[DC] ウルトラトレイル・マウントフジ / Ultra-Trail Mt. Fuji 2015 リザルト

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大会当日は雨。これまで天候に恵まれた過去3回の大会とは異なるコンディション、直前のコース変更といった条件で粘り強く進み続けたのは前評判どおりの実力あるランナーたちでした。一方、大会序盤で全体の4割近くにおよぶ500人ほどの選手がリタイア。このほかにも多くの選手が様々な想定外の事態に無念の思いを表情ににじませることとなりました。

以下の記事ではリザルトの振り返りのほか、無念の思いに繋がったエピソードをご紹介するほか、当サイトがライブ速報を始めとする今回大会のレポートをお届けできなかった事情についてもご説明いたします。

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UTMF_logo_small先週末の9月25日(金)にスタートしたウルトラトレイル・マウントフジ / Ultra-Trail Mt. Fujiの約170kmのレースは、レース当日が雨となることから前日にコースを一部変更。竜ヶ岳山頂(33km付近)を通らず南側の巻道となる林道、トレイルを経由したほか、すばしり(120.5km)からは立山まで登った後に三国山ハイキングコースを通らず、籠坂峠を経て山中湖へ降下し、湖畔のロードで135k / きららのエイドへ。この変更により、UTMFは170.3km / 7,889mD+(変更前は168.6km / 8,337mD+)、STYは76.7km / 3,828mD+(変更前は80.5km / 4,610mD+)に。

大会がスタートした午後1時から夜半過ぎまで弱い雨が降り続き、天子山地の稜線上をはじめコース各所がぬかるんで進みづらくなる中でレースは展開。序盤は久々の国際的なレースへの復帰となったアルノー・レジューン / Arnaud Lejeuneがリードしましたが、後半には今年Transgrancanariaで優勝、Western Statesで4位と活躍するジェディミナス・グリニウス / Gediminas Griniusが先頭に立ってそのままフィニッシュして優勝。2位にはアルノー・レジューンが続き、3位はアメリカの100マイルレースの実績豊富なジェフ・ブラウニング / Jeff Browning。じわじわと順位を上げる堅実な走りでトップ3に入りました。日本のアスリートもトップ10前半の4位、5位に小原 将寿 / Masatoshi Obara大瀬 和文 / Kazufumi Ooseが入る快挙。9、10、11位には小林 慶太 / 松永 紘明 / 鬼塚 智徳 / が続きました。

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雨の中スタートしたUTMF。Photo by Kaz Nagayasu, © NPO Fuji Trail Runners Club

女子のレースは序盤にエイミー・スプロストン / がリードしますが、中盤以降体調を崩して後退。その後トップを引っ張ることになったのはウシュエ・フライエ / Uxue Fraile。先月のUTMBで2位となったばかりの欧州山岳レース界の実力者がそのまま女子の優勝を手にしました。2位にはフェルナンダ・マシェール / Fernanda Macielアライザ・ラピエール / Aliza Lapierreが一緒にフィニッシュ。4位からは丹羽 薫 / Kaori Niwa高島 由佳子 / Yukako Takashima福田 由香理 / Yukari Fukuda黒田 清美 / Kiyomi Kuroda山ノ内はるか / Haruka Yamanouchiと日本の実力あるランナーが続きました。

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UTMFのスタートの翌日となる9月26日(土)にスタートしたSTYでは、男子は2013年UTMFで3位など日本のファンにもおなじみのセバスチャン・セニョー / Sebastien Chaigneauが優勝。女子は宮﨑 喜美乃 / が勝利を手にしました。

少なくない参加者が無念の思いを抱くことに

トレイルランニングのイベント、特にUTMFのような長距離・長時間におよぶイベントではすべてがスムーズに進むことは稀です。しかし今回のUTMFについては予見できたことで無用の混乱をランナーに招いたとの声を聞きます。また、エイドステーションやコース上のボランティアの皆さんの間には無用なフラストレーションで善意に仇で返されたような思いをしたという話もありました。ここではそうした話の中で聞いた話題をご紹介します。

なお、当サイトはこの大会がまだ4回目の若い大会であり、主催者と参加者が理念を共有して作り上げていく過程にあること、様々な課題の背景にそれぞれの事情がある、様々な悪条件や偶発的な不運を受け入れることもトレイルランニングというスポーツには付きもの、であることを申し添えます。

  • UTMFでは八木崎公園のスタートからわずか数キロの地点で渋滞が発生。道の駅かつやまの先で足和田山へと向かうトレイルに入る際に舗装路を渡りますが、この時100–200人ほどの集団ごとに舗装路を渡るように規制され、各集団はおよそ10分おきに舗装路を渡ることに。この結果、最後尾は舗装路を渡るために小一時間待つこととに。
  • A2 本栖湖では関門締め切り時間が延長されましたが、A2 本栖湖の出発関門までで累計201人(全体の15%)がリタイア
  • A2 本栖湖の先ではコース変更で竜ヶ岳のピークに向かわない巻道がコースとなりましたが、ここで多数のランナーがコースをロスト
  • W1 麓では関門締め切り時刻の延長は行われず(その後に控える天地山地での安全確保のためか)、W1 麓の到着・出発関門で382人(全体の28%)がリタイア。累計では583人(全体の43%)がリタイア。想定を超えるリタイアが発生したためか、以降のエイドでも翌日までリタイアしたランナーの搬送に4–5時間を要することに。
  • A3 富士宮では関門締め切りが1時間延長されたものの選手へのSMSでの連絡は当初の締め切り時刻のわずか5分前。
  • エイドでは、それぞれのエイドに大会側からの依頼を受けたトレイルランニングコミュニティのキーパーソンがまとめ役となってボランティアが集められました。しかし、こうしたボランティアの目にはエイド運営に責任を負うという一部の大会スタッフとの連携に課題を感じることも多かったという声を複数の方から聞きました。
  • 装備チェックやサポートに関するルールへの違反から20人ほどの失格者が出た模様ですが、サポートなどで海外から来ている人たちの間ではそれぞれの事例について「失格は重すぎる処分、15分、1時間、3時間などの加算によるペナルティで十分では」と同情する声も。中にはレース中はタイム加算によるペナルティと告げられてフィニッシュしてみたら失格、大会終了後の翌週に再びタイム加算によるペナルティは課されながら完走は認められた事例も。しかし本記事執筆時点でこの選手のフィニッシュは大会ウェブサイトに公表されたリザルトには未だ反映されておらず、ペナルティに翻弄されて名誉回復はなされないままです。【追記・その後10月7日に発表された改訂版のリザルトでは上記のような事例が反映され、いわば名誉回復もなされた形となりました。2015.10.8】

当サイトが今年のウルトラトレイル・マウントフジでレポートをお届けしなかったことについて

当サイトでは原良和さんが優勝した2013年、フランソワ・デンヌが圧勝した2014年のウルトラトレイル・マウントフジを現地からライブでレポートしてきましたが、今回の2015年大会ではレポートをお届けすることができませんでした。このことについて、少なくない方から残念とのご意見を承りました。

当サイトでは2015年初よりウルトラトレイル・マウントフジの大会業務(海外問い合わせ窓口)を受託しており、今回大会期間中もその延長上の業務(選手からの英語の緊急連絡電話対応)を行うようにとの大会側からの指示に従うこととなりました。このため、大会期間中のレポートをお届けすることができなかった次第です。

次回、もし機会があるならば当サイトの読者と大会に関心ある皆様のためにライブ速報がお送りできるように努力する所存です。また当サイトのライブ速報は皆様の応援とご理解あるご協賛者のお力なしにはお届けすることができません。引き続き当サイトをご購読いただくほか、Facebookページへの「いいね」Twitterアカウント @DogsorCaravanのフォローを通じての応援を賜りますようお願いいたします。下は昨年2014年大会取材の模様を山田洋さんが撮影してくださったものです。

僕らのDogsorCaravanは、こんな風に寒空の下でガクブルしながら情報を発信されておりました。あなたのお陰で僕たちは楽しませてもらっているのです。

Posted by 山田 洋 on Monday, April 28, 2014

ウルトラトレイル・マウントフジ / 2015 リザルト

UTMFの大会公式のリザルトはこちら。STYの大会公式のリザルトはこちら。大会期間中の速報、通過記録はこちら

UTMF 男子 / Men

  1. ジェディミナス・グリニウス / Gediminas Grinius (inov-8、リトアニア) 20:40:58
  2. アルノー・レジューン / Arnaud Lejeune (HOKA One One、フランス) 21:54:51
  3. ジェフ・ブラウニング / Jeff Browning ( / Altra / 、アメリカ) 22:01:01
  4. ソンドル・アムダール / Sondre Amdahl (GORE、ノルウェー) 22:51:59
  5. 小原 将寿 / Masatoshi Obara (inov-8、日本) 22:55:33
  6. 大瀬 和文 / Kazufumi Oose (Salomon、日本) 23:10:58
  7. サイモン・グリムストラップ / Simon Grimstrup (デンマーク) 23:30:12
  8. サンゲ・シェルパ / Sange Sherpa (ネパール) 23:30:12(同着7位)
  9. 小林 慶太 / Keita Kobayashi (The North Face、日本) 23:39:25
  10. 松永 紘明 / Hiroaki Matsunaga (The North Face、日本) 23:46:06
  11. 鬼塚 智徳 / Tomonori Onitsuka (The North Face、日本) 24:21:46
  12. 鳥海 宏太 / Kouta Toriumi (日本) 24:47:27
  13. 大作 健次郎 / Kenjiro Oosaku (日本) 24:52:27
  14. ゲイリー・ロビンス / Gary Robbins (Salomon、カナダ) 25:16:47
  15. 井原 知一 / (Anser4、日本) 25:24:59
  16. ホー・チュンワン / Ho Chung Wong (Champion System Adventure、香港) 25:44:47
  17. ジョエル・フィッツジェラルド / Joel Russell Fitzgerald (オーストラリア) 25:53:57
  18. ブレンダン・デイビス / Brendan Davies (inov-8、オーストラリア) 26:05:59
  19. 高橋 和之 / Kazuyuki Takahashi (HOKA One One、日本) 26:17:51
  20. 黒田 卓也 / Takuya Kuroda (日本) 26:23:14

UTMF 女子 / Women

  1. ウシュエ・フライエ / Uxue Fraile (Vibram、スペイン) 25:34:02(男女総合16位)
  2. フェルナンダ・マシェール / Fernanda Maciel (The North Face / Red Bull、ブラジル) 26:44:25
  3. アライザ・ラピエール / Aliza Lapierre (Salomon、アメリカ) 26:44:25 (同着2位)
  4. 丹羽 薫 / Kaori Niwa (Salomon、日本) 26:52:11
  5. 高島 由佳子 / Yukako Takashima (日本) 27:39:19
  6. 福田 由香理 / Yukari Fukuda (Altra、日本) 29:08:18
  7. 黒田 清美 / Kiyomi Kuroda (日本) 29:31:19
  8. 山ノ内はるか / Haruka Yamanouchi (The North Face、日本) 30:28:02
  9. エイミー・スプロストン / Amy Sproston (Mountain Hardwear/Montrail、アメリカ) 30:40:11
  10. 佐川絵美 / Emi Sagawa (日本) 30:47:17

STY 男子 / Men

  1. セバスチャン・セニョー / Sebastien Chaigneau (The North Face、フランス) 8:20:07
  2. 森本 幸司 / Koji Morimoto (The North Face、日本) 8:24:16
  3. 大杉 哲也 / Tetsuya Osugi (Salomon、日本) 8:40:11
  4. ブラド・イクセル / Vlad Ixel ( The North Face、オーストラリア) 8:56:06
  5. 嶋崎 功一 / Koichi Shimazaki (日本) 9:02:09
  6. 西村 好康 / Yoshiyasu Nishimura (日本) 9:09:49
  7. 矢部 達也 / Tatsuya Yabe (日本) 9:16:32
  8. 牧野 公則 / Masanori Makino (日本) 9:26:05
  9. 中島 崇晴 / Takaharu Nakajima (日本) 9:31:01
  10. 寺尾 修 / Osamu Terao (日本) 9:31:02

STY 女子 / Women

  1. 宮﨑 喜美乃 / Kimino Miyazaki (The North Face、日本) 10:12:24 (男女総合16位)
  2. 大石 由美子 / Yumiko Ohishi (Team Sportiva、日本) 10:44:23
  3. 上宮 逸子 / Itsuko Uemiya (patagonia / montrail) 10:49:13
  4. 浅原 かおり / (日本) 11:58:04
  5. 有間 由佳 / Yuka Arima (日本) 12:02:12
  6. 關 利絵子 / Rieko Seki (日本) 12:22:01
  7. 緒方 雅子 / Masako Ogata (日本) 12:24:36
  8. 牛田 朱美 / Akemi Ushida (日本) 13:02:27
  9. 坂井 優里 / Yuri Sakai (日本) 13:16:49
  10. 安田 直子 / Naoko Yasuda (日本) 13:25:30
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