最近は暑さとの闘いとなることが多かったハセツネCUP。2019年の台風、その後のコロナ禍による中止を経て4年ぶりとなった今年の大会は過ごしやすい午後のスタートとなりました。夕方が近づいてくると雨が降り出しましたが、かえって恵みの雨となったのかもしれません。女子のレースでは中止となるまでに三度連続でこの大会で優勝している高村貴子 Takako TAKAMURAが8時間41分49秒で五日市会館にフィニッシュ。大会記録(8時間54分7秒、櫻井教美、2008年)を12分以上縮める大記録を打ち立てました。男子では序盤から吉野大和 Yamato YOSHINOがレースをリード。雨の中も安定してリードを広げて7時間25分56秒でフィニッシュ。初出場ながら王者の走りで勝利を勝ち取りました。女子では秋山穂乃果が2位、相原千尋が3位とハセツネ初挑戦の二人がトップ3入り。男子は2016年大会優勝の川崎雄哉が2位、4回目の出場となる大瀬和文が自己ベストとなるタイムで3位に入りました。
(写真・浅間峠をトップ通過の高村貴子。Photo by Koichi Iwasa, DogsorCaravan)
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レースの展開
以下、今回のレース中のチェックポイントの通過タイムは当サイトレポーターが前後で自ら記録したタイムであり、公式記録とはズレがあります。
女子
4年ぶりの大会でしたが高村貴子 Takako Takamuraの力強い走りはこれまで通り変わっていませんでした。曇り空で気温も上がらない理想的なコンディションの中、浅間峠 22.7kmには二番手で続く秋山穂乃果にすでに10分差でリード。自己ベストの2017年のタイムを5分上回っていました。その後降り始めた雨は選手にとってメリットもデメリットもあったでしょうが、高村にとっては涼しい中でのレースは有利だったのか、ペースはその後も上がり続けます。月夜見 42.0kmで自己ベストを15分上回り、櫻井教美の2008年の通過タイムを14分上回っていました。その後もペースは落ちることなく御岳 58.0kmで自己ベストを20分上回り櫻井のタイムに比べても8分早いというペース。最後まで会心の走りで大会新記録での優勝を果たしました。そして4回連続の優勝は間瀬ちがやの3回を越えて男女通じて大会史上初。ハセツネの女王と呼ぶべき偉業です。
2位で続いたのは秋山穂乃果Honoka AKIYAMA。今年は上田スカイレース、霧島えびの高原33kmで優勝するなど日本を代表するトレイルランナーとして知られる存在です。ハセツネCUPは初挑戦、試走もしないままのレースでしたが、9時間15分34秒は今回の高村貴子、2008年の櫻井の8時間54分7秒、2006年の櫻井の9時間10分50秒に続く歴代4位です。初挑戦での好記録は秋山の非凡な実力の表れでしょう。3位の相原千尋 Chihiro AIBARAはトライアスロンに加えて取り組むトレイルランニングでは2020年ITJで3位となった経験の持ち主。はじめてのハセツネで9時間29分のデビューとなりました。
4位の星野由香理 Yukari HOSHINOはハセツネCUPでは2014年、2015年に準優勝。今年4月のUTMF3位に続いて、安定した実力を発揮。5位には今年の比叡山インターナショナル50kで4位など関西で活躍する鈴木未都 Misato SUZUKI、6位は今年の彩の国100マイルで3位の谷口三佳 Mika TANIGUCHIとなりました。
男子
男子のレースはハセツネ初登場の27歳、吉野大和 Yamato YOSHINO がそのスピードを発揮して制しました。大きく崩れることなく走り切った安定感が印象的です。浅間峠 22.7kmでは2014年の大会記録(上田瑠偉)に遅れること2分弱と序盤からハイペース。2位で続いていた川崎雄哉 Yuya Kawasakiに7分差。御岳ではその差は17分まで開き、この間の雨とウェットになったトレイルも吉野のペースを落とすには至りません。7時間25分56秒でのフィニッシュは歴代5位の好タイム。昨年12月のITJ70kで4位とウルトラでも実力を発揮し始めた吉野は20-30kmのレースを得意とし、今年のGTNSジャパンのシリーズ戦を制したチャンピオンです。
2016年のハセツネCUPチャンピオン、川崎雄哉 Yuya KAWASAKIは20分差の2位でフィニッシュ。この日は慌てて先頭との差を詰めることなく、落ち着いたレースを見せて既にベテランの風格も見せました。3位の大瀬和文 Kazufumi OSEは先月の信越五岳100マイルのチャンピオン。その時のペーサー、木村大志 Hiroshi KIMURAと一緒に今回もコースを進みました。御岳を過ぎてから前に出た大瀬が3位、木村が5分遅れで4位に。木村もハセツネCUP初登場での好成績。5位で続いた吉原稔 Minoru YOSHIHRAは学生時代にトレイルランニングのの魅力を知り、2017年のハセツネで上田瑠偉に続く準優勝となっています。その後社会人となってからはレースから少し遠ざかっていたようですが、今回は見事に復活。今年春のKAI 69kでは8位でした。6位は24歳の市毛富士雄Fujio ICHIGEが8時間17分で獲得。今回2分差で8位でフィニッシュした小田切将真 Shoma OTAGIRIと一緒にコースを進みました。7位の菊嶋啓 Kei KIKUSHIMA は自身もフィニッシュ後に話した通り、ハセツネに育てられたアスリート。40歳となった今年もトップ10での完走を果たしました。
リザルト
全体のリザルトはこちら。
女子 Women
- 高村貴子 8:41:49
- 秋山穂乃果 9:15:34
- 相原千尋 9:29:20
- 星野由香理 10:09:43
- 鈴木未都 10:15:14
- 谷口三佳 10:25:37
- 富澤いずみ 10:40:25
- 河西智映子 10:44:46
- 太田美紀子 10:49:28
- 若林綾 10:50:07
- 11 中野沙知 10:56:11
- 12 高橋実世 11:28:30
- 13 池内明子 11:31:50
- 14 松井一葉 11:40:28
- 15 安ケ平萌子 11:43:49
- 16 武市香里 11:44:35
- 17 仲田潔子 11:52:57
- 18 大松知恵 12:06:05
- 19 野永美咲 12:15:57
- 20 吉澤早紀 12:31:52
男子 Men
- 吉野大和 7:25:56
- 川崎雄哉 7:46:35
- 大瀬和文 7:58:58
- 木村大志 8:03:59
- 吉原稔 8:10:25
- 市毛富士雄 8:17:47
- 菊嶋啓 8:19:30
- 小田切将真 8:19:51
- 宮川朋史 8:21:34
- 名取 将大 8:23:24
- 11 田村健人 8:27:29
- 12 岩井竜太 8:36:51
- 13 東翼 8:41:13
- 14 荒木宏太 8:43:11
- 15 丸山将真 8:47:29
- 16 小林海仁 8:47:29
- 17 池畑拓哉 8:49:29
- 18 山田琢也 8:49:30
- 19 佐谷尚紀 8:52:37
- 20 山谷良登 8:56:20
謝辞
今回のライブ速報をお送りするにあたっては多くの方にご協力いただきました。特に一瀬立子、奥島弘三、萩原久也、渡邉孝浩(五十音順)の皆さんにコース上からのレポートでご協力いただきました。岩佐比登美からレポート全体についてアドバイスを受けました。今回も大会会場ではたくさんの皆さんから励ましのお言葉を頂戴しました。心より感謝いたします。