8月6日土曜日の深夜12時に富山県魚津市の早月川河口をスタートしたトランスジャパンアルプスレース/Trans Japan Alps Race(TJAR) は8月8日月曜日に二日目を迎え、各選手とも概ね順調に進んでいます。上位選手は明日午前には駒ヶ根市に入り、南アルプスへの起点となる市野瀬(224km)に夕方には達します。トレイルランニングのオンラインメディア・DogsorCaravan.com(ドッグスオアキャラバン)では、大会の制限時間(8日間)となる8月14日(日)まで、およそ一日一回のペースでその日のTJARのダイジェストをお送りしています。このダイジェストをお送りするにあたっては、トレイルランニングの撮影で著名なフォトグラファー、藤巻翔 / Sho Fujimaki、後藤武久 / Takehisa Goto、小関信平 / Shimpei Koseki、宮上晃一 / Koichi Miyagamiの皆さんに写真をご提供いただいています。
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(写真・二日目、薬師ヶ岳を進む男澤博樹。Photo by © Shimpei Koseki)
トランスジャパンアルプスレース/Trans Japan Alps Raceの概要については当サイトの記事もご覧ください。
快晴の剱岳を各選手とも順調に進む
今回のTJARの先頭を走るのは過去3大会で完走・優勝している望月将悟とこちらも3度の完走経験を持ち上位常連の紺野裕一の二人。1日目の行動を黒部五郎小屋で一旦終えた二人は1時間半ほどの短い仮眠を取った後、二日目の行動を開始。槍ヶ岳山荘(86km)を午前3時7分に揃って通過。ババ平で再び揃って仮眠をとりますが、一足先に仮眠を切り上げた紺野裕一が午前7時37分に上高地(105km)を通過。続く望月将悟も午前8時1分に上高地を通過しました。この後、朽見太朗、渡部祥が午前中に上高地を通過し、二日目から三日目へと日付が変わる前には20名が上高地に到着している模様です。
大会側の情報と、GPS端末によるライブトラッキングの情報を合わせた上高地の通過順は次の通りです。
上高地(105km)通過順位
- 紺野裕一(二日目7:37)
- 望月将悟(二日目8:01)
- 朽見太朗(二日目10:05)
- 渡部祥(二日目11:38)
- 石田賢生(二日目13:00頃?)
- 斉藤聡之(二日目14:43)
- 船橋智(二日目15:10)
- 新藤衛(二日目15:29)
- 北野聡(二日目16:05)
- 雨宮浩樹(二日目15:47)
- 佐幸直也(二日目16:53)
- 松浦和弘(二日目17:14)
- 吉藤剛(二日目18:46)
- 江口航平(二日目19:12)
- 柏木寛之(二日目19:22)
- 米田英昭(二日目21:14)
- 仙波憲人(二日目21:26)
- 桑山史朗(二日目21:26)*さらにその後、栗原葉子、仙波憲人も到着している模様。
上高地(105km)はコース上で最初の関門となっており、三日目となる明日9日火曜日の午前8時に締め切られます。残る9人がこの後、中央アルプス、南アルプスへと続く旅を続けられるか。注目が集まります。
一方で紺野裕一、望月将悟、朽見太朗、渡部祥は中央アルプス・木曽駒ヶ岳への登山口が始まる旧木曽駒高原スキー場で一旦ビバーク。紺野と望月は数時間の仮眠の後、日付が変わる前には木曽駒ヶ岳への登りに取り掛かっている模様です。
二日目の時点では大きな事故やトラブルは各選手ともなく、リタイアした選手もいません。しかし、男澤博樹は北アルプスに入ってから高山病(高度障害)の症状で、吐き気や唇の痺れに悩まされて停滞。二日目に入ってようやく調子を取り戻しました。吉藤剛はシューズのつま先部分のソールが剥がれてしまうというトラブルで上高地に現れました。この後、市野瀬(224km)でドロップバッグを受け取るまでは応急処置でしのぐというピンチに見舞われています。
上高地からは旧木曽駒高原スキー場(172km)まで70km以上の舗装路ですが、途中の沢渡駐車場の売店、木祖村のスーパーマーケットまるとでは恒例の食料の補給で各選手とも顔をほころばせました。今週は気温が高く、日差しが厳しい日が続くので、補給や日焼け対策が完走に向けた大事な要素となるかもしれません。
2日目午後11時過ぎ時点の各選手の状況は次の通りでした。
- 旧木曽駒高原スキー場(172km):紺野裕一、望月将悟、渡部祥、朽見太朗
- 薮原駅付近(157km):石田賢生
- 奈川・黒川渡付近(131km):松浦和弘、佐幸直也、斉藤聡之、大原倫、船橋智、雨宮浩樹、新藤衛、北野聡、
- 沢渡駐車場付近(118km):柏木寛之
- 上高地付近(105km):吉藤剛、江口航平、米田英昭、仙波憲人、栗原葉子、桑山史朗
- 槍ヶ岳山荘付近(86km):恵川裕行、岡田泰三、竹内雅昭、岩崎勉
- トラッキングエラー:村上貴洋、田中尚樹、男澤博樹、玉置千春、内山雄介(GPSの電池切れや電波の届かない場所での休憩などが原因と思われます)
- このほか、大会側の情報では上高地をまだ通過していない選手について次の通過情報がありました。
- 槍ヶ岳山荘(86km)を通過:内山雄介(二日目20:36)、恵川裕行(二日目21:24)、岡田泰三(二日目21:24)
- 双六小屋(80km)を通過:田中尚樹(二日目14:30)、男澤博樹(二日目14:56)
三日目は中央アルプスへ、上位選手は南アルプスに着手
三日目以降も快晴と高い気温が続くという天気予報です。上位選手はここまで概ね過去の大会の優勝者の通過タイムに沿う形で進んでいます。紺野裕一と望月将悟は明日三日目の朝には木曽駒ヶ岳、宝剣山荘、空木岳と進んで、午前中には駒ヶ根市へと降りてくるでしょう。市内の舗装路を25km走ると、大会で唯一のデポバッグが受け取れる市野瀬(224km)に明るいうちに着きます。そして夜のうちには南アルプス・仙丈ケ岳への登りを開始します。
一方、上記の通り、明日三日目の午前8時の関門締め切りに未着の選手が間に合うかどうかにも注目したいところ。全員が旅を続けられることを祈りたいと思います。
参考
- 大会サイト
- 大会からのお知らせ
- 大会サイトによる各選手の状況についてのアップデート
- 大会による全選手の現在位置がリアルタイムで把握できるマップ(大会開催中に掲載)
- Twitterのハッシュタグ #TJAR2016 のタイムライン
- NHKオンデマンド | NHKスペシャル 激走!日本アルプス大縦断(2012年大会のドキュメンタリー番組を有料で配信中)
さらに写真
当サイトのFacebookページではフォトグラファーチームから提供していただいた写真をご紹介しています。記事では紹介しきれないものも多数ありますのでぜひご覧ください。
- #TJAR2016 Day 1 – Start 2016年8月6日土曜日の深夜12時、8回目のトランスジャパンアルプスレース( Trans Japan Alps Race (TJAR))が富山県魚津市の早月川河口をスタート、静岡市大浜海岸までの415km、日本アルプスを縦走する旅に29人が旅立ちました。 Photo by Shimpei Koseki
- #TJAR2016 Day 1 – 剱岳 / Mt. Tsurugi スタートから約30kmの舗装路を走って馬場島へ。そこから早月尾根で選手は剱岳へ向かいます。日本で最も難度が高い山の一つですが、TJARの選手にはまだ入り口にすぎません。 Photo by Sho Fujimaki
- #TJAR Day 1 – 五色ヶ原 Goshikigahara 剱岳を過ぎ、スタートから44-5kmにある五色ヶ原は高山植物の美しい山上の楽園。夏らしい青空の下を各選手とも笑顔で進みます。 Photo by Takehisa Goto
- #TJAR2016 Day 1 – 一服劔 Ippuku-Tsurugi 最初の難所となる剱岳を過ぎると、選手はしばし北アルプスの深い山岳エリアを楽しむことになります。Photo by Kozo Okushima
- #TJAR2016 Day 2 – 薬師岳 Mt. Yakushi 大会二日目に入って剱岳と槍ヶ岳の間になる薬師岳を進むのは全体の真ん中から後を走る選手たち。今日も快晴で美しい山の眺めが広がりますが、3日目の午前8時が上高地の関門締め切りとなるので、あまりのんびりとはしていられません。 Photo by Shimpei Koseki
- #TJAR2016 Day 2 – 上高地、スーパーまると、旧木曽駒高原スキー場 大会二日目、北アルプスの最後の山となる槍ヶ岳を未明に通過した上位選手は朝には上高地へ。舗装路で木曽谷へ向かい、途中で補給します。その日の夜には次に控える中央アルプスの麓に到着です。 Photo by Sho Fujimaki