2023年 TDS、OCC プレビュー #UTMB

8月28日月曜日から9月3日28日日曜日の日程でDacia UTMB Mont-Blancが開催されます。2003年に始まった大会は今回で20周年を迎えます。そして、今年の大会はUTMBワールドシリーズ・ファイナルとして初めての開催でもあります。ファイナルを構成する三つのレースは、フランス、スイス、イタリアの3カ国にまたがる距離171kmと累積獲得高度10,000mD+のUTMB(100Mカテゴリ)。そしてクールマイユール Courmayeur からシャモニー Chamonix を目指すCCC(100Kカテゴリ)。さらにスイスのオルシエール OrsièresをスタートするOCC(50Kカテゴリ)。三つのレースはトレイルランニング界の頂点を決めるべく、過去最高水準のハイレベルなアスリートが集結。もちろん、エリート選手だけでなくこのモンブランに憧れて集まる世界中からのランナーは8つのレースに併せて1万人に上ります。

各レースの通過速報はUTMB LIVEのウェブサイトでチェックできるほか、8月31日木曜日から9月3日日曜日にかけてUTMBワールドシリーズ・ファイナルのOCC、CCC、UTMBはライブ配信が行われます。

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この記事では8月28日月曜日午前8時にスタートするPTL、同じ月曜日に行われるMCC、火曜日のTDS、ETC、YCCと木曜日のOCC について紹介します。

(写真 2022年OCCを制したシェイラ・アビレス Sheila Aviles Photo © Franck Oddoux / UTMB)

PTL

PTLは二人または三人一組で約300kmのコースを自らナビゲーションして進むアドベンチャーイベント。メンバーの山岳アクティビティの経験を申告し、大会に認められたチームのみが出場できます。定員は最大300人。

今年のコースは反時計回りでイタリア、スイスをめぐってシャモニーに戻る距離約300km、累積獲得高度約25,000mD+です。8月22日月曜日午前8時(日本時間同日午後3時)にスタートし、制限時間は151時間です。

MCC

MCC は8月22日月曜日午前10時(日本時間同日午後5時)にスイスのマルティニ Martigny-Combeをスタートしてシャモニーでフィニッシュする40km 2,300mD+のレースです。大会ボランティアとモンブラン山麓地域の住民の皆さんにUTMBを体験できる機会を設けるという趣旨で2018年に始まったイベントです。ポイントなどによるエントリー資格がなく、大会パートナーを通じたエントリー枠も設けられている模様です。制限時間は10時間。

TDS

TDSはクールマイユール Courmayeurをスタートして時計回りでシャモニーに向かうコース。2019年からボーフォーテン山系を通る新しいセクションが加わり、今回も145km 9,100mD+のコースとなります。スタートは28日月曜日午後23時50分(日本時間29日火曜日午前6時50分)で制限時間は44時間10分です。定員は1600人。

【追記・TDSはレース中の標高の高いコース上で気温が著しく下がるという予報が出ていることから大会は通常の必携装備品に加えて「cold weather kit」を必携装備に加えることを発表しました。2023.08.27】

女子の有力選手では一昨年のTDS®︎で準優勝のジウディッタ・トゥリーニ Giuditta TURINI (ITA) と今年のLavaredo Ultra Trail by UTMB 120k優勝のフィオナ・ポルテ Fiona PORTE (FRA) が注目されています。特にポルテは昨年のTDS®︎ではDNFとなった後、Templiers 82kで3位、MaXi-Race 87kで優勝と最近勢いに乗っています。このほか、2021年のUTMBで6位、Lavaredo ではポルテに次いで2位のマリリン・ナカシェ Maryline NAKACHE (FRA) や2021年のUTMBで7位、2022年Transgrancanaria Classicで6位、今年のMIUT 115kで3位のルーシー・ジャムシン Lucie JAMSIN (FRA) が優勝争いに加わりそうです。

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男子では今年6月のインスブルックでのWMTRC世界選手権・ロングで優勝したバンジャマン・ルビオル Benjamin ROUBIOL (FRA) がTDSにエントリーしています。ルビオルは昨年はCCCで14位となっています。中国のトップ選手の一人であるロー・カンフア Canhua LUO (CHN) は昨年のUTMBでは29時間半での完走に止まりましたが、その後は12月のDoi Inthanon by UTMB 160kで2位、4月のCanyons by UTMB 100 milesで2位と堅調。今回はTDSにエントリーしています。クリストファー・クレメンテ Cristofer CLEMENTE MORA(ESP) は最近では昨年10月のTransvulcania by UTMB 73kで3位、今年5月のValholl by UTMB 125kで2位。昨年はDNFだったTDS®︎に再び挑みます。 加えて自国オーストリアでのスカイランナーワールドシリーズで結果を残しているヤコブ・ヘルマン Jakob HERRMANN (AUT) 、今年のPenyagolosa CSPで2位、Trail Verbier by UTMB 76kで3位のヤニック・ノエル Yannick Nöel (FRA) が上位争いに加わるでしょう。

日本からは長田豪史 Goshi ODADA三浦裕一 Yuichi MIURA松永紘明 Hiroaki MATSUNAGA野本浩礼 Hironori NOMOTOの各選手が今年のTDSにエントリーしています。

ユース世代のイベント・YCCとUTMBを手軽に体験できる今年初開催のETC

TDSがスタートした後の火曜日にはYCC、ETCが行われます。YCC はユース世代(2001年から2009年生まれ)を対象としたイベントで火曜日と水曜日の二つのイベントで構成されます。火曜日はクールマイユールで行われるトレイルランニングのイベントで、年齢別に14km、8km、4kmのコースで開催。水曜日は「YCC the Revenge」という今年の新しい企画。シャモニーに設けられる年齢別の4km、3.5km、2kmのコースを前日のレースで最も遅かったランナーから時間差で順にスタートするというユニークな企画です。

ETCは昨年から始まったクールマイユールをスタート・フィニッシュとする15km 1200mD+のレース。エントリーのための資格は設けられておらず、UTMBの世界を誰もが体験できるイベントとして開催されます。

OCC

31日木曜日からは大会のハイライトとなるUTMBワールドシリーズの三つのレースへ。31日の午前8時15分(日本時間同日午後3時15分)にスイスのオルシエール OrsièresをスタートするOCCは55km 3,425mD+のレース。制限時間は14時間30分で参加定員は1200人。コースは従来、トリアン Trient (23km) からUTMBと同じコースだったセクションは、昨年からMCCで使われている Col de Balme (33km)を経由するコースとなっています。

OCC 女子

今年のOCCの女子選手はアメリカ勢が上位を席巻する勢いです。昨年のUTMBチャンピオンでWestern Statesで準優勝のケイティ・シャイド Katie SCHIDE が今年はOCCを走りますが、続く選手たちはいわゆる「サブ・ウルトラ」のトップ選手たち。昨年のOCCで3位のダニ・モレノ Dani MORENOは今年のEiger by UTMB 35Kで優勝。アリー・マクラフリン Allie MCLAUGHLINは今年のTarawera by UTMB 50KやEiger by UTMB 50Kの勝者で昨年のOCCで6位。ジェニファー・リヒター Jennifer LICHTERは昨年のBroken Arrow 52Kで優勝、今年は6月のWMTRC世界選手権のショートで4位に。

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このほか2018年CCCのチャンピオン、ヤオ・ミャオ Miao YAO (CHN) は今シーズンはMarathhon du Mont-Blancで2位、Sierre-Zinalで4位と欧州での調整も十分進んでいる模様。昨年のOCC2位のヌリア・ギル・クラペラ Nuria GIL CLAPERA (ESP) は昨年のチェンマイでのWMTRC世界選手権・ショートで4位ののち今年はTransgrancanaria MarathonやVal d’Aran by UTMB 30K で優勝。一昨年2021年OCCで3位のケイトリン・フィールダー Caitlin FIELDER (NZL) は最近では2022年のMarathon du Mont-Blancで2位、今年のTarawera by UTMB 50Kで2位、Zegama-Aizkorriで2位となっています。昨年のOCCで5位のトニ・マッキャン Toni MCCANN (RSA) は今回が3年連続でのOCCへの挑戦です。今年は6月のTransvulcania by UTMB 50Kや7月のDavos X-Trails 43kで優勝しています。

日本からは昨年の信越五岳110km優勝、Doi Inthanon by UTMB 50Kで4位の福田恵里佳 Erika FUKUDAが今年のOCCにエントリーしています。

OCC 男子

今年もOCCはゴールデントレイルシリーズでも活躍するサブウルトラのトップ選手が集結するレースとなりますが、表彰台の頂点に最も近いのはスティアン・アンゲルムンド Stian ANGERMUND (NOR) となるでしょう。2019年のOCCのチャンピオンはWMTRC世界選手権・ショートで2022年のチェンマイと2023年のインスブルックにわたって二連覇。今年4月のIstria 100 by UTMB 69Kではタイ優勝しています。

昨年2022年のOCCで優勝したマヌエル・メリャスとともに表彰台に立った選手たちも再びOCCにエントリーしています。昨年2位のアントニオ・マルティネス・ペレス Antonio MARTINEZ PEREZ (ESP) の今シーズンは5月のMaXi Race 40Kで優勝、7月のVal d’Aran by UTMB 16Kで優勝、8月のFjällmaraton 45kで2位。昨年3位のロビー・シンプソン Robbie SIMPSON (GBR) は昨年11月のUltra-Trail Cape Town 55Kや今年7月のEiger by UTMB 35Kで優勝。3週前のSierre-Zinal では6位。シンプソンは2021年のOCCで2位となった経験もあり、3度目の今回は頂点を狙うことでしょう。昨年4位のアルノー・ボナン Arnaud BONIN (FRA) も今年のOCCに再び挑みます。

加えて今年のEiger by UTMB 50Kで2位のナディル・マゲ Nadir MAGUET (ITA) 、バート・プレジェドボジェスキ Bartlomiej PRZEDWOJEWSKI (POL) は今年はZegama-Aizkorriで6位、Marathon du Mont-Blancで5位、KAT 100 by UTMB 48Kで優勝。フランチェスコ・プッピ Francesco PUPPI (ITA) はWMTRC世界選手権ショートはチェンマイで2位、インスブルックで6位、今年6月のLavaredo by UTMB 50Kで優勝。 昨年はPikes Peak Ascent 21kで2位、Transvulcania by UTMB 44kで2位のダニエル・オサンス Daniel OSANZ (ESP) は今回がモンブランに初出場。いずれも今回がモンブランに初登場となります。

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2023ユーススカイランニング世界選手権 Youth Skyrunning World Championships スカイ・リザルト/日本チームは岸本、小幡が銅、団体で初の銅メダル獲得。

日本からはチェンマイやインスブルックのWMTRC世界選手権で日本代表メンバーの森本幸司 Koji MORIMOTO甲斐大貴 Hiroki KAI横内佑太朗 Yutaro YOKOUCHIがエントリーしています。

Dacia UTMB Mont-Blancのエリート選手のリストはこちらで随時更新されています。

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