新世代の選手が躍進・IZU TRAIL Journey 伊豆トレイルジャーニー 2021・リザルト

レースの結果はコロナ禍の2年を経て、日本のトレイルランニングが新しい時代を迎えつつあることを印象付けました。

今回で9回目となるIZU TRAIL Journey 伊豆トレイルジャーニー(ITJ)は二つのレースが12月12日日曜日に開催されました。距離69.1km、累積標高3,242mD+のITJ70kの女子は昨年のこの大会で予想外の終盤のブレーキにより2位だった吉住友里 Yuri YOSHIZUMIが実質的な大会新記録となる6時間59分で雪辱を果たしました。2位にはレース前半をリードした秋山穂乃果 Honoka AKIYAMA が23分弱の差の7時間21分で2位。上田絢加 Ayaka UEDA はトップ3圏内を終始キープして7時間36分で3位でした。一方、男子は上田瑠偉 Ruy UEDAが圧倒的な実力を見せつけ、こちらも実質的な大会新記録となる5時間46分で優勝。中盤にペースを落としたものの、コース終盤の快走で甲斐大貴 Hiroki KAIが先行する選手を抜き去って6時間3分で2位に。昨年のチャンピオン、川崎雄哉 Yuya Kawasakiが6時間4分で3位に続きました。

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昨年に続いて2回目の開催となったAround Alone 28kはITJ70kの40.2km地点となる仁科峠のエイドステーションから修善寺総合会館までの距離28.3km、累積標高995mD+。女子は昨年に続いて福田恵里佳 Erika FUKUDA が2時間59分で優勝。男子はサイラス・ジュイ Njui CYRUS が2時間26分で制しました。

(写真・仁科峠での上田瑠偉。photo by Kozo Okushima)

ITJ70k女子:吉住友里が後半の快走で昨年の雪辱を果たす

ITJ70k女子のレースの先頭は昨年と同じく吉住友里と秋山穂乃果の間で競り合うこととなりましたが、昨年は二人がコース前半で並ぶように走っていたのに対し、今年は秋山が先行。宝蔵院(9.7km)で吉住は前に上田絢加を挟んで秋山から1分半の差で3番手。こがね橋(26.0km)では2番手になったものの秋山に2分差。仁科峠(40.2km)でもまだ2分半の差がありました。この間、前に吉住がいると考えていたという秋山を吉住がとらえたのは、仁科峠のエイドを出てまもなくの宇久須峠の付近。前方に秋山を捉えると一気に抜き去ってトップになった吉住は、終盤の下りで大きくさを広げて6時間59分でフィニッシュ。ITJのコースは年によりコースが少しづつ異なりますが、終盤のみが異なりややコースが短かった昨年の秋山の優勝タイムを上回り、2018年以前の71-2kmのコースの優勝タイムが8時間を超えていたことを考えると、今回の吉住のタイムは実質的な大会新記録といえます。

昨年優勝の秋山は土肥駐車場(51.2km)では優勝した昨年の自らの通過タイムにわずか1分遅れと善戦。終盤はややペースが落ちたものの、2位でフィニッシュ。3位の上田絢加は2017年のITJでの11時間50分から大幅にタイムを縮める7時間36分で完走しています。

続いて4位には今シーズンの LAKE BIWA 100、OSJ Kami 100で女子優勝の板垣成美 Narumi ITAGAKI、5位は前回のこの大会で4位の太田美紀子 Mikiko OTA 、6位に今年のスカイランニング日本選手権チャンピオン(スカイウルトラ)の枝元香菜子 Kanako EDAMOTO という結果でした。

ITJ70k男子:上田瑠偉が圧倒的な力を発揮して優勝、中盤に乱れた甲斐大貴が挽回して2位に

ITJ70kの男子のレースは上田瑠偉、甲斐大貴がスタート直後から並んでリード。宝蔵院(9.7km)では二人の1分後に川崎雄哉、近江竜之介、板垣辰矢、横内佑太朗、尾田賢典、吉野 大和の6人の集団が続きました。上田と甲斐は走りやすい林道のセクションを経たこがね橋(26.0km)まで並んで走りますが、その後の二本杉峠、猫越岳などのトレイルに入ると上田が単独で先行し始めます。一方の甲斐は不慣れなトレイルの区間で脚が攣り始めたといい、川崎、近江、吉野に追いつかれることになります。

レースをリードする上田は仁科峠(40.2km)では2位の川崎にすでに9分もの差をつけており、その後も2位以下との差を広げ続けて5時間46分で優勝。コースがこれまでと厳密には異なるものの、女子の吉住の優勝タイムと同じく、上田も実質的な大会新記録といえる好タイムでした。上田は、全て順調で楽しく走り切れたとこの日のレースを振り返りました。

一時は5位に後退した甲斐は仁科峠(40.2km)のエイドで補給をした後は体勢が取り戻せたといい、先行する近江をとらえて土肥駐車場(51.2km)は2位の川崎に2分半遅れの3位で通過。フィニッシュまであと6kmほどの林道の下りで川崎を抜き去り、そのまま2位でフィニッシュ。上田には16分47秒遅れながら、川崎には1分差をつけての2位となりました。

3位の川崎に続いて、4位は吉野大和 Yamato YOSHINO 。これまで20kmくらいまでのレースで活躍してきた吉野が70kmという長めのレースでもその実力を発揮。5位にはまだトレイルランニングの経験は浅い小笠原光研 Koken OGASAWARA が入りました。今回、初挑戦の42kmを超える距離で善戦しながらも、終盤に失速した近江竜之介 Ryunosuke OMI は、2019年UTMB®︎8位の小原将寿 Masatoshi OBARA と並んでコース終盤を進みました。近江が6位、小原が7位でレースを終えました。

男女ともに例年以上に多くの有力選手を集めた今年のITJ70k。これまではロードのマラソン、ウルトラマラソンで活躍しながらもトレイルランニングはまだ始めたばかりの選手や、20代の若手選手が、経験豊富な有力選手が揃うレースでどんな走りを見せるか、注目されました。レースを終えてみれば、そうした新しい世代の選手たちが多数、上位に入る結果となりました。昨年から続くコロナ禍で、トレイルランニングの大会も多くが中止となりましたが、その間に新しい世代の選手たちが力を蓄え、今回のITJでその成果を発揮したのでしょう。今回のITJは日本のトレイルランニング界の一つの節目として記憶される大会となりました。

2021年IZU TRAIL Journeyの表彰式。Photo by Kozo Okushima

リザルト

大会公式のリーダーボードはこちら。全体のリザルトは大会ウェブサイトで公開される予定です。

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ITJ70k 女子

  1. 吉住友里 Yuri YOSHIZUMI (富士山の銘水) 6:59:12
  2. 秋山穂乃果 Honoka AKIYAMA (長野県警察) 7:21:53
  3. 上田絢加 Ayaka UEDA (salomon) 7:36:38
  4. 板垣成美 Narumi ITAGAKI (OLENO) 7:58:41
  5. 太田美紀子 Mikiko OTA (京都炭山修行走) 7:59:34
  6. 枝元香菜子 Kanako EDAMOTO (Columbia Montrail) 8:11:58
  7. 三村希実 Nozomi MIMURA 8:29:53
  8. 安田彩子 Ayako YASUDA 8:34:29
  9. 伊東ありか Arika ITO 8:36:53
  10. 新屋祐希 Yuki SHINYA 8:40:16

ITJ70k 男子

  1. 上田瑠偉 Ruy UEDA 5:46:34
  2. 甲斐大貴 Hiroki KAI (JOHHOKU CABALLO ) 6:03:21
  3. 川崎雄哉 Yuya KAWASAKI (滝ヶ原自衛隊) 6:04:19
  4. 吉野大和 Yamato YOSHINO (大和坂46) 6:13:45
  5. 小笠原光研 Koken OGASAWARA 6:19:34
  6. 近江竜之介 Ryunosuke OMI (adidas TERREX) 6:29:27
  7. 小原将寿 Masatoshi OBARA (Answer4) 6:29:28
  8. 伊藤康 Ko ITO (富士市消防本部) 6:32:38
  9. 森本幸司 Koji MORIMOTO (THE NORTH FACE) 6:33:50
  10. 尾田賢典 Yoshinori ODA 6:34:32
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Around Alone 28k 女子

  1. 福田恵里佳 Erika FUKUDA 2:59:58
  2. 横川海姫 Miki YOKOGAWA 3:13:52
  3. 長谷川梓 Azusa HASEGAWA 3:38:23
  4. 山田千恵 Chie YAMADA 3:39:22
  5. 加藤麻実子 Mamiko KATO 3:41:01
  6. 武村有美子 Yumiko TAKEMURA 3:44:50
  7. 増子ひとみ Hitomi MASHIKO 3:58:29
  8. 楜澤久美子 Kumiko KURUMISAWA 4:03:03
  9. 影山由香 Yuka KAGEYAMA 4:03:26
  10. 齋藤麻梨奈 Marina SAITO 4:04:05

Around Alone 28k 男子

  1. サイラス・ジュイ Njui CYRUS (オン・ジャパン) 2:26:20
  2. 大瀬和文 Kazufumi OSE (salomon/AlpSkiTeam) 2:26:52
  3. 江本悟司 Satoshi EMOTO (三菱自動車岡崎) 2:35:45
  4. 来住裕也 Yuya KISHI (Shioya Mountain Club) 2:53:56
  5. 秦健三郎 Kenzaburo HATA (TEAM Y) 2:56:42
  6. 西城克俊 Katsutoshi SAIJO (RunField) 3:06:19
  7. 北上喜浩 Nobuhiro KITAKAMI 3:07:12
  8. 内田圭 Kei UTIDA 3:07:19
  9. 五十嵐将人 Masato IGARASHI (CHRT) 3:10:35
  10. 新村洋平 Youhei SHINMURA 3:12:17
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