九州の中央に位置する阿蘇。今も活発に活動する火山が作り出した巨大なカルデラの地形や地質、その自然がもたらす温泉や湧水、自然との共生を通じて守られている広大な草原で知られる阿蘇をその外輪山に沿って一周する108.7kmのトレイルランニング・レース、Aso Round Trail 阿蘇ラウンドトレイルがいよいよ5月13日土曜日に開催されます。
昨年4月にプレ大会が開催されて話題となったもののその2週間後の熊本地震により大きな被害を受けた阿蘇で開催されるこの大会について、当サイトでは現地からレポートをお送りします。大会当日のレースのライブ速報をお届けする他にも、阿蘇でのトレイルランニングの魅力や立ち寄りたいスポットなどもご紹介する予定です。DogsorCaravanのツイッターアカウント(@DogsorCaravan)をフォローしてお楽しみください。Facebookページでも随時情報をダイジェスト版でお伝えする予定です。
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(Photo courtesy of Aso Round Trail)
外輪山に沿って阿蘇カルデラを一周するスケールの大きな108.7kmのトレイル
今回のAso Round Trail 阿蘇ラウンドトレイルの日程は大会前日の12日金曜日の選手受付から。阿蘇の温泉の中でも規模の大きさで知られる内牧温泉にある阿蘇市立体育館で装備チェックや競技説明が行われます。
レースは翌日の13日土曜日の午前7時に阿蘇西小学校をスタート。熊本から大分へ抜ける豊後街道の一部だった石畳の坂道を登って二重峠から外輪山へ。コースは外輪山を一旦おりて、内牧温泉にある23.9km地点のエイドステーション(AS1 はな阿蘇美 23.9k)へ。エイドを出ると阿蘇のビュースポットとして有名な大観峰を下から巻くようにして再び外輪山へ標高差500mほどの登りです。再びカルデラの中のエイドステーション(AS2 古城6区公民館 38.2k)へ下りて登り返してからは、阿蘇の中央火口丘の東端となる根子岳の東麓へ向けて南下。この間に50.7km地点のエイドステーション(AS3 すずらん公園 50.7k)があります。
根子岳から再びカルデラに下りてくると66.6km地点のエイドステーション(AS4 高森町町民体育館 66.6k)となり、ここではドロップバッグを受け取ることができ、コース上の中間点となります。ここから再び外輪山へと登り、清栄山の山頂や続く牧草地からは、まだ明るいうちに通過できれば雄大な眺めが楽しめるはず。76kmのエイド(AS5 高森峠 76km)を通過すると、ここからは阿蘇の南側の外輪山に沿って西へ。84.8kmのエイド(AS6 清水峠 84.8km)を過ぎてからは、95km地点付近となるコース最高地点の大矢野岳(1236m)まで標高差300mほどの緩い登り基調になります。97.7kmのエイド(AS7 地蔵峠 97.7km)を通過し、護王峠から標高差200mに登りで俵山(1095m)を通過すると残りはあと5kmほど。標高差800mを一気に駆け下りて俵山交流館萌の里へフィニッシュします。コースは108.7km、累積獲得高度は6,000mD+。制限時間は30時間。男子の優勝タイムは11時間から11時間半と予想します。
外輪山への登り下りはコース前半に集まっているので、後半まで辿り着ければ感想できる可能性は高いといえるかもしれません。上位争いをするランナーにとっては、大きなアップダウンが少なくなる後半にスピードを温存できるかどうかが勝負の分かれ目となりそうです。
今回の阿蘇ラウンドトレイルを走る有力選手
初開催となる今回のAso Round Trail 阿蘇ラウンドトレイルに参加する有力選手をみてみましょう。
女子 / Women
女子ではまず吉田広美 Hiromi Yoshidaを優勝候補に挙げることになります。九州をベースにする吉田は2014年にはSTYで2位、ハセツネCUPで5位となって全国でその実力が知られることになりました。九州の代表的な長距離トレイルレースである霧島・えびの高原エクストリームトレイル60では2013年の第一回大会から四連覇中で、今回の阿蘇ラウンドトレイルでもレースをリードすることになるでしょう。ちなみに吉田は同じ阿蘇で開催されるロードの100kmウルトラマラソンである阿蘇カルデラスーパーマラソンで2015年に8時間52分で優勝しています。吉田に挑むことになるのは宮﨑喜美乃 Kimino Miyazakiです。2015年にIzu Trail Journeyで2位となって以来、同年のスパトレイル、STYで優勝、昨年のスパトレイルで優勝しています。ロードでは2015年柴又100k(9時間35分、2位)などで100kmを走っていますが今回が初めての100kmのトレイルとなります。そして齋藤美紀 Miki Saitoも優勝争いに加わるでしょう。ハセツネCUPでは2015年に8位、昨年2016年に6位。昨年11月のFunTrails 100kでは優勝していて、100kmのトレイルレースは経験済みです。
三人に加えて上位を走ることになりそうなのは次の皆さん。
- 中熊恵 Megumi Nakakuma:2016年霧島えびの高原で4位、2017年小岱山トレイルランニング20kで2位。
- 木村明日香 Asuka Kimura:2015年霧島えびの高原で3位、2016年西米良で2位、2017年瀬戸内アイランドトレイルで3位。
- 白仁田理恵 Rie Shiranita:2016年西米良で4位 2017年小岱山トレイルランニング20k優勝、くだまつ笠戸島30kで4位、
- 宮島亜希子 Akiko Miyajima:信越五岳で2015年4位、2016年5位。富士五湖チャレンジ100kで2015年、2016年に3位。2017年4位。
- 前畑明子 Akiko Maehata:2016年霧島えびの高原で9位、2015年霧島えびの高原で5位、2016年西米良で7位。
- 佐野美穂 Miho Sano:2016年霧島えびの高原で11位、2015年霧島えびの高原で4位、2016年西米良で8位。
男子 / Men
地元となる熊本県在住の森本幸司 Koji Morimotoは今回の出場選手の中では長距離のトレイルレースで最も豊富な実績と経験を持っているといえます。2015年のえびの高原60k優勝、同年のSTY、Izu Trail Journey、2016年のスパトレイル72kでいずれも2位に。2014年のハセツネCUPでは初挑戦で8時間4分の14位。100kmを超える距離には今回が初挑戦となりますが、今回の優勝候補の最右翼です。最近まで九州で実業団の長距離走選手として活躍し、一昨年からトレイルのレースにも取り組んでいる河野健一 Kenichi Kawanoもおそらく今回が初めての100kmへのチャレンジ。2015年の菅平42k・スカイランニング日本選手権で2位となったのち、昨年はえびの高原60kで優勝、ハセツネCUPでは8時間16分で5位となり、表彰台に登っています。コース後半でスピードで勝負する展開になったら河野に有利といえるかもしれません。
森本、河野に加えて上位を走りそうなのは次の皆さん。
- 熊本健志 Kenji Kumamoto:昨年の上州武尊山60で2位、恐羅漢トレイル58kで4位、えびの高原60kでは河野に18分差で2位。
- 内野誠治 Seiji Uchino:昨年の西米良スカイランニングクエストで3位、えびの高原30kで優勝、中能登トレジャートレイル40kで優勝。
- 靏彰吾 Shogo Tsuru:昨年の西米良スカイランニングクエストで11位、英彦山修験道トレイルin東峰村で4位。
- 鶴有毅 Naoki Tsuru:2017年瀬戸内アイランドトレイルで3位。2016年錦江町でんしろうトレイルで4位。