨が一旦上がった午前9時に室堂に一番先に到着したのは望月将悟。前回、前々回とこの大会で優勝している望月が先行します。次いで25分後に室堂を通過したのは、こちらもこのレースを上位で完走した経験を持つ阪田啓一郎石田賢生紺野裕一。その後5番手、6番手に飴本義一船橋智とこちらもこの大会で既に実力を証明済みのランナーが続きます。

室堂ターミナル手前でトップの望月将悟。「変更されたこのコースはよく知らなくて長い。ゆっくり行く」。既に後続との差は約25分。Photo by Sho Fujimaki

室堂ターミナル手前でトップの望月将悟。「変更されたこのコースはよく知らなくて長い。ゆっくり行く」。既に後続との差は約25分。Photo by Sho Fujimaki

望月に続いて室堂を通過する阪田啓一郎、石田賢生、紺野裕一。Photo by Sho Fujimaki

望月に続いて室堂を通過する阪田啓一郎、石田賢生、紺野裕一。Photo by Sho Fujimaki

その後、大西靖之松浦和弘山本寛人と続いた後に10番目に室堂を通過したのは西田由香里。UTMFで女子4位(2012年)、7位(2014年)、北丹沢2位(2013年)などの実力を持つ西田が強さをみせます。

10番目に室堂を通過した西田由香里。Photo by Sho Fujimaki

10番目に室堂を通過した西田由香里。Photo by Sho Fujimaki

室堂は西田が通過した午前10時10分頃には再び強い風雨に。各ランナーは一ノ越からの北アルプスの稜線に備えて、売店や食堂で準備を整えます。

室堂でしっかり腹ごしらえ。Photo by Sho Fujimaki

室堂でしっかり腹ごしらえ。Photo by Sho Fujimaki

上位選手が稜線に上がった午後には台風接近で風雨はさらに強まります。一ノ越から五色ヶ原を過ぎた越中沢岳付近では「風速42m」(町田吉広の報告より)という猛烈な風雨。さらに薬師岳(スタートから80km付近)を過ぎた辺りには増水しやすい要注意箇所があるといいます。

Twitter / SedonaExpress: 望月さん独走ですが、この先薬師岳の痩せ尾根は越えられたとして …

こうした状況を受けたためか、GPSによるトラッキングをみると一日目(10日日曜日)19:45現在、望月、石田、阪田、飴本、大西薬師岳山荘付近で停滞している模様です。今夜は台風11号が日本海を北上し、明け方までは激しい雨が予想されます。すると、このまま上位選手は薬師岳山荘、続くランナーもその手前のスゴ乗越小屋(75km)、五色ヶ原山荘(70km)などでビバークすることになるかもしれません。ちなみに前回、トップの望月は一日目の14:43に薬師岳を通過しています。

【追記・大会のFacebookページによればこの一日目の夜の状況は次の通りです。】

これも読む
【第三ステージ】6.6kmのタイムトライアルもレミ・ボネ、ニアンケ・ブリンクマンが首位、上田瑠偉は10位・Golden Trail Series Grand Final 2022 ダイジェスト Medeira Ocean&Trails

この他下記に示したそれ以外のランナーの動静は次の通りです。

  • 雷鳥沢ヒュッテ(62km)で3人がビバーク:笹岡誠岩崎勉福山智之
  • 一日目にリタイアが2名:町田吉広(一ノ越<65km>・強風は危険と自ら判断)、石川晃(一ノ越<65km>・強風に加え腸脛靭帯に故障)
雨脚が強まる中で完全防備のランナーの皆さん。Photo by Takehisa Goto

雨脚が強まる中で完全防備のランナーの皆さん。Photo by Takehisa Goto

Photo by Takehisa Goto

一ノ越にて。Photo by Takehisa Goto

雨の中、まだ軽装の大原倫。Photo by Takehisa Goto

雨の中、まだ軽装の大原倫。Photo by Takehisa Goto

こうした悪天候のなか、強風は危険と判断した町田吉広、強風に加え腸脛靭帯を傷めた石川晃が一ノ越でリタイアしました。

二日目は天候回復後、気温が上昇の見込み

台風に見舞われた初日でしたが、天気予報によれば明日は台風が遠ざかるにつれて晴れ間が広がり、気温も上がるとのこと。とはいえ、大雨の影響で増水したりガレ場が緩んだりという危険もあるかもしれません。

望月、石田、阪田などが薬師岳山荘のビバークをいつ切り上げて先に進むか。この先は黒部五郎岳、双六小屋から西鎌尾根をへて槍ヶ岳と北アルプスの核心が待っています。ちなみに前回のレースで望月はスタートしてから深夜に槍ヶ岳を超え、二日目の朝に上高地、それから夜10時に旧木曽駒高原スキー場について初めてビバークして仮眠を取っています。

一方、笹岡誠岩崎勉福山智之は室堂から近い雷鳥沢ヒュッテでテント泊をして明日に備えるとのこと。雨の中を行動するよりは賢明な判断かもしれません。

この後、槍ヶ岳を経て槍沢から上高地のチェックポイントに下りるとそこからは70kmのロードが待っています。

写真集

当サイトでは今回、コース上で大会を取材する写真家の藤巻翔 / Sho Fujimaki、後藤武久 / Takehisa Goto、小関信平 / Shimpei Koseki、宮上晃一 / Koichi Miyagamiの皆さんの協力を得て、大会期間中に撮影された写真をご紹介していきます。トレイルランニングをはじめとするアウトドアスポーツのプロの作品をお楽しみください。(業界ご関係者へ:写真のご利用については写真家の皆さまにご相談ください。当サイトからもご紹介できますのでご連絡ください)。

 

 

 

参考

 

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