リザルト・信越五岳トレイルランニングレース Shinetsu Five Mountains Trail 100mile 110km 2017

台風接近で短縮されたコースで、今年も信越五岳トレイルランニングレース Shinetsu Five Mountains Trailが開催されました。短縮されて102kmとなった100マイルのレースはサンゲ・シェルパ Sange Sherpaと高島由佳子 Yukako Takashimaがそれぞれ男女で優勝。同じく短縮されて52kmとなった110kmのレースは山田琢也 Takuya Yamadaと福島舞 Mai Fukushimaが制しました。

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(写真・100マイルで男子のトップ3となった左から3位の小原将寿、優勝のサンゲ・シェルパ、2位の野本哲晃)

第9回目となる今年の信越五岳も台風による悪天候が予想されましたが、16日土曜日午後7時30分に100マイル(短縮されて102km)、翌17日日曜日午前5時30分に110km(短縮されて52km)がスタートしてから、実際に雨が降り出したのは17日日曜日の午前10時過ぎ。実際に信越高原が台風の影響で強い風雨に見舞われたのは17日日曜日の深夜だけで、表彰式の行われた翌日18日月曜日の朝には青空が広がる晴れ。コースを短縮したことで参加した全ての選手は台風の強風雨にさらされずに大会を終えることができました。

100マイルはサンゲ・シェルパと高島由佳子が勝利

100マイル(短縮されて102km)となったレースは、大会後にランナーの皆さんに話を聞いたところでは先頭集団から後半まで、全体に速いペースのレースとなったようです。コースガイダンスでの比較的走りやすいコースだという説明、あるいは102kmで22時間というややタイトな制限時間が選手に先を急がせたのかもしれません。速いペースのために後半に入って疲労やハンガーノックで大幅にペースを落とす選手が続出。そして、走りやすかったはずのコースもスキーゲレンデの長い上り、そして関温泉から赤倉の途中にある丸山の急傾斜の登りは最終盤にランナーを苦しめました。

午後7時30分に100マイル(短縮されて102km)のレースがスタート。

100マイル(短縮されて102km)の男子のレースは、予想された通りにサンゲ・シェルパ Sange Sherpa小原将寿 Masatoshi Obara永田務 Tsutomu Nagata野本哲晃 Tetsuaki Nomotoの4人がリード。しかし、永田が途中から胃腸の不具合で途中から補給を受け付けなくなり、アパリゾート妙高(56km)までに上位集団から脱落。

まだらおの湯(6.9km)で先頭を走る小原将寿、永田務、サンゲ・シェルパ。

赤池のエイドで補給するサンゲ・シェルパ。

赤池で補給する小原将寿と野本哲晃。

赤池での永田務。この後、胃腸の調子を崩すことになる。

この大会のために整備された古道を登ってたどり着くアパリゾート妙高は102kmとなったコースでは要となるエイド。ここで選手はドロップバッグの受け取りとペーサーとの同伴を始めることになります。ここにトップで到着したのはシェルパで、3分差で小原将寿が2番手。エイドで入れ違いになった二人が握手をする場面もありました。ここに3番手でやってきたのは野本哲晃で、シェルパから13分と少し差が開いてきたように思えました。その野本から2分で4番手の高橋和之 Kazuyuki Takahashiが迫っていました。この4人は山から下りて、関川を渡って国立妙高青少年自然の家(71km)のエイドでも順位は変わらず。シェルパを先頭に、5分差で小原、小原から16分で野本、そしてそのすぐ後ろに高橋で、高橋が野本に追いつきそうな勢いです。

アパリゾート妙高に4位で到着した高橋和之。

しかし、ここからドラマが展開し始めます。藤巻山の登り、そして終盤に控えていた丸山のスキーゲレンデの急坂登りという難所を経た赤倉(89km)のエイドに最初に来たのはシェルパでしたが、2番手の小原との差は10分に広がっていました。一方、3番手の野本はこの時小原から8分差と差を縮めています。野本からはわずかの差で高橋がエイドに到着しますが、明らかに疲弊した様子。レース後に聞いたところでは、この時ハンガーノック気味で、前後の選手との競り合いで体力を消耗したとのことでした。

赤倉のエイドでのサンゲ・シェルパ。どこでも笑顔を絶やさなかった。

野本哲晃が集中した表情で赤池を出発。フィニッシュではサンゲ・シェルパに3分差まで迫る。

高橋和之は赤倉のエイドで苦しそうな様子をみせる。

コース短縮で新たなフィニッシュ地点となったのは黒姫(102km)。早朝の6時43分に、11時間13分38秒でサンゲ・シェルパがフィニッシュして優勝を勝ち取りました。サプライズは2位に野本哲晃がフィニッシュしたことでした。しかもそのタイムはシェルパからわずか3分後。野本は2位を走っていた小原を抜いていたうえ、最後の13kmでシェルパとの差を18分から3分まで縮める猛烈な追い上げをやってのけたことになります。3位になった小原将寿もシェルパとの差は6分半で、赤倉からの差は縮まっています。

サンゲ・シェルパが100マイルの優勝者となった。

さらにもう一つのサプライズは4位に田中 “JR” 裕康 Hiroyasu Tanakaがフィニッシュしたことでした。ラップタイムが秒単位で電車のように正確というところから 「JR田中」がニックネームになっている田中はこの日は前半は落ち着いた様子で赤池(37km)では9位でしたが、アパリゾート妙高(56km)では5位に浮上。そして赤倉(89km)では4位でエイドに到着していた高橋がエイドで少し休んでいる間に、あっという間に補給を済ませて高橋より先にエイドを出ていました。そのまま田中はサンゲ・シェルパから23分後に4位でフィニッシュ。今回の信越五岳でもっとも華麗なレースをした一人となりました。終盤に苦しんだ高橋和之も、トップから27分、田中からは4分で5位に入りました。6位には大島拓郎 Takuro Ohshima、7位に韓国のレジェンド、シン・ジェドク Jaeduk Sim、8位に大作健次郎 Kenjiro Osaku、9位に中田匡俊 Masatoshi Nakata、10位に花岡尚賢 Naoyoshi Hanaokaでした。

田中”JR”裕康が4位でフィニッシュ。

信越五岳では上位常連の西城克俊は、最初の斑尾山で転倒、右腕に傷を負うことなりながらもフィニッシュ。

永田務は文字どおり、倒れこむようにフィニッシュした。

女子のレースは高島由佳子 Yukako Takashimaがリードしますが、赤池(37km)では3分差で佐川絵美 Emi Sagawaが続いていました。しかし後半に高島はどんどん2位との差を広げて、13時間39分55秒で黒姫にフィニッシュ。2位になった佐川絵美との差は40分まで広がっていました。3位には100マイルの経験と実績豊富な鈴木潤子 Junko Suzuki、4位に村井絢子 Ayako Murai、5位に宮島亜希子 Akiko Miyajimaが続いてフィニッシュしています。

赤池のエイドをトップで出発する高島由佳子 Yukako Takashima。

高島由佳子が黒姫にフィニッシュ。

2位になった佐川絵美。

3位でフィニッシュした鈴木潤子。

100マイルのレースは443人がスタートし、356人がフィニッシュ。87人がDNFという厳しい結果となりました。

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110kmは山田琢也、福島舞が優勝

17日日曜日の午前5時30分にスタートした110kmのレースもコースは黒姫までの52kmに短縮されました。男子のレースはハイペースで進みますが、バンフ(24km)でペーサーと合流してから袴岳への登りに入るところで、山田琢也 Takuya Yamadaが勝負をかけて単独でリードし始めます。この動きに、昨年のこの大会で4位となっていてフルマラソンPRが2時間23分という辻友寛 Tomohiro Tsujiは追従せず。結局、山田琢也がリードを守り、4時間23分44秒で優勝しました。2位の辻友寛は7分差でフィニッシュ。3位に荒木諒 Ryo Araki、4位に佐藤雄太郎 Yutaro Sato、5位に野永健宏 Takehiro Nonagaとなりました。

山田琢也(右)が110kmで優勝。

女子のレースは2015年に斑尾50kで優勝している福島舞 Mai Fukushimaが5時間31分38秒で優勝。ペーサーで姉の福島和可菜さんと一緒にフィニッシュしました。2位には齊藤香織 Kaori Saitoが10分差で続きました。3位に久津間紗希 Saki Kutsuma、4位に今田麻紀子 Makiko Imada、5位に湯浅綾子 Ayaka Yuasaが続きました。

110km女子は福島舞(左)が優勝。ペーサーの福島和可菜さんと一緒にフィニッシュ。

110kmのレースは612人がスタートし、606人がフィニッシュしています。

新しい試みを続ける信越五岳、来年はフィニッシャーにバックルも

18日月曜日に赤倉体育センターで行われた表彰式では、大会プロデューサーの石川弘樹さんが、地元のみなさん、協賛各社の皆さんを含め、たくさんの方がボランティアとして大会を支えてくださったことに感謝。今回は各エイドは班長が運営を取り仕切る形にしたことなどの紹介もありました。

さらに挨拶の最後にはサプライズとして、今回の信越五岳では完走したランナーには栄誉を讃えて、この表彰式の最後に一人一人バックルを手渡す予定だった、とのお話も。コースが短縮された今回はバックルは見送るものの、来年は完走者に贈られるフィニッシャーズ・バックルを楽しみにしてほしい、とのことでした。表彰式の最後にバックルを直接手渡すのは、ウェスタンステイツでも毎回行われているスタイル。信越五岳を象徴する新しいイベントとなりそうです。

表彰式で挨拶する石川弘樹さん。

バックルが一瞬披露された。

信越五岳トレイルランニングレース2017 リザルト

全体のリザルトはこちらから。

100マイル(短縮されて102km)

(女子)

100マイル(短縮されて102km)の女子表彰台。左から4位の村井絢子、5位の宮島亜希子、6位の内山みちこ、優勝の高島由佳子、2位の佐川絵美、3位の鈴木潤子、 8位の宮崎美智子、9位の高島麻衣子、10位の岡さゆり。(7位の竹村香苗は欠席)

  1. 高島由佳子 Yukako Takashima 13:39:55(総合23位)
  2. 佐川絵美 Emi Sagawa 14:19:59
  3. 鈴木潤子 Junko Suzuki 14:44:44
  4. 村井絢子 Ayako Murai 15:09:45
  5. 宮島亜希子 Akiko Miyajima 15:24:53
  6. 内山みちこ Michiko Uchiyama 15:35:08
  7. 竹村香苗 Kanae Takemura 15:40:34
  8. 宮崎美智子 Michiko Miyazaki 16:11:43
  9. 高島麻衣子 Maiko Takashima 17:00:23
  10. 岡さゆり Sayuri Oka 17:10:14
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(男子)

100マイル(短縮されて102km)の男子表彰台。左から10位の花岡尚賢、6位の大島拓郎、優勝のサンゲ・シェルパ Sange Sherpa、2位の野本哲晃、3位の小原将寿、4位の田中裕康、5位の高橋和之。(7位のシン・ジェドク Jaeduk Sim、8位の大作健次郎、9位の中田匡俊は欠席)

  1. サンゲ・シェルパ Sange Sherpa 11:13:37
  2. 野本哲晃 Tetsuaki Nomoto 11:16:53
  3. 小原将寿 Masatoshi Obara 11:20:02
  4. 田中裕康 Hiroyasu Tanaka 11:36:46
  5. 高橋和之 Kazuyuki Takahashi 11:40:43
  6. 大島拓郎 Takuro Ohshima 11:52:48
  7. シン・ジェドク Jaeduk Sim(沈在徳) 12:07:35
  8. 大作健次郎 Kenjiro Osaku 12:17:45
  9. 中田匡俊 Masatoshi Nakata 12:30:04
  10. 花岡尚賢 Naoyoshi Hanaoka 12:45:22
  11. 田辺慎一 Shinichi Tanabe 12:48:50
  12. 志村裕貴 Hiroki Shimura 12:59:41
  13. 齋藤賢一 Kenichi Saito 13:09:17
  14. 藤井昌彦 Masahiko Fujii 13:09:25
  15. 澤道人 Michito Sawa 13:10:03
  16. 西城克俊 Katsutoshi Saijo 13:19:30
  17. 渡邉孝浩 Takahiro Watanabe 13:22:00
  18. 山影智美 Tomomi Yamakage 13:22:58
  19. 小川祐一 Yuichi Ogawa 13:26:36
  20. 清水暁 Akira Shimizu 13:32:29

110km(短縮されて52km)

(女子)

信越五岳トレイルランニングレース 110km(短縮されて52km)の表彰台。左から10位の野田麻利江、9位の赤松祥江、優勝の福島舞、2位の齊藤香織、3位の久津間紗希、4位の今田麻紀子、6位の惠中彩恵、7位の橋本智子。(5位の湯浅綾子、8位の鹿島田真理子 は欠席)

  1. 福島舞 Mai Fukushima 5:31:38(総合28位)
  2. 齊藤香織 Kaori Saito 5:41:07
  3. 久津間紗希 Saki Kutsuma 5:54:49
  4. 今田麻紀子 Makiko Imada 5:57:25
  5. 湯浅綾子 Ayaka Yuasa 5:58:01
  6. 惠中彩恵 Sae Enaka 5:58:57
  7. 橋本智子 Tomoko Hashimoto 6:01:32
  8. 鹿島田真理子 Mariko Kashimada 6:09:34
  9. 赤松祥江 Sachie Akamatsu 6:18:31
  10. 野田麻利江 Marie Noda 6:21:50
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(男子)

110km(短縮されて52km)の表彰台。左から4位の佐藤雄太郎、5位の野永健宏、6位の西原隆之、優勝の山田琢也、2位の辻友寛、3位の荒木諒、7位の平賀太智、8位の武田敦岐、10位の竹之内正臣。(9位の佐々木智範は欠席)

  1. 山田琢也 Takuya Yamada 4:23:44
  2. 辻友寛 Tomohiro Tsuji 4:30:32
  3. 荒木諒 Ryo Araki 4:43:56
  4. 佐藤雄太郎 Yutaro Sato 4:44:45
  5. 野永健宏 Takehiro Nonaga 4:50:04
  6. 西原隆之 Takayuki Nishihara 4:50:24
  7. 平賀太智 Taichi Hiraga 4:51:59
  8. 武田敦岐 Atsuki Takeda 4:57:04
  9. 佐々木智範 Tomonori Sasaki 4:57:35
  10. 竹之内正臣 Masaomi Takenouchi 5:00:00
  11. 吉田成伸 Shigenobu Yoshida 5:01:44
  12. 園田義人 Yoshihito Sonoda 5:05:59
  13. 千保翼 Tsubasa Senbo 5:07:04
  14. 木村元 Gen Kimura 5:07:56
  15. 三浦翔 Sho Miura 5:08:18
  16. 橋本洋平 Yohei Hashimoto 5:13:51
  17. 端直彦 Naohiko Hata 5:19:59
  18. 遠藤達弥 Tatsuya Endo 5:20:34
  19. 吉清一博 Kazuhiro Yoshikiyo 5:23:31
  20. 上坂拓己 Takumi Uesaka 5:24:06
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