UTMBグループが「アダプティブ・アスリート」についての方針を新たにを導入

UTMB ワールドシリーズを運営するUTMBグループは、行動計画「UTMB for the Planet」で示したトレイルランニングにおける多様性、公平性、包括性への取り組みの一環として、新たに「アダプティブ・アスリート・ポリシー」を導入することを発表しました。身体の障がいを乗り越えて競技に参加するアダプティブアスリートのトレイルランニングへの参加を促進し、実践的なサポートを提供することを目的としており、UTMBワールドシリーズの全てのイベントで直ちに適用されます。

(Photo ©UTMB | Amy Winters)

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今回の方針はさまざまなスポーツのアダプティブ・アスリートを対象に長期間の協議を経て策定されたこの方針は、対象となるアスリートがレース前やレース中に追加サポートを受けられるよう、新設された「アダプテッド・アスリート・オープン」部門にエントリーすることができます。

今回の方針の策定のためのプロセスに参加したアスリートの一人が膝下切断のプロアスリートであるエイミー・ウィンタース Amy Winters です。ウィンタースはさまざまなランニングやエンデュランス競技で13の世界記録を保持し、トレイルランニングにおいてはWestern Statesの完走経験を持つほか、今年はDacia UTMB Mont-Blancで100マイルを完走しています。

今回の方針についてエイミー・ウィンタースは次のようにコメントしています。「UTMBは人々がベストを尽くし、より大きな目標に向かって努力するよう鼓舞することを約束しています。このポリシーはトレイルランニングは自分にはできないと思っている人たちに機会を生み出し、トレイルランニングをより良いものへと進化させていく重要な『草の根』のステップです。ウルトラランニング、トレイルランニングにおいて大きな存在感を示しているUTMBの行動が、他の大会に影響をもたらすことを願っています。こうしたポリシーを設けるには、ルールに従ってレース自体の安全性と自律性を確立する必要があります。これは大きな事業であり、そのために立ち上がったUTMBを誇りに思います。」

アダプティブ・アスリート・ポリシーには、さまざまなレベルの永続的な視覚障害、知的障害、身体的・神経的運動障害を持つアスリートを含む参加資格の基準が詳細に記載されています(詳細のリンクはこちら)。

UTMBワールドシリーズに参加するアダプティブ・アスリートは、選ばれたガイドランナーと一緒に走ることができ、ガイドランナーは無料でナンバーカードが提供されます。参加するアダプティブ・アスリートは身体的に自分でコースを完走できる必要がありますが、ガイドランナーはアダプティブアスリートが安全に目標を達成できるようサポートすることが目的で、レースの全部または一部に同行することになります。

Photo ©UTMB | Troy Sachs

Photo ©UTMB | Troy Sachs

UTMBワールドシリーズ・ファイナルにアダプティブアスリートの参加枠を設定

モンブランで開催されるUTMBワールドシリーズ・ファイナルのレースであるUTMB、CCC、OCCにおいては、より多くのアダプティブ・アスリートがその力を発揮できるように、専用の参加枠が導入されます。

参加資格については全てのアスリートと同様で、亜ダプティブアスリートであっても有効なUTMBインデックスを持っていること、UTMBワールドシリーズのレースを完走することで得られるランニング・ストーンを1つ以上持っていることなど、標準的なレース参加条件を満たしている必要があります。参加を希望するアダプティブ・アスリートは大会のウェブサイトからプレ・レジストレーションを行うことになります。

環境と人々のための再生経済を示す「UTMB for the Planet」

UTMBグループは今年初めに「UTMB for the Planet」を立ち上げています。これはトレイルランニングのコミュニティを団結させ、人々の幸福と地球の再生に貢献することを目的とした再生(理ジェネレーション)ロードマップであり、「環境」「地域」「人」の3つの柱で構成されます。

このロードマップに沿って、今回のアダプティブ・アスリート・ポリシーにとどまらず、UTMBワールドシリーズの大会では、アダプティブアスリートのための施策が展開されます。それらの中には、エイドステーションでの座席の確保、大会ボランティアの意識向上、個人の成果を紹介するメディアプラットフォームでの表現力向上など、が含まれます。

今年4月には、子どもを望む家族に対応する「妊娠ポリシー」を発表しており、ジェンダーや経済的障壁をめぐる問題に対処するためのその他のインクルージョン・ポリシーも現在検討が進められています。

UTMBグループのリジェネレーション・マネージャーであるクロエ・レジェ Chloé Léger 氏は、次のように語っています。 「アダプティブ・アスリート・ポリシーの目的は、協議の過程で明らかになった障壁の多くを取り除くことで、私たちのイベントをよりアクセスしやすくすること、そして、アダプティブアスリートが競技に参加し、トレイルランニングの楽しさを体験するために必要なサポートを提供することです。UTMB for the Planetの目標のひとつは、トレイルランニングをすべての人のためのスポーツとして再定義することです。アダプティブ・アスリート・ポリシーは、すべてのアスリートのためのインクルージョンと平等なアクセスに焦点を当てることで、そのための新たな一歩となります。」

Translantau by UTMB と Doi Inthanon Thailand by UTMB に参加するアダプティブ・アスリート

Translantau by UTMB (香港、11月10~12日)と Doi Inthanon Thailand by UTMB(12月8~10日)にはロード・ランニングとトレイル・ランニングにおけるアダプティブ・アスリートの参加をサポートしている香港のフィアレス・ドラゴン・ランニング・クラブ Fearless Dragon Running Club のメンバーが参加します。

Photo ©Fearless Dragon Running Club

Photo ©Fearless Dragon Running Club

健常者と障がい者のアスリートを歓迎するこのクラブは、視覚障がいのランナーと聴覚障がいのガイドを組み合わせるという先駆的な手法で知られています。Translantau by UTMBには、聴覚障がいランナー1名、視覚障がいランナー1名、ガイドランナー1名の計3名が参加します。翌月のDoi Inthanon Thailand by UTMBには視覚障がいランナー6名と聴覚障がいランナー7名を含む13名のアダプティブ・アスリートが、7名のガイド・ランナーとともに参加します。20kmレースに参加するこれらのアダプティブアスリートの多くは、来年のUTMBワールドシリーズ・ファイナルのOCCへの出場を目指しています。

フィアレス・ドラゴン・ランニング・クラブの創設者であるモク・キム・ウィング Mok Kim Wing 氏は次のようにコメントしています。「アダプティブ・アスリートが山の頂上やトレイルランニングの目標に到達できないのは、彼らの能力のせいではなくチャンスがないからです。UTMBがより多くの障がい者にトレイルランニングへの参加を促すために、アダプティブ・アスリートに関する方針を打ち出したことをうれしく思います。UTMBは決してあきらめない人たちのためにあきらめず、ミッション・インポッシブルを達成するためにアダプティブ・アスリートをサポートしています。」

(Source: UTMB Group)

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