アメアスポーツジャパン株式会社スントはマルチスポーツGPSウォッチ「SUUNTO 9」を6月26日に発売しました。SUUNTOのフラッグシップモデルであり、GPSを使用した状態で最長120時間という長時間のバッテリーライフを実現。さらにインテリジェントバッテリーモードが搭載されたことで、必要な機能を見極めながらフィニッシュまで確実にバッテリーを持続させることが可能になりました。
当サイトではプレス関係者向けに行われた「SUUNTO 9」のローンチイベントに出席しました。この記事では新発売の「SUUNTO 9」に関するプレゼンテーションと、トレイルランニングとトライアスロンのウルトラアスリート、5人によるトークショーについてご紹介します。
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バッテリーライフを追求したスントの新しいフラッグシップ
プレゼンテーションに登壇したスント・ブランドマネージャーの関根由美子氏は新発売の「SUUNTO 9」について「スントにとってのハロープロダクト(halo product、マーケティング用語で目玉となる基幹製品)であり、この分野においては市場で最高の製品」と説明します。
今後モデル名はナンバリングに
スントではAmbit、Core、Spartanとモデル毎に異なる名称をつけていたのを一新し、今後はシリーズ名を示すナンバリングをモデル名に取り入れることになります。すなわち、今後はSUUNTO 9を頂点としてナンバリングによってハイエンド・ローエンドの位置づけやアクティビティや用途の違いが明確に。既に先行して軽量なフィットネス用途の「SUUNTO 3 Fitness」が販売されていますが、「ミドルレンジのモデルとして『SUUNTO 7』や『SUUNTO 5』が登場する可能性もある」(関根氏)ようです。
ロングバッテリーライフの追求とそれを可能にする新機能
「SUUNTO 9」のバッテリーの持ち時間としては「パフォーマンスモードで25時間、ウルトラモードでは最大120時間」となっています。ちなみにこのパフォーマンスモードとはGPSの信号取得を最も高い頻度で行い、時計本体の光学式心拍センサーを使用する場合(ベルト式の心拍センサーを使う場合は30時間)。バッテリーモードにはGPS信号取得を1分おきにするエンデュランスモード(光学式心拍センサーを使用する場合で40時間)と、2分おきにするウルトラモード(120時間)もあります。ただし、ウルトラモードの場合は心拍の計測は行わず、スマートフォンとのBluetooth接続はオフ、LCDスクリーンの輝度は最小限で操作をしてから10秒で表示はオフになる、という徹底した省電力モード。SUUNTOの従来モデル、あるいは他社の競合モデルでは、パフォーマンスモードやエンデュランスモードに相当するバッテリー持続時間については「SUUNTO 9」と同等の製品もありますが、ウルトラモードの120時間というのは飛び抜けて長いバッテリー持続時間だといえるでしょう。
しかし120時間持続するとはいえ、機能が著しく絞られるウルトラモードをスタートからフィニッシュまで使い続けるというのも使用シーンは限られるように思えます。
ここで「SUUNTO 9」の四つのバッテリーモード(パフォーマンス、エンデュランス、ウルトラに加え、各種の設定を自分で設定できるカスタムモードがあります)を画期的に便利にするのが、バッテリーモードをアクティビティの途中で切り替えることができるインテリジェントバッテリーモード。例えば、100マイルのレースでスタートからGPSログが最も正確なパフォーマンスモードを使っていたところ、想定よりも時間がかかって25時間を超えそうだと思ったらそこでエンデュランスモードやウルトラモードに切り替えることが可能なのです。
さらに、「SUUNTO 9」自体がバッテリー残量が減ってくるとモードの変更を促したり、「SUUNTO 9」を使って定期的にトレーニングをしていると、長時間のトレーニングをする曜日にはあらかじめ充電を促す通知が表示されるという細やかさ。このスマートリマインダー機能は業界で初めて「SUUNTO 9」に導入されました。
そして「SUUNTO 9」のロングバッテリーライフの威力を強化する新機能があります。バッテリーが長く持続するのはGPSの信号取得の頻度を1分、2分と長くするからですが、これに伴い取得できるGPSログは実際に走ったコースよりもカーブやターンがずれたり不正確に。そうすれば走行距離や獲得標高のデータの精度も低くなります。このデメリットを解決するのが「FUSEDTRACK™️」機能。これは時計の内部にあるモーションセンサーを使って検出されるランナーの腕の動きからGPSの読み取り誤差を修正するというもので「SUUNTO 9」で初めて導入。バッテリーモードをエンデュランスモード(GPS1分間隔)やウルトラモード(GPS2分間隔)にした場合は自動的に「FUSEDTRACK™️」によりGPSログがより正確な移動経路に修正されます。
新しいアプリ、SUUNTO APPは機能向上に向けて今後もアップデート
スポーツ向けGPSウオッチにとって、アクティビティのログをとって過去の自分と比べて成長を確かめたり、仲間のトレーニングに「いいね」をつけられる機能を提供するウェブサービス、スマートフォンアプリは重要な存在です。SUUNTOでは「MOVESCOUNT」がその役割を担っていますが、今年SUUNTO 3 Fitnessが発売されたのにあわせて新しいアプリとして「SUUNTO APP」が提供されています。「SUUNTO APP」はソーシャルネットワーク機能が強化されたアプリですが、現状ではルートの作成・同期、スポーツモードのカスタマイズ、Stravaなど他のサービスへの接続といった機能が含まれていません。これについては「年内にSUUNTO APPは大幅な機能アップが予定されている」(関根氏)とのこと。さらに「MOVESCOUNTの提供、アップデートも継続していく」とのことでした。
なお、SUUNTO 9については「SUUNTO APP」、「MOVESCOUNT」のどちらに同期することも可能ですが、スマートフォンにおいては両方のアプリと同期させることができないため、どちらかを選ぶ必要があります(両方のアプリの間でのデータの同期も行われません)。パソコンでのウェブサービスについては「MOVESCOUNT」とのみ同期可能です(現時点では「SUUNTO APP」はパソコンでのウェブサービスがまだ提供されていません)。このため、過去のトレーニングログと連続してデータを参照したい場合やStravaと同期させたい場合には、今のところは「MOVESCOUNT」を選ぶ必要があるでしょう。
当サイトが試したところではスマートフォンでは「SUUNTO APP」にトレーニングログを同期させながら、パソコンではUSB経由で「MOVESCOUNT」に(およびそこからSravaに)同期させることが可能でした。
アスリートの皆さんにとっては待望のロングバッテリーライフ
続いてのスント・アスリートによるトークセッションには、トレイルランニングから石川弘樹、大瀬和文、丹羽薫、菅谷和巳、トライアスロンから太田麻衣子、山本淳一の皆さんが登壇。
今回発売された「SUUNTO 9」については「バッテリーが長持ちするのは素晴らしい」と意見が一致。山本淳一さんは「トライアスロンではスピードのあるバイクで正確に距離やラップを把握したいので、GPSを高い精度で使えるモードで長時間使えることが大事です。SUUNTO 9はパフォーマンスモードで25時間持つので、初心者の方でもバッテリーの寿命を意識しなくて済むので安心して使えますね」とロングバッテリーライフを絶賛。
石川弘樹さんは「トレイルランニングでは100マイルのようなレースではもちろんですが、旅先でトレイルランニングを楽しむ場合にもGPSウォッチで正確にログを記録したり、ナビゲーション機能を活用すれば安全に楽しめます」と話しました。「先日も韓国のトレイルマップが十分整備されていないエリアを走りましたが、大雨でコースを見失うことがありました。来た道を引き返してコースに戻りましたが、あとでMOVESCOUNTでログを確認すると、間違えた箇所が確認できるだけでなく、地形やトレイルの位置関係がよく理解できました」(石川さん)。
アクティビティの途中で切り替えることができるインテリジェントバッテリーモードを高く評価するのは大瀬和文さん。「実は今までも100マイルのUTMFのように長いレースを走るときは、見晴らしがよくてコースが直線的なところではGPSの感度を下げて(信号の取得間隔を長くして)、少しでもバッテリーを長持ちさせるようにしていました」とのこと。「SUUNTO 9ではスマートリマインダー機能を活用すればレースに集中できるのが助かりますね」といいます。
トライアスリートの太田麻衣子さんは、方向間隔が把握しにくいスイムのログを正確に記録できるのがいい、とのこと。初心者に指導する際も、正確なログがあると左右にずれて泳いでいることをはっきり示すことができるので効果的なのだそうです。このほかにも「チームで自転車のツーリングに出かける時も、SUUNTOでどれくらいの標高差を登ったかその場でお話しすると、参加者の皆さんの達成感が高まります」とノウハウを話しました。
菅谷和巳さんはici club神田店で接客する経験から「SUUNTO 9はさらに機能を直感的に使いやすくなっていると感じる」といいます。お客さんへのおすすめのスクリーンの設定として「最大で8項目を表示できるのですが、少なくとも一画面目は見やすくなるようにタイムや距離などの3項目か4項目に絞る」ようにすすめているそうです。
丹羽薫さんはナビゲーション機能で命拾いをしたことも。「スキーをしているときに吹雪で視界がきかず、自分の進んできた跡も積雪でわからなくなってしまったことがあります。SUUNTOには自分がこれまで辿った軌跡と方向を常に記録、表示するブレッドクラム機能があるので、これを使って慌てずに自分が進んできたコースをたどって帰ることができました」というエピソードを披露しました。
SUUNTO 9は2色、心拍モニターの有無を選択可能
SUUNTO 9は6月26日からすでに発売されており、BARO BLACKとBARO WHITEの2色を展開。胸につける心拍モニターとベルトのセットされたモデルも選ぶことができます(本体には光学式心拍センサーがついていますが、胸にベルトでつける心拍モニターを使うと光学式センサーは自動的にオフとなり、バッテリーライフがのびます)。
当サイトではSUUNTO 9を試用していますので、後日レビューをお届けする予定です。
SUUNTO 9 製品概要
- 品名: SUUNTO 9 /スント ナイン
- カラー: 全2色(BARO BLACK,BARO WHITE)
- 品番:
- BARO BLACK – SS050019000
- BARO WHITE – SS0500210000
- BARO HR BLACK – SS050089000
- BARO HR WHITE – SS050090000
- 価格:
- 78,000円(本体価格、時計のみ)
- 82,000円(本体価格、心拍モニターとベルト付き)
- 重量: 79g
- ケース径: 50mm × 50mm
- 厚さ: 15,8mm
- 素材:
- ベゼル – ステンレス・スチール
- 風防 – サファイアガラス
- ストラップ – シリコン
- 防水: 10 気圧(100m)
- 電池: リチウムイオンバッテリー内蔵 ※USB充電ケーブル付属
- バッテリー持続時間: GPSを使用した状態で最長120時間
(source: アメアスポーツジャパン株式会社スント)