ウルトラトレイルマウントフジ Ultra-Trail Mt. Fuji 2023 リザルト

久しぶりに海外から選手を迎えたハイレベルなレースが繰り広げられました。

4月21日金曜日から23日日曜日の日程でウルトラトレイルマウントフジ ULTRA-TRAIL Mt. FUJIが開催されました。今回の大会では164.7kmのFUJIに2,574名、68.4kmのKAIに878名の選手がエントリーしており、合計3,452名というこれまでで最大の参加者を迎えて開催されました。

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今年の大会は開催直前から概ね天候に恵まれて天子山地を含めてコースは変更なし、当初予定通りでした。FUJIがスタートした21日金曜日の午後から夜にかけては日差しもあって選手にとってはやや暑く感じるコンディションでした。エイド間の距離が長い天子山地では水分不足を感じる選手も多かった模様です。翌日の22日土曜日からは曇りがちの空模様となったことから肌寒さを感じるほどでトレイルランニングには適した天候でした。

FUJIは中国のシャン、チョウが世界トップクラスの実力を発揮、川崎雄哉が健闘して2位に

FUJIは21日金曜日午後2時30分に第一ウェーブが富士山こどもの国をスタート。男子ではスタート直後からチョウ・ジアジュ Jiaju ZHAO(中国) が単独でリードします。F1富士宮(23.8km)では後続集団に7分差をつけていました。その後も安定したペースとエイドでの効率的な補給をキープし続けて、19時間35分で富士急ハイランドにフィニッシュして優勝。コースは少し異なりますが、こどもの国をスタートして富士急ハイランドでフィニッシュするコースとなってからの記録では2018年のディラン・ボウマン Dylan Bowmanの19時間21分、2019年のグザビエ・テベナール Xavier Thevenardの19時間36分に並ぶ好記録でした。 フィニッシュ後のインタビューでは、かつてのチームメイトで2019年のUTMF2位のリャン・ジン Jing LIANG が話題となりました。2021年に中国・甘粛省のトレイルランニング大会開催中に事故で亡くなったリャン・ジン Jing Liangについて「今日私が優勝したことを天国で喜んでくれると思います」と話しました。

チョウ・ジアジュ Jiaju ZHAO Photo by Ultra-Trail Mt. FUJI

チョウ・ジアジュ Jiaju ZHAO All Photo by © Fuji Trail Runners Club

優勝したチョウは「後ろに2位の選手にずっと追われていたので刺激になった」ともレース後に振り返っています。その2位の選手が川崎雄哉 Yuya KAWASAKI。F1富士宮まではチョウを追う数名の集団の中で走りましたが、その後は集団を抜け出て一人でチョウを追います。「追い続ければチャンスはある」と考えていたという川崎は、F2麓(51km)では5分差、F5富士急ハイランド(96.4km)では10分差、F7山中湖(124.7km)では14分差と少しずつ差は開きますが、世界トップクラスの実力を持つチョウを相手に健闘します。最後はチョウから19分半の差となる19時間54分でフィニッシュし、第一子誕生後の初レースを準優勝で飾りました。川崎はこの大会では昨年の球磨川リバイバルトレイルの100マイルでの優勝に続いて2度目の100マイルの完走となります。

川崎雄哉 Yuya KAWASAKI

川崎雄哉 Yuya KAWASAKI

3位をめぐっては鬼塚智徳、アンソニー・リー、土井陵、万場大、長田豪史といった選手が順位を入れ替えながら進みましたが、F7山中湖からは鬼塚智徳 Tomonori ONITSUKAが単独で3番手を走るようになり、20時間59分で富士急ハイランドにたどり着いて3位を勝ち取りました。2012年からこの大会には欠かさず参加して完走していますが、100マイルのコースでのトップ3入りは今回が初めてです。

鬼塚智徳 Tomonori ONITSUKA

鬼塚智徳 Tomonori ONITSUKA

4位には昨年のこの大会で3位となって注目を集めた万場大 Hajime MAMBA が21位時間24分でフィニッシュ。2月のレースで足を傷め、リカバリー後で最初のレースとなりましたが、中盤には3位を走るなど果敢な走りを見せました。続いたのはレース後半になって着実に順位を上げた昨年10位の西方勇人 Hayato NISHIKATAが5位、リン・シャオ Xiao LIN (CHN)が6位。昨年準優勝の土井陵 Takashi DOIは7位に。昨年8位の吉村健佑 Kensuke YOSHIMURAは今年も8位となり、昨年5位の小林誠治 Seiji KOBAYASHIが今回は9位に。10位には荒川純 Jun ARAKAWAが入って初のトップ10入りとなりました。

FUJIの女子のレースは2019年大会優勝のシャン・フージャオ Fuzhao XIANG(中国)が優勝。スタート直後から女子のレースをリードし、後続選手に対する差を着実に広げます。F5富士急ハイランドでは2位に62分差となっていましたが、エリート選手には珍しく、サポートエリアで仰向けになって仮眠をとりました。レース後に「先週のレースの疲れからか眠くて仕方なかった」とこの時を振り返りました。エイドに20分滞在し、2位との差は46分に縮まりました。その後もF7山中湖に10分、F9富士吉田(150km)に7分半と補給に時間をかけながらも後続選手との差を広げて24時間14分で富士急ハイランドにフィニッシュして2度目の優勝となりました。ちなみに2018年のUTMFでは23時間57分でコートニー・ドウォルター Courtney DAUWALTERが優勝、2019年のシャンのタイムは24時間20分でした。

シャン・フージャオ Fuzhao XIANG

シャン・フージャオ Fuzhao XIANG

2番手を走っていた向井成美は3番手以降の選手に30分から40分の差をつけてF7山中湖まで進みますが、その後ペースを落として、続く選手に先を譲ることになりました。後ろを追っていたチェン・ロンロン Rongrong CHEN (CHN) が25時間28分で準優勝、シャンとのタイム差は74分でした。

チェン・ロンロン Rongrong CHEN

チェン・ロンロン Rongrong CHEN

レース後半に入って大きく順位を上げたのが大淵千鶴 Chizuru OFUCHI。後半に他の選手がペースを落とす中、F7山中湖を出てからの山岳パートで着実に順位を上げる快走を見せました。フィニッシュは26時間37分で女子3位。今回のニューヒーロー賞も受賞しました。

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こちらも後半に入って順位を上げた細川由美 Yumi HOSOKAWA が4位になりました。同じく後半に順位を上げていったウェン・ファンユアン Fangyuan WEN (CHN)、冨澤いずみ Izumi TOMIZAWA が5位、6位に。コース後半に入ってペースを落とした伊東ありか Arika ITO は最後に順位を上げて7位でトップ10入り。8位には安田彩子 Ayako YASUDA が続きました。今回のレースでシャン・フージャオを2番手で追い続けた向井成美 Narumi MUKAI は終盤に入って失速しましたが9位でフィニッシュ。10位は枝元香菜子 Kanako EDAMOTO でした。

KAIは甲斐との接戦を制した田村が男子優勝、女子は山岳パートでリードした相原が優勝

KAIの女子のレースはK2山中湖(28.4km)まで若林綾がリード、野永美咲がわずかな差で続いていましたが、その後、コースが明神山、石割山へと進むと相原千尋 Chihiro AIBARAが先行する選手たちを追撃。K2山中湖でトップの若林から8分差の7位だった相原はK3二十曲峠(41.9km)では2分差の2位で若林に迫ります。杓子山を越えたK4富士吉田(53.7km)では2番手となった若林に12分半の大差をつけて首位に立っていました。相原は8時間46分で富士急ハイランドにフィニッシュして優勝。若林綾 Aya WAKABAYASHIが9時間14分で準優勝となりました。3位は徳本順子 Junko TOKUMOTOが9時間18分で続きました。

相原千尋 Chihiro AIBARA

相原千尋 Chihiro AIBARA

昨年3位の山内菜摘 Natsumi YAMAUCHI 、同じく4位の石原菜美 Nami ISHIHARA が今年は4位(9時間30分)、5位(9時間32分)でフィニッシュ。序盤を若林とともにリードした野永美咲 Misaki NONAGA が9時間36分で6位。7位にはフィエルド花 Hanah FJELDDAHL (9時間42分)、8位に高橋実世 Miyo TAKAHASHI (9時間44分)、9位に辻麻結子 Mayuko TSUJI (9時間59分)。10位に池内明子 Akiko IKEUCHI が10時間1分で続いてトップ10を締めくくりました。

KAIの男子のレースは3人の選手による競り合いが続く展開となりました。K2山中湖では昨年優勝の甲斐大貴を先頭に30秒差でキム・ジソプ、さらに30秒差で田村健人 Kento TAMURAが続きます。ここからのトレイルで田村が先行し、K3二十曲峠では2番手の甲斐に1分19秒のリード。杓子山を越えたK4富士吉田では甲斐は2番手ながら田村との差は1分5秒と緊迫した展開。しかし、その後の霜山への登りと下りではトレイルの下りに自信を持つ田村がリードを広げることになりました。優勝は田村健人 Kento TAMURAで6時間45分、3分差の6時間48分で2位に甲斐大貴 Hiroki KAIキム・ジソプ Jisub KIM(韓国)が6分58秒で3位となりました。

田村健人 Kento TAMURA

田村健人 Kento TAMURA

2018年大会のUTMFのチャンピオンで、この大会のレジェンドの一人であるディラン・ボウマン Dylan BOWMAN (USA) は今回はKAIに出場して7時間17分で4位。昨年3位の牛田美樹 Miki USHIDA が7時間37分で5位。6位にはミスターハセツネ、奥宮俊祐 Shunsuke OKUMIMIYAが7時間44分。クレマン・ディウドン Clement DIEUDONNE (FRA)が奥宮と10秒差の7時間44分で7位。8位は青木純 Jun AOKI (7時間45分)。9位には2018年UTMFで3位のセス・スワンソン Seth SWANSON (USA)が7時間55分、昨年5位の町田知宏 Tomohiro MACHIDA が7時間56分で10位に。6位の奥宮から10位の町田までは2分28秒というタイトなレースでした。

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FUJI リザルト

FUJI女子優勝のシャン・フージャオ Fuzhao XIANGと男子優勝のチョウ・ジアジュ Jiaju ZHAO。

FUJI女子優勝のシャン・フージャオ Fuzhao XIANGと男子優勝のチョウ・ジアジュ Jiaju ZHAO。

女子 Women

  1. シャン・フージャオ Fuzhao XIANG (CHN) 24:14:51
  2. チェン・ロンロン Rongrong CHEN (CHN) 25:28:55
  3. 大淵千鶴 Chizuru OFUCHI 26:37:13
  4. 細川由美 Yumi HOSOKAWA 26:39:07
  5. ウェン・ファンユアン Fangyuan WEN (CHN) 26:59:07
  6. 冨澤いずみ Izumi TOMIZAWA 27:28:09
  7. 伊東ありか Arika ITO 28:32:00
  8. 安田彩子 Ayako YASUDA 28:39:37
  9. 向井成美 Narumi MUKAI 29:09:55
  10. 枝元香菜子 Kanako EDAMOTO 29:11:55

男子 Men

  1. チョウ・ジアジュ Jiaju ZHAO (CHN) 19:35:24
  2. 川崎雄哉 Yuya KAWASAKI 19:54:57
  3. 鬼塚智徳 Tomonori ONITSUKA 20:59:25
  4. 万場大 Hajime MAMBA 21:24:07
  5. 西方勇人 Hayato NISHIKATA 21:35:16
  6. リン・シャオ Xiao LIN (CHN) 21:39:10
  7. 土井陵 Takashi DOI 21:45:02
  8. 吉村健佑 Kensuke YOSHIMURA 21:55:24
  9. 小林誠治 Seiji KOBAYASHI 22:09:16
  10. 荒川純 Jun ARAKAWA 22:17:14

KAI リザルト

女子 Women

  1. 相原千尋 Chihiro AIBARA 8:46:31
  2. 若林綾 Aya WAKABAYASHI 9:14:20
  3. 徳本順子 Junko TOKUMOTO 9:18:39
  4. 山内菜摘 Natsumi YAMAUCHI 9:30:23
  5. 石原菜美 Nami ISHIHARA 9:32:43
  6. 野永美咲 Misaki NONAGA 9:36:06
  7. フィエルド花 Hanah FJELDDAHL 9:42:30
  8. 高橋実世 Miyo TAKAHASHI 9:44:58
  9. 辻麻結子 Mayuko TSUJI 9:59:27
  10. 池内明子 Akiko IKEUCHI 10:01:14
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男子 Men

  1. 田村健人 Kento TAMURA 6:45:15
  2. 甲斐大貴 Hiroki KAI 6:48:23
  3. キム・ジソプ Jisub KIM (KOR) 6:58:34
  4. ディラン・ボウマン Dylan BOWMAN (USA) 7:17:12
  5. 牛田美樹 Miki USHIDA 7:37:08
  6. 奥宮俊祐 Shunsuke OKUMIMIYA 7:44:23
  7. クレマン・ディウドン Clement DIEUDONNE (FRA) 7:44:33
  8. 青木純 Jun AOKI 7:45:14
  9. セス・スワンソン Seth SWANSON (USA) 7:55:54
  10. 町田知宏 Tomohiro MACHIDA 7:56:51

カテゴリー表彰

FUJI ニューヒーロー(29歳以下で成績顕著な男女各一名)

女子:大淵千鶴 Chizuru OFUCHI 26:37:13 (女子総合3位)

男子:該当者なし

FUJI ベテラン(40 – 49歳)

女子

  1. 大濱侑季 Yuki OHAMA 29:51:00
  2. 澤田由紀子 Yukiko SAWADA 29:51:19
  3. 森綾香 Ayaka MORI 29:55:28

男子

  1. 岩垂晋 Shin IWATARE 22:28:56
  2. 丹羽望 Nozomu NIWA 23:31:34
  3. 佐口達也 Tatsuya SAGUCHI 23:50:07

FUJI マスター(50歳以上)

女子

  1. 伴明美 Akemi BAN 32:14:54
  2. 野路康世 Yasuyo NOJI 32:18:31
  3. 佐藤優子 Yuko SATO 33:14:58
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男子

  1. 角田和男 Kazuo SUMIDA 23:28:56
  2. 岩波潤史 Junji IWANAMI 23:49:43
  3. 山越言 Gen YAMAKOSHI 26:09:48

FUJI レジェンド(60歳以上)

女子

  1. 松井一葉 Kazuha MATSUI 31:50:15
  2. 牛腸奈緒子 Naoko GOCHO 43:00:17
  3. クミコ・ハート Kumiko HART (USA) 43:11:11

男子

  1. 井嶋健一 Kenichi IJIMA 28:20:08
  2. 遠山敏幸 Toshiyuki TOOYAMA 28:57:40
  3. 齊藤豪俊 Hidetoshi SAITO 29:39:36

KAI ニューヒーロー

女子:該当なし

男子:田村健人 Kento TAMURA 6:45:15(男子総合優勝)

KAI ベテラン(40 – 49歳)

女子

  1. 金原佳代子 Kayoko KANEHARA 10:26:16
  2. 星野緑 Midori Hoshino 10:30:51
  3. 堤智美 Tomomi TSUTSUMI 10:36:18

男子

  1. 後藤憲仁 Norihito GOTO 8:24:18
  2. 佐藤壮介 Sosuke SATO 8:39:43
  3. 木本匡昭 Masaaki KIMOTO 8:45:39

KAI マスター(50歳以上)

女子

  1. 丸山直美 Naomi MARUYAMA 11:18:08
  2. 秋山晴美 Harumi AKIYAMA 11:30:41
  3. 遠藤和子 Kazuko ENDO 11:42:02

男子

  1. 寺西利之 Toshiyuki TERANISHI 9:16:05
  2. 池田秀次 Shuji IKEDA 9:33:41
  3. 中野賢一 Kenichi NAKANO 9:34:00
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KAI レジェンド(60歳以上)

女子

  1. 長田実花 Mika OSADA 14:55:22
  2. 中川由美子 Yumiko NAKAGAWA 15:35:09
  3. 岩崎芳子 Yoshiko IWASAKI 16:02:40

男子

  1. 新海雅彦 Masahiko SHINKAI 10:12:34
  2. 指山浩志 Hiroshi SASHIYAMA 11:18:15
  3. 高橋一達 Kazumichi TAKAHASHI 11:37:35
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