八日間にわたるステージレースのコース合計距離が300km、累積獲得高度20,000mD+という壮大なトレイルランニング・イベントが6月のスペインで開催されます。初開催のオーチョ・ルナス / Ocho Lunas(スペイン語で「八つの月」)は来年2016年6月11日から18日6月18日から25日の日程で初めて開催され、エントリーは来年1月1日からスタート。参加枠は300人と限られるので気になる方は早めのエントリーを。【追記・開催日程が6月18日から25日に変更されたため、関連して追記・修正しました。2016.2.12】
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舞台はスペイン北部の「ヨーロッパの頂」、ピコス・デ・エウロパ
オーチョ・ルナス / Ocho Lunasが開催されるのはスペイン北部のピコス・デ・エウロパ山塊 / Picos de Europa。フランスとスペインを隔てるピレネー山脈からさらに東に伸びるカンタブリア山脈の一部となっており、2648mのトーレ・セレード / Torre Cerredoを始めとする標高2400mを超える険しい岩峰が連なる山岳エリアです。
大会のスタート・フィニッシュとなるのはピコス・デ・エウロパ山塊の北側となるアストゥリアス州の町、カンガス・デ・オニス / Cangas de Onís。アストゥリアス州 / Asturiasは北側を海、南側を山で挟まれ、気候の変化に富んだ緑豊かな場所としても有名で「エスパーニャ・ベルデ / España Verde」(緑のスペイン)とも呼ばれています。歴史上でもイスラム勢力に支配されていたイベリア半島をキリスト教国が再征服する「レコンキスタ」が8世紀に始まった場所として名を残しています。
オーチョ・ルナス / Ocho Lunasのコースはこのアストゥリアス州のほか、ピコス・デ・エウロパ山塊がまたがるカンタブリア州 / Cantabria、カスティーリャ・イ・レオン州 / Castilla y Leónをめぐることになります。
オーチョ・ルナス / Ocho Lunasの日程は?
来年2016年が初開催となるオーチョ・ルナス / Ocho Lunasは1日ごとに決まったコースを全員で一緒にスタートし、そのフィニッシュ地点で宿泊したのちに、翌日次に続くコースを一緒にスタートする、というステージレースの形式をとるイベント。6月11日土曜日から18日土曜日までの6月18日土曜日から25日土曜日までの8日間、8ステージにわたるコース合計距離が300km、累積獲得高度20,000mD+(獲得高度と降下高度を合わせると累計40,000mD)という巨大なイベント。ピコス・デ・エウロパ山塊をぐるりと一周するだけでなく、なぜか途中でバーティカル・キロメーターを走るステージがあったりするユニークなコースです。必携装備としてUTMBやUTMFとほぼ同様の装備を持つこととされていますが、コースの状況により日によってはクランポン(アイゼン)を加えるとされています。詳しい情報は大会ウェブサイトのほか、大会の公式Facebookページを見ておく必要がありそうです。
ステージレースはトップ選手から最終ランナーまでみんなが毎日一緒にスタートし、同じ場所にフィニッシュする中で次第に一体感が生まれてくるのが魅力といいます。8日間にわたって大きな山を駆け抜けながら、皆でお互いの健闘をたたえ合う。参加するすべてのランナーにとって忘れがたい思い出となるでしょう。
トップアスリートが参戦
欧州でもまた数少ない本格的な山岳コースのステージレースとして開催されるオーチョ・ルナス / Ocho Lunasにはトル・デ・ジアンなどで活躍するトップアスリートが参戦し、レースとしても注目のイベントとなりそうです。上位入賞者には総額3万2千ユーロの賞金も設定されています。
現時点で大会ウェブサイトをみると、まず日本からはトル・デ・ジアンで2013年8位、2014年5位、2015年5位となって世界の山岳エンデュランス界の注目を集める小野雅弘 / Masahiro Onoが参加。そしてスペインからは2011年Andorra Ultra Trail 170k優勝、2013年UTMB2位、アメリカのTNF EC in San Franciscoでは2010年と2012年に優勝というミゲル・ヘラス / Miguel Heras Hernandez。さらに2013年トル・デ・ジアンを大会記録で優勝し、UTMBでは2011年と2014年に2位など数々の成績を残しているイケル・カレラ / Iker Karrera Aranburu。アメリカからはこちらもトル・デ・ジアンで2013年7位、2014年2位など小野雅弘と上位を競り合ったニック・ホロン / Nickademus Hollon。女子では2012年UTMBで2位となった直後のトル・デ・ジアンで優勝、翌年2013年のトル・デ・ジアンで連覇を果たしたフランチェスカ・カネパ / Francesca Canepaが出場予定です。【追記・日程の変更により、参加する選手の顔ぶれも変更となる可能性があります。随時追記します。】
エントリーは来月の1月1日受付開始
この記念すべき第一回のオーチョ・ルナス / Ocho Lunasのエントリー開始は来月1月1日の午前10時(日本時間同日午後6時)から。現時点では特にエントリー資格は設けられていません。参加枠は300人です。
エントリー料は大会中の宿泊費込みで995ユーロ(約13万円)ですが、ユニークなのは「分割払い」もできるということ。エントリー時に525ユーロ(約6万8千円)、大会会場の受付で500ユーロ(約6万5千円)という組み合わせ、エントリー時に275ユーロ(約3万6千円)、エントリー締め切りから60日後に275ユーロ、大会会場の受付で500ユーロという2種類の組み合わせから選ぶこともできます。まだ先の予定が確定していなかったり、ケガからの回復遅れで参加できないかもしれない場合には、分割払いを選んでおけば、出られなくなった場合の損失を抑えることができる、というわけです。
このほかにも、大会中の宿泊は含まないエントリープラン(750ユーロ)も設けられており、これは家族や仲間と一緒に泊まる場合に配慮したものかもしれません。また選手以外の同伴者の参加プラン(595ユーロ)も設けられており、これは宿泊や各ステージのスタート・フィニッシュ地点の移動のみが含まれているということになりそうです。大会ウェブサイトを見ると、こうした同伴者が大会中に楽しめる観光ツアーも計画されているようです。
ビッグな山岳コースを存分に楽しめるイベントとなりそう
国内外に様々なトレイルランニングレースがありますが、このオーチョ・ルナス / Ocho Lunasのような本格的な山岳コースを8日間にもわたって走るコースはそう多くありません。山岳志向の経験豊富なトレイルランナーにとっては気になるイベントでしょう。また、毎日数十キロの距離を8日間走るのは決して容易ではありませんが、100マイルレースに比べると山や食事を楽しむゆとりもありそうですから、マイペースのランナーにも魅力的です。家族も一緒に楽しめる配慮もされているのもさすが、というところ。ちょっと早い夏休みをスペインの山で過ごすチャンスといえそうです。