台風の影響で見込まれていた雨には幸いにもほとんど見舞われず、結果としては恵まれたコンディションで開催されました。先週末の6月10日日曜日に岐阜県高山市で第7回「 飛騨高山ウルトラマラソン 」が行われました。100kmのレースでは男子は昨年のIAU24時間走世界選手権チャンピオンの石川佳彦 Yoshihiko Ishikawaが昨年に続いて連覇。女子では中村麻季子 Makiko Nakamuraが今回も圧勝し、五連覇を達成しました。71kmは坂本智史 Tomonori Samamotoが大会記録を6分更新する新記録で優勝。女子の松下直子 Naoko Matsushitaも同じく6分更新して女子新記録で優勝しました。
大会当日は夕方まで曇り空、やや湿度は高く感じましたが強い日差しはなくウルトラマラソンにはよいコンディションでした。早朝の飛騨高山ビッグアリーナから100kmでは2,206人(男子1,887人、女子319人)、71kmでは1,080人(男子754人、女子326人)がスタート。100kmでは1,615人(男子1,401人、女子214人)が完走して完走率は73.2%、71kmでは828人(男子580人、女子248人)が完走して完走率は76.7%となりました。
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今回、当サイトではThe North Faceにご協賛いただき、 Twitterアカウント・@DogsorCaravanでこの大会のライブ速報をお送りしました。ライブ速報の一覧はTogetterのまとめでご覧いただけます。
100km: 石川佳彦に間宮秀幸があと一歩まで迫る
当サイトが先月ライブ速報をお送りした野辺山100kmで2位だった中村麻季子は、この飛騨高山では2014年の第三回大会から優勝を重ねていて、その優勝タイムも昨年の8時間21分24秒(大会記録)まで年々自身の記録を上回り続けていました。「レース序盤は体調もベストではなかった」というものの、今年も他の女子選手を寄せ付けない圧倒的なタイムでレースをリード。自身の昨年のタイムにはおよびませんでしたが8時間41分30秒で優勝。男女総合で13位となっています。
昨年のこの大会で6位だった岡田奈巳 Nami Okada が中村から30分差でフィニッシュして2位に。9時間11分というタイムで昨年の自身のタイムを1時間近く上回りました。3位はベテランの出野ひろみ Hiromi Denoで9時間16分。丹後ウルトラマラソンでは2012年、13年、15年に60kmで優勝、14年に準優勝、2016年に100kmで優勝、昨年は台湾の南横ウルトラマラソン100kmで優勝していて、今回は初挑戦の飛騨高山でした。
男子のレースは序盤から近藤俊介 Shunsuke Kondoが先頭に立ちます。選手が最初の長い登りとなる美女高原を越えた後、当サイトが第一関門(道の駅ひだ朝日村、21.8km)の手前で見たところでは後続に5分ものリード。続くのは石川佳彦と澤原雄一 Yuichi Sawaharaの二人、その2分後に斎藤良介 Ryosuke Saitoが続くという展開でした。
さらに10kmもの長い登りを経てたどり着く、コース最高点のある飛騨高山スキー場 (39.2km)には澤原がトップ、50秒差で石川、さらに40秒後に近藤、さらに4分で斎藤という展開になっていました。この後、当サイトはスキー場からの急坂を下りてきたコースの中間点、岩滝(49.5km)で選手を待ち受けました。ここでトップに立っていたのは石川。その30秒後に近藤が続きましたが、エイドを出てからは足が止まって歩くことになり、おしくもレースはリタイア。この二人に続いたのは澤原と間宮秀幸 Hideyuki Mamiya。間宮は第一関門手前ではトップから8分の8番手、スキー場でも7分差の5番手でしたが、ここからの下りで先行する選手との間を詰めます。当サイトが岩滝に向かう途中の下りでは間宮は澤原に先行していましたが、岩滝のエイドまでには澤原が抜き返していて、トップの石川から4分差の3位。その後1分で間宮が4位で続きました。
飛騨高山ウルトラマラソンのハイライトと言うべき急坂の登りと109段の階段がある千光寺(61.9km)には石川がトップで到着しますが、2番手には間宮、3番手に澤原が4分差で追います。当サイトではその後もこの3人のレースを追い、千光寺から下りて国府から宮川沿いに上流へと向かう79.5km地点では石川と間宮の差が2分まで縮まっていました。
しかし最後の20kmの途中にある、地図上では目立たないものの長く続く上り坂で石川はしっかりと間宮を引き離して岐阜県畜産試験場の横にある91.5km付近では4分差に。石川佳彦 Yoshihiko Ishikawaはそのままリードを守って飛騨高山ビッグアリーナに7時間33分58秒でフィニッシュ。昨年のタイム(7時間21分26秒)には12分ほどおよびませんでしたが、ウルトラマラソンのトップアスリートの実力を発揮しました。
2位になったのは間宮秀幸 Hideyuki Mamiya。フィニッシュでは石川との差が2分6秒差と、最後まで諦めないしぶとい走りを見せつけました。世界チャンピオンを相手にみせた粘り強い走りにはウルトラランナーとしての高い実力の持ち主であることを印象付けられました。後続の選手はこの二人からは30分以上の大差をつけられることになり、3位には斎藤良介 Ryosuke Saitoが8時間8分12秒でフィニッシュ。4位と5位には澤原雄一 Yuichi Sawahara(8時間12分49秒)、宮崎忠勝 Tadakatsu Miyazaki(8時間17分38秒)とこの大会の上位常連がランクイン。6位の福井崇延 Takanobu Fukuiは2015年から4年連続でこの大会に出ていますが、今回はタイム、順位とも自己ベストとなる8時間17分43秒で表彰台に立つベスト6入りを果たしました。
このほか、今回の飛騨高山ウルトラマラソンには42歳でフルマラソン2時間18分55秒など長野県の陸上ファンの間ではレジェンドとして知られる利根川裕雄 Hiroo Tonegawaが出場し、8時間38分31秒でフィニッシュして11位となっています。
リザルト
以下はいずれも大会ウェブサイトに掲載されている速報です。
100km男子
- 石川佳彦 Yoshihiko Ishikawa 7:33:58
- 間宮秀幸 Hideyuki Mamiya 7:36:04
- 斎藤良介 Ryosuke Saito 8:08:12
- 澤原雄一 Yuichi Sawahara 8:12:49
- 宮崎忠勝 Tadakatsu Miyazaki 8:17:38
- 福井崇延 Takanobu Fukui 8:17:43
- 前田亮太 Ryota Maeda 8:24:43
- 粉川秀次 Hidetsugu Kokawa 8:28:36
- 江端孝則 Takanori Ebata 8:29:37
- 宮城要 Kaname Miyagi 8:35:24
11 利根川 裕雄 Hiroo Tonegawa 8:38:31
100km女子
- 中村麻季子 Makiko Nakamura 8:41:30
- 岡田奈巳 Nami Okada 9:11:11
- 出野ひろみ Hiromi Deno 9:16:57
- 坂上由美子 Yumiko Sakagami 9:36:29
- 西岡真紀 Maki Nishioka 9:48:00
- 佐藤真琴 Makoto Sato 9:54:31
- 井村知世 Tomoyo Imura 10:14:42
- 前田幸子 Sachiko Maeda 10:22:33
- 髙木麻美 Asami Takagi 10:26:21
- 丸山有紀 Yuki Maruyama 10:27:52
71km男子
- 坂本智史 Tomonori Samamoto 4:41:38
- 山口拓海 Takumi Yamaguchi 5:00:19
- 生駒卓也 Takuya Ikoma 5:07:54
- 谷口善隆 Yoshitaka Taniguchi 5:10:38
- 樋山邦治 Kuniharu Hiyama 5:22:15
- 岡村豊明 Toyoaki Okamura 5:23:20
- 玉田利之 Toshiyuki Tamada 5:32:43
- 長谷川淳 Jun Hasegawa 5:34:59
- 清水慎也 Shinya Shimizu 5:39:43
- 大島雄治 Yuji Oshima 5:45:34
71km女子
- 松下直子 Naoko Matsushita 6:06:56
- 加納佐知子 Sachiko Kano 6:18:00
- 緒方雅子 Masako Ogata 6:28:46
- 山本明美 Akemi Yamamoto 6:47:38
- 金森冴香 Sayaka Kanamori 6:57:05
- 木内和恵 Kazue Kiuchi 7:06:24
- 小澤清子 Kiyoko Ozawa 7:08:26
- 渡辺ゆりか Yurika Watanabe 7:40:02
- 仙石十三子 Tomiko Sengoku 7:43:24
- 小野寺早紀 Saki Onodera 7:44:33