2月10日土曜日、11日日曜日に開催されるBlack Canyon Ultrasは北米で最も注目されるトレイルランニングイベントとして近年注目されています。いずれもPoint to Pointのコースで開催される100kmと60kmのレースにはあわせて1500人がエントリーしています(うち46人は100km完走後に60kmのレースにも挑む100マイルチャレンジにエントリー)。
コースはその大会の名の通り、アリゾナ州フェニックスの北側の砂漠地帯を貫くブラックキャニオントレイルを北から南へと進みます。シングルトラック、古くからのダート道、開拓時代の駅馬車のルートをつないだコースとなっています。今年2024年のBlack Canyon Ultras 100kmは初シーズンとなるWorld Trail Majorsの第二戦であり、今年6月のウェスタンステイツへの出場権が上位選手に与えられるHOKA Golden Ticket Racesのレースともなっています。
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(All photos by Black Canyon Ultras)
今週末にアメリカ・アリゾナ州で開催されるBlack Canyon Ultrasは日本語でのライブ配信を行います。
今年の大会で4年目となる恒例のライブ配信が今年も行われるほか、当サイトも協力して日本語版のライブ配信が行われます。配信はオリジナル、日本語版ともに日本時間の2月10日土曜日22時30分から翌朝の11日日曜日午前9時ごろまでとなる予定です。このほか日本時間の土曜日朝には有力選手によるトークセッションが配信されるほか、日曜日の夜には60kmのレースのライブ配信も行われます。
アメリカの歴史が刻まれたトレイル、走れるスピードレースとは一味違う難しさ
ブラックキャニオントレイルは元々、ネイティブアメリカンの交通路でした。地域の集落を結び、長距離を移動する手段だった道は、1919年に家畜の通行ルートとして正式に指定されて歴史にその名を刻んでいます。2004年に創設された「ブラックキャニオントレイル連合」は政府機関と協力して、トレイルの整備と活用を促進ししています。現在では80マイル以上に及ぶトレイルが国立レクリエーション・トレイルを構成し、、ランナー、ハイカー、バイカー、乗馬愛好家に自然の砂漠山地におけるトレイル体験を提供しています。
Black Canyon Ultraのコースは歴史的なブラックキャニオントレイルをベースとしており、シングルトラックのトレイルとダートのロードを交互に進みます。北から南へと次第に標高が下がっていくコースは下り基調の走れるスピードコースのように思われますが、実際に参加したランナーはコース終盤の区間に向けて余力を残しておくべきだと口を揃えます。100kmの選手は最終盤の登り、そして急な下り、岩がちでテクニカルなトレイルを進むことになります。
100kmのコースレコードは女子では昨年2023年にケーリー・ヘニンガー Keely Henninger が記録した8:45:30、男子は同じく昨年にアンソニー・コスタレス Anthony Costales が記録した 7:32:50となっています。
Black Canyon Ultras 100km の有力選手
100kmの女子有力選手には次の選手が挙げられます。
ヘザー・ジャクソン Heather Jackson(USA, ITRA 756)はプロのトライアスリートとして世界トップクラスの活躍で知られています。昨年はウルトラディスタンスのトレイルランニングにデビューして、avelina Jundred 100マイルやCanyons by UTMB 50kmで優勝しています。
レイチェル・ドレイク Rachel Drake(USA, ITRA 783)は1月のWorld Trail Majors 開幕戦のHong Kong 100 Thirdの33kmで優勝しました。昨年はOCCで6位。このBlack Canyonでは60kmのレースで優勝した経験もあります。
アンナ・マッケナ Anna McKenna(AUS, ITRA 750)は2022年のUltra-Trail Australia by UTMB 100kmで優勝して頭角を表した選手です。昨年は2月のTarawera by UTMB 102kでの4位ののち、4月のCanyons by UTMB 100kmで4位となってアメリカのレースにデビューしています。
ルーシー・バーソロミュー Lucy Bartholomew(AUS, ITRA 716)は2018年のウェスタンステイツでの3位でアメリカのレースに鮮烈なデビューをしています。昨年はTarawera by UTMB 100mileで優勝、UTMBで10位でした。
その他の注目選手には、シェイ・アクイラーノ Shea Aquilano(USA, ITRA 726)、アンマリー・マッデン Anne-Marie Madden(CAN, ITRA 697)、ジェネビエーブ・アッセリン・デメルス Genevieve Asselin Demers(CAN, ITRA 684)、タラ・ダウアー Tara Dower(USA, ITRA 681)が挙げられます。
アンナ・カシウス Anna Kacius(USA, ITRA 717)は本人のSNSによれば今週末の出場を見送る模様です。
男子のレースは北米の有力選手を中心にコンペティティブなレースとなりそうです。
ヘイデン・ホークス Hayden Hawks(USA, ITRA 906)は2020年のこのレースで優勝した経験の持ち主です。最近では2022年のウェスタンステイツでの準優勝、昨年のTarawera by UTMB 102kmで2位でした。
ユウ・ペイチャン Peiquan You(CHN, ITRA 877)が3週前のWorld Trail Majors開幕戦だったHK100に続いて、この大会にエントリーしています。HK100ではコースレコードの持ち主です。アメリカでのレースは今回が初めてとなります。
エリック・リプマ Eric LiPuma(USA, ITRA 889)は昨年のインスブルックで開催されたWMTRC世界選手権のロング80kで7位でした。
ジョナサン・レア Jonathan Rea(USA, ITRA 886)は昨年11月のJavelina Jundred 100 mileで優勝しています。昨年はCCCでも4位に入る好成績を残しました。
昨年のこのレースで4位の コール・ワトソン Cole Watson(USA, ITRA 883)は昨年のウェスタンステイツで9位。CCCでは14位、4月のCanyons by UTMB 100kで優勝でした。
日本からは石川佳彦 Yoshihiko Ishikawa(JPN, ITRA 744)が参戦します。2017年のIAU24時間走世界チャンピオンであり、Badwater 135で連覇して大会記録も持つアメリカでも知られたウルトラランナーです。トレイルでは2019年にアリゾナで開催されたColdwater Rumble 100 mileで海外デビューして優勝しており、今回のBlack Canyonもなじみのあるコースでしょう。2020年Tarawera by UTMB 100 mile で2位、2022年UTMFで6位でした。
その他の注目選手には、ラジポール・パンヌ Rajpaul Pannu(USA, ITRA 865)、クリス・マイヤーズ Chris Myers (USA, ITRA 859)、ライアン・モンゴメリー Ryan Montgomery(USA, ITRA 852)、ティム・トルフソン Tim Tollefson(USA, ITRA 830)、マカイ・クレモンズ Makai Clemons(USA, ITRA 820)、ノア・デュセオ Noah Dusseau(USA, ITRA 811)が続きます。
ライアン・ミラー Ryan Miller(USA, ITRA 824)は本人のSNSによれば今週末の出場を見送る模様です。