ギアレビュー RaidLight・Responsiv 10L バックパック

フランス生まれのトレイルランニング・ブランドであるレイドライトは革新的で細部にこだわったものづくりで、日本のトレイルランニング・ファンの間でも人気です。先月東京で行われたレイドライトの展示会を訪ね、チーム・レイドライトのアスリートであるいいのわたるさんに今シーズンのおすすめを教えていただきました。

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Responsiv 10L バックパック

レイドライトのトレイルランニング向けバックパックのラインナップの中で、軽さとフィット感を追求したレース向けモデルとして「Responsivシリーズ」が登場したのは昨年。今シーズンはショートコース向けの3リットルからファストパッキングにも使用可能な25リットルまで4つのサイズが展開されます。

その中でも10リットルの「Responsiv 10L」は100kmや100マイルのレースに必要なウェアや装備品を収めるのに十分な容量を備えながら、重さはわずか245グラム。同じレイドライトのより汎用性の高いモデルと比べて約半分という軽さです。今年2月にブラックを基調にした日本市場限定バージョンも発売されます。

シンプルなデザインと高いフィット感を両立

Responsiv 10Lは伸縮性の高い生地をレーザーで精密に裁断するレーザーテック・テクノロジーをフル活用。これにより、外から見た感じではいくつかの生地のパーツが組み合わされただけのごくシンプルなデザイン。よくあるジッパーやドローコードといった細かいパーツは最小限にしか用いないことで、245グラムという軽さを実現しています。

RaidLight Responsiv 10Lはシンプルなデザインだが、フィット感の高いベスト型のバックパックだ(以下、写真は2月発売の日本市場限定モデルのプロトタイプ)。

しかし、実際に身につけてみると、バックパック全体に伸縮性のある生地が使われているためどんな体の動きをしても背中に遊びを感じることがないことに驚きます。実際に背中の荷室に荷物を入れてみると、底の方に荷物がたまらずに背中の中央に荷物が収まるような作りとなっていることがわかります。シンプルな見た目ながら、高いフィット感を実現するために考え抜かれていることがわかります。

両脇に設けられたダイヤルは、バックパックの側面部をワイヤーで締めたり緩めたりすることでフィット感を高めるギミック。これを締めれば背中の荷物が少ないときでも揺れを感じることもないでしょう。もちろん、夏の暑い時期には緩めて風通しを緩めるのも一瞬です。いいのわたるさんも「このダイヤルでフィット感を調整できる仕組みが最高です。気候や体調に応じてパッと締め方を変えられる便利さに慣れるとやみつきになります」と絶賛していました。

両脇に配置されたダイヤルでフィット感を簡単に調整できる。

見た目以上に大容量、高機能

一見シンプルなデザインのResponsiv 10Lですが、100マイルのような長距離トレイルレースに便利な収容スペースを十分確保していることに驚かされます。海外の数百キロというような超長距離のレースも経験豊富ないいのさんによれば「100マイルはもちろん、200マイルのレースでもこれで十分」だそうです。

フロントには今や定番ともいえるドリンクを入れられるポケットが左右についています。このポケットは600mlのイージーフラスク(本製品に二本が付属します)がそれぞれ収まるという大容量です。ポケットの入口を絞るドローコードはなく、生地の伸縮性だけでしっかりイージーフラスクをホールド。ポケットには伸縮性のあるストラップが斜めに配置されていて、中に入れたものがポケットの中で踊るのを防いでいます。さらにこのフラスク用のポケットの下にエナジージェルなどを入れておけるポケットも配置されています。

付属の600mlのイージーフラスクが収まるフロントのポケット。

背面の収納スペースは一気室のシンプルなつくりですが、トップの入口にはジッパーもストラップもなく、密閉されない構造です。これでは行動中に背中に入れていたものが落ちてきてしまうのでは、と気になるかもしれません。しかし実際に着用すると背中から肩へのカーブによりトップの入り口が左右に引っ張られることで、うまい具合に入り口は閉じたままとなります。生地の伸縮性やパーツの形状に工夫を重ねることで可能になったこの構造によってジッパーやストラップが不要になり、その分軽くて壊れにくくなっているのです。

背中の荷室の入り口はジッパーなどをつけずに生地の伸縮だけで閉じる構造となっている。

なお、背面にはちょっとした小物を収納しておけるポケットもあるのですが、オリジナル・バージョンではポケットの中に中ぶたとなる生地があるだけで入り口を密閉するジッパーはないという徹底ぶり。ただ、日本のユーザーの声に応えて、2月に発売される日本市場限定バージョンではこの背面メインポケット内側にジッパーポケットが設けられます。

先に紹介したように、フロントには600mlのイージーフラスクを2本収納できますが、背中の荷室にもハイドレーション・バッグを固定できるストラップがあるので、状況に応じて使い分けることも可能です。

さらに、下の写真のように背中にはトレッキングポールを固定できるようにポケットとストラップが配置されているのも、ポール活用派にはうれしいギミックでしょう。なお、ポールは体前部のフロントポケット(イージーフラスクが入るポケット)の上に、ポケットの上に配置されているストラップを使って左右にまたがる形で固定することも可能。こちらの方が重心が前にきて、ポールの着脱が用意です。

側面にはトレッキングポールを装着可能。「ここにポールを付けられるのは気づいてましたが、意図された機能だとは知りませんでした」といいのさん。デザインと機能が一体化していることがわかります。

  • Responsiv 10 Litres
    • Men’s: 245g, XS-S/M-L/XL
    • Women’s: 245g, XS-S/M-L/XL
    • ¥18,000(税別)
  • Responsiv 10 Litres JP-LTD(日本市場限定バージョン)
    • 245g, XS-S/M-L/XL
    • ¥18,000(税別)

Hyperlight MP+ Jacket

レインシェルはトレイルランニングのギアとして、常に身につけておくべき重要なアイテム。そのため、雨を防ぐ耐水性と蒸れを防ぐ透湿性、さらに常時持ち歩きするための軽量性、収納性という様々な条件が求められます。そこにレイドライトが投入したのが「Hyperlight MP+ Jacket」。レイドライト独自の耐水透湿素材であるMP+メンブレインの中でも最も高い防水性(20K)、透湿性(25K)を誇るMP+メンブレインを使用。レースで必携品とされることの多いフード付き防水透湿ジャケットでありながらわずか115グラムという軽さを実現しました。いいのさんは「素材に伸縮性があって、無理な力をかけずにフードのポケットにジャケット全体をしまうことができるのもナイスです」とこのジャケットのポイントを話してくれました。

いいのさんはレースでは軽量さを追求するため、あえてレディスのジャケットを選んだり、タグを取ることもあるという。

もちろん軽さだけでなく、左の袖口にはGPSウォッチの表示を妨げないクリア素材の窓を設けたり、肩には背負ったバックパックがずれないようにするシリコン素材がプリントされていたりといったギミックも。

肩にはバックパックのずり落ちを防ぐシリコンのプリント。

白くて透明感のある素材なので、ジャケットの上からでもナンバーカードが読み取れる。

左腕の袖はGPSウォッチが読み取れる窓が設けてある。

今シーズンのいいのさんのウェアはXP-Fit3D SS TopとTrailRaider Short。

昨年はアメリカのデスバレーで行われ、灼熱のウルトラマラソンとして有名な「バッドウォーター135」で優勝するという快挙をなしとげたいいのさん。今年は3月3日にオーストラリア・タスマニア島で開催された101kmのアドベンチャーラン「Gone Nuts 101 Adventure Run」に出場して優勝。今年1月に赴任先のインドから帰国して東京に住んでいるそうですが、今シーズンもいいのさんとレイドライトの冒険の旅は続きそうです。

  • XP-Fit3D SS Top
    • 150g, S-L
    • ¥10,000(税別)
  • TrailRaider Short
    • 150g, S-XXL
    • ¥6,800(税別)

(協力:グループ・ロシニョール株式会社 RaidLight Vertical Division

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