inov-8 CUP 美ヶ原トレイルラン 2017・スカイランニング日本選手権 リザルト #美ヶ原80k

雨のために大幅にコースが変更となり、美ヶ原高原の眺めは楽しめませんでしたが、大雨の中の林道コースで自然の厳しさを感じながら走る大会となりました。週末の7月1日土曜日に今年で7回目となるinov-8 CUP 美ヶ原トレイルランが開催され、80kmのレースでは東徹 Toru Higashi星野(福田)由香理 Yukari Hoshino, née Fukudaがそれぞれ男女で優勝しました。今年の美ヶ原80kはスカイランニング日本選手権(Sky Ultraカテゴリー)となっており、来年2018年開催予定のスカイランニング世界選手権の日本代表選考レースとしても注目されていました。

(写真・美ヶ原80kで優勝し、スカイランニング日本選手権チャンピオンとなった東徹と星野由香理。Photo by Koichi Iwasa, DogsorCaravan.com)

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当サイトでは今回の美ヶ原トレイルランについて80kmのレースを中心に現地からTwitter(@Dogsorcaravan)でお送りしました。今回のライブ速報はinov-8のご協賛によりお届けしました。

コースは大幅に変更され、林道を中心にした73-75kmのコースに


今年も美ヶ原トレイルランは梅雨が明けない中での開催となり、大会前日のコース説明会においても、選手の安全と雨で脆弱になったトレイルを保護するためコースが一部変更となる可能性があると繰り返しアナウンスされていました。大会当日の午前に強い雨が降るとの予報で、とりわけ標高2000mを超える茶臼山や美ヶ原高原においては強い風雨が予想されました。

1日土曜日の午前4時には雨は一旦落ち着いたように見えましたが、大会会場で80kmのコース変更が発表されました。概ね、元の80kmのコースを逆方向に辿って和田宿のエイドで往復する、というコースで、距離は概ね73-75kmとなった模様。前半の和田峠から美ヶ原高原までの山岳パートはコースから除かれ、コースの大半が林道となりました。コース変更の主なポイントは次の通りでした。

変更後のコース概要。

  • スタートからは45kのレースのコースと同じコースで姫木平別荘地を経て、林道へ。元の80kのコースとの合流地点からは元の80kのコースを逆走して長い下りへ。入大門をへて、水沢峠を経由せずに和田宿のエイドへ(約35km地点)。
  • 和田宿からは水沢峠を経由して入大門へ向かい、ここからは元の80kと同じコースで長門牧場へと登り返し、大門峠へ。
  • 元の80kのコースでは殿城登山口から南の耳へと標高差300mの登りとなるものの、変更後は南の耳へは登らずにエコーバレースキー場を経由してフィニッシュのブランシュたかやまスキー場へ。

午前4時にブランシュたかやまスキー場をスタート。

一昨年のチャンピオン、東徹と星野由香理が優勝

多くの選手にとってはコースがどのように変更されたのかもよくわからなかったと思われますが、レースは予定通り午前4時にブランシュたかやまスキー場をスタート。夜明け前に距離4kmで標高差400mのゲレンデの登りを走り始めます。そこからの長い下りの先にある姫木平別荘地(約10km地点)では、ロードでのスピードで知られる東徹 Toru Higashiを先頭に、1分差で小川壮太 Sota Ogawa、さらに30秒差で大瀬和文 Kazufumi Ose三浦裕一 Yuichi Miura。そのあとに望月将悟 Shogo Mochizuki西村好康 Yoshiyasu Nishimura矢嶋信 Makoto Yajimaが続きます。

コースはここから緩やかなアップダウンを繰り返す10kmの林道を経て、元の80kのコースに合流すると、標高差700mの長い下りへ。時折雨は降りますが、濃い霧に覆われたコースではどの選手も蒸し暑く感じたはず。和田宿(約35km)のエイドに2時間49分で東がトップで到着。2位の大瀬は東から2分差、3位の小川は同じく3分差と僅差で続き、その後も姫木平(約10km地点)と同じような間隔で選手が続きます。なお、この和田宿で選手はもと来たコースを引き返すことになるので、上位の選手にとっては前後の選手の様子や自分との距離を計ることができます。トップの東もこの時の皇族に対する自身のリードが思っていたよりも小さく、焦ったといいます。

和田宿から長門牧場へは約18.5kmで標高差700mの長い林道の登り返しです。このあたりから雨がより激しくなってきますが、東は後続を引き離しにかかります。長門牧場(約53.5km地点)では東と2位の大瀬の差は10分に広がり、続く20kmでもそのまま東徹 Toru Higashiがリードを保ってフィニッシュ、日本選手権チャンピオンとなりました。東は一昨年に日本選手権となったこの大会で優勝し、昨年の世界選手権・Buff Epic Trail 105kに出場。世界選手権では序盤に5位を走りますが、最後は22位という結果に。ケガのためスタートラインに立つのがやっとだったといい、もう一度世界選手権を走るチャンスを、という思いで今回の美ヶ原に挑みました。

長門牧場でレースをリードする東徹。

東に続いて2位でフィニッシュしたのは矢嶋信 Makoto Yajima。前半はやや抑えたペースで和田宿(35km)にはトップの東から9分差の7位で到着。しかしここから折り返しての登りでペースを上げはじめ、長門牧場では3位に浮上。2位の大瀬に2分差と迫り、トップの東には12分差。さらにここからの終盤で一気に加速して2位でフィニッシュ。優勝した東とは8分差と後半にペースを上げるスマートなレースが印象的でした。35歳の矢嶋は佐久長聖高出身で大東文化大で箱根駅伝に出場した経験を持つエリートランナー。関東で開催されるスポーツエイドジャパンの大会では上位常連で今年は奥武蔵ウルトラマラソンで優勝のほか、両神山麓トレイルラン、武甲山トレイルラン、飯能アルプスなどで優勝。昨年の美ヶ原80kでは5位でした。

和田宿に到着した矢嶋信(右)と町田知宏(左)。

3位には大瀬和文 Kazufumi Ose。以上の上位3人は来年開催のスカイランニング世界選手権(Sky Ultraカテゴリー)に日本代表選手として出場する資格を得たことになります。4位には昨年の日本選手権・志賀高原エクストリーム優勝の小川壮太 Sota Ogawa、5位に昨年の日本選手権で2位の三浦裕一 Yuichi Miura、6位に昨年のSJS(スカイランナー・ジャパンシリーズ)チャンピオンの牛田美樹 Miki Ushidaが続き、ハイレベルなレースとなりました。

左から3位の大瀬和文、優勝の東徹、2位の矢嶋信。上位3人は来年のスカイランニング世界選手権の代表選考資格を満たしました。

女子のレースもドラマティックな展開でした。女子では先シーズンまで実業団の長距離ランナーとして活躍し、フルマラソンPRが2時間33分という岩村聖華 Seika Iwamuraが激しい雨の中で初めてとなる42km以上のレースでリードします。続くのは一昨年のこの大会で優勝して日本選手権チャンピオンとなっている星野由香理 Yukari Hoshinoで和田宿(35km)では岩村から4分差でした。

和田宿で岩村聖華に次いで2番手の星野由香理。

コース後半に入って雨がさらに激しくなると岩村は次第にペースが落ち、長門牧場にはトップで到着したものの、星野はエイドで追いついて先にエイドを出発します。ここからの20kmも走りやすいパートですが星野由香理 Yukari Hoshinoはリードを守りきって8時間43分でフィニッシュ。日本選手権チャンピオンの座を獲得し、来年の世界選手権の日本代表選手の資格を得ました。

レース序盤をリード、女子3位でフィニッシュした岩村聖華。

2位になったのは浅原かおり Kaori Asahara。残り7kmで前を走る岩村の背中をとらえ、星野から22分差の2位でフィニッシュ。昨年のこの大会では3位、スカイランニング日本選手権・志賀高原エクストリームでは2位となっている浅原が終盤の粘り強さを発揮しました。3位になった岩村聖華 Seika Iwamuraは優勝した星野から29分差でのフィニッシュ。4位に宮島亜希子 Akiko Miyajima、5位に三浦佐知子 Sachiko Miura、6位に渡辺まゆみ Mayumi Watanabeが続きました。

長門牧場のエイドに向かう小川壮太。

長門牧場での山田琢也。

望月将悟(手前)と石井克弥。

80kmの部は今年のスカイランニング日本選手権

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今年のスカイランニング日本選手権は残るVerticalとSky Classicが9月9日の蔵王バーティカルレース/Zao Vertical Race、10日の蔵王スカイレース/Zao SkyRace®で開催されます。次のスカイランナー・ジャパンシリーズ(SJS)はSky Classicは日本選手権ともなっている蔵王、Verticalは7月15日開催の野沢温泉バーティカルキロメーターとなります。

これも読む
DC Weekly 2022年9月5日 ZAO SKYRUN、OSJ安達太良山、HAKUBA CLASSIC、Swiss Peaks、Vertical / Trofeo Nasego

リザルト

全体のリザルトは大会ウェブサイトから。

男子 Men

男子の表彰台。左奥から2位の矢嶋信、優勝の東徹、3位の大瀬和文。手前左から4位の小川壮太、5位の三浦裕一、6位の牛田美樹。

  1. 東徹 Toru Higashi 6:44:50
  2. 矢嶋信 Makoto Yajima 6:52:58
  3. 大瀬和文 Kazufumi Ose 6:53:23
  4. 小川壮太 Sota Ogawa 7:01:23
  5. 三浦裕一 Yuichi Miura 7:04:47
  6. 牛田美樹 Miki Ushida 7:09:39
  7. 町田知宏 Tomohiro Machida 7:11:45
  8. 須賀暁 Satoru Suga 7:16:30
  9. 山田琢也 Takuya Yamada 7:22:00
  10. 西村好康 Yoshiyasu Nishimura 7:22:32
  11. 木村隼人 Hayato Kimura 7:23:29
  12. 石井克弥 Katsuya Ishii 7:34:39
  13. 生田貴裕 Takahiro Ikuta 7:37:05
  14. 望月将悟 Shogo Mochizuki 7:40:42
  15. 谷允弥 Nobuya Tani 7:40:42
  16. 北原一樹 Ikki Kitahara 7:43:30
  17. 保木口雅也 Masaya Hokiguchi 7:51:43
  18. 工藤晃一 Koichi Kudo 7:57:41
  19. 荒木諒 Ryo Araki 7:59:42
  20. 柴田幸生 Yukio Shibata 8:05:31

女子 Women

女子の表彰台。左から優勝の星野由香理、2位の浅原かおり、3位の岩村聖華、4位の宮島亜希子、5位の三浦佐知子、6位の渡辺まゆみ。

  1. 星野由香理 Yukari Hoshino 8:43:14
  2. 浅原かおり Kaori Asahara 9:05:53
  3. 岩村聖華 Seika Iwamura 9:12:19
  4. 宮島亜希子 Akiko Miyajima 9:57:32
  5. 三浦佐知子 Sachiko Miura 10:18:55
  6. 渡辺まゆみ Mayumi Watanabe 10:21:20
  7. 安田直子 Naoko Yasuda 10:25:23
  8. 赤松祥江 Sachie Akamatsu 10:49:45
  9. 北風博子 Hiroko Kitakaze 11:01:23
  10. 清野佳代子 Kayoko Seino 11:02:21
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