ブルーマウンテンズの眺めに癒される。松永紘明のウルトラトレイル・オーストラリア / Ultra Trail Australia参加レポート

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/ Hiroaki Matsunaga

【編者より:松永紘明 / Hiroaki Matsunagaさんより、5月に出場したウルトラトレイル・オーストラリア / Ultra Trail Australiaのレースレポートを寄稿していただきました。この大会はUltra Trail World Tourのシリーズ戦となっており、100kmのレースはヨーロッパやアメリカからも多くの有力選手が集まる注目のイベントとなっています。今回松永さんは男子18位でフィニッシュしました。拠点とする新潟でMt. Awa Vertical KilometerEchigo Country Trailなどの注目レースをプロデュースしながら、国内外のレースでプロ・トレイルランナーとしても活躍する松永さんのレポートをご覧ください。】

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(Photos  courtesy of Marceau Photography / Ultra Trail

昨年までの 100 AustraliaからUltra Trail Australiaに、大会名やロゴ、距離カテゴリーなどリニューアルし迎えた今大会。前年大会前の豪雨による土砂崩れでカットされた階段が復活。コースの難易度が増した。それにあわせ優勝者タイムは30分、全体の完走時間も約20分遅れた。

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朝6時20分に100kmのレースがスタート。

スタートは選手の目標タイムによる時間差で。トップ集団のスタートは午前6時20分となった。今回の優勝候補の1人、南アフリカのライアン・サンデス / Ryan Sandesが見えるポジションをキープしてスタートから10キロ弱の間走り続けた。もちろんあくまでマイペース。最初の急な階段の登りとなるGolden Stairsで後方から激しい息づかいが聞こえた。まるで10キロのレースのごとく追い込んでいるのは、昨年3位のユン・ヤンキャオ / Yun Yanqiao(中国)だった。この調子では途中でつぶれて後でもう一度会うことになるだろう、と思いながら先を譲る。

次に現れたのは砂利道で、約10キロ、1時間弱ほど続く。CP1(11.4km地点)でユンが補給しているところに私も到着。その先はフルマラソンのような区間で、ブルーマウンテンの景色、無風の青空を満喫しながら、緩い登り下りを重力に任せて走る。

22キロ地点を過ぎると再びトレイルだ。垂直にかけられた梯子や急な岩場を体全体を使って下る。ここから風になれるシングルトラックと牧場が交互に入れ替わりながらCP3(46km地点)まで続く。

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ウルトラトレイル・オーストラリア、100kmの前半は走りやすいコースが続く。

ここからCP4(57.3km地点)までの約10キロは、森の中の緩やかな登りの後、後半は獲得標高で500mほどの急な登り。この辺りで序盤にオーバーペースだった選手に追いつき始めた。コースはここから一度、スタート地点のカトゥーンバ / Katoombaに戻り、世界遺産・ブルーマウンテンズの中でも特に知られるThree Sistersなど、主催者が用意してくれたまさに絶景といえる区間に入る。Water Point(69.4キロ地点)を過ぎ、CP5となるQueen Victoria Hospital(78.4km地点)の手前まで3–4回ほど大きな急な階段の登り下りが続く。この辺りは観光ランのつもりで行くのが一番のおすすめ!この区間からは、この日走ったエリアが一望できる。思い出に浸り、古代から3億年の景色に癒されながら、走れることに感謝。そうしているうちに最後のサポートクルーと会えるCP5だ。ここでは、エイドにいるみんながゴールのごとく盛り上げ、迎えてくれる。思わず嬉し涙が出そうになりながら、最後のSHOTZ、SHOTZ ELECTOROLITE、MAGMA、ZENの補給。そしてクルーに心から「ありがとう」の言葉、笑顔、ハグ。これで再びエネルギー満タン。

残りは21.6キロだが、CP5から15キロはほぼ砂利道。標高差600mを下り、そして500m登る。その後4キロはシングルトラックとなり、最後の1キロで標高差200mを登るFuber Stepsが待ち受ける。最後のシングルトラックとFuber Stepsは、ジェットエンジンを始動するつもりで一気に加速だ。応援の声に背中を押され、無心で一気に駆け上がる。11時間23分7秒。男子18位(日本人1位)。仲間と景色、天気に恵まれた2016年のUltra Trail Australiaの至福の思い出を胸に、ゴールに飛び込んだ。

松永紘明
松永紘明(まつなが・ひろあき)1980年2月生まれ、静岡県出身。少年時代からサッカーに打ち込み、そのトレーニングのために山を走り始める。大学生でハセツネCUPに出場してから、ウルトラトレイル・デュ・モンブラン(現・UTMB®)をはじめとする国内外のレースで活躍。現在は「トレイルランナーズ」代表として新潟県を拠点にトレイルランニングなどのアウトドアスポーツイベントの主催・プロデュースにも力を注いでいる。スポンサーにTHE NORTH FACEC3fitSHOTZROOMEATMAGMANew-haleSWANSZENCreer hairパートナーズプロジェクト税理士法人ことぶき寿司三宝グループ
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