2025年3月18日(火)午前11時37分(米東部時間)にアメリカ・テネシー州フローズンヘッド州立公園で「世界一過酷なレース」と称されるバークレーマラソンが開幕しました。昨年は史上初めて5人のランナーが完走するという前例のない結果となりましたが、今年はレース創始者のゲイリー・”ラザラス・レイク”・カントレルと後継者のカール・ラニアクが、コースをさらに難しくすることでランナーに挑む形となっています。
大会二日目:過酷な「虐殺」状態に
大会二日目の状況は「虐殺」と表現されるほど厳しいものとなっています。レース開始から24時間が経過した時点で、ループ2を制限時間内に完走したランナーは一人もいないという驚くべき状況となりました。これは2023年と2024年に10人以上のランナーが24時間以内に2周を完走したことと比較すると、今年のコースがいかに難しくなったかを示しています。
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現在、当初の40人のうち、わずか4人だけが2周目を終え、3周目に進んだのは3人となっています。6回目の挑戦で初完走を目指す日本の井原知一 Tomokazu Ihara が最初にループ2を24時間32分50秒で完走し、すぐにループ3へと出発。3回の完走経験を持つジョン・ケリー John Kelly が25時間0分40秒で続いてループ2を完走。フランスのセバスチャン・ライション Sebastien Raichon が25時間29分15秒で3人目のループ2完走者でした。イションは昨年初挑戦で5周目まで到達した実力者で、優れたナビゲーション能力を持ち、Tor De Glaciersの優勝を重ねたことで知られます。マキシム・ゴーディン Maxime Gauduin も25:29:16でループ2を終えましたが、ループ3に入ってまもなくリタイアとなりました。(追記・2周目を24時間以内に通過できなかったことでいずれの選手も5周完走の資格は失われましたが、3周完走の「ファンラン」については2周を26時間40分以内に終えることで3周目に入れます。)
今年のコースの特徴
今年のコースは特にナビゲーション面での難易度が大幅に上がっており、最初の登りが多くのランナーの夢を砕きました。天候は比較的良好で、むしろ暖かい状態だったにもかかわらず、最初のループで40人中30人が制限時間内に戻れませんでした。さらに、一部のランナーはコース上で迷い、24時間近く行方不明になっていたという情報もあります。
バークレーマラソンとは
バークレーマラソンは、5つの20〜26マイル(約32〜42km)のループから成り、各ループを12時間以内に完走し、全体を60時間以内に完走することが求められます。コースは毎年変更され、険しい丘、とげのある茂み、道なき道を進む必要があり、総距離は120〜130マイル(約193〜209km)、累積標高差は60,000フィート(約18,288m)に達します。コースマーキングはなく、GPSデバイスの使用も禁止されています。
40年の歴史の中で、わずか20人しか完走していないというレースには、世界中から応募があり、今回は北米(米国、カナダ、メキシコ)から20人、海外から20人の計40人が参加しています。
今年のレースは、「ファンラン」(40時間以内の3周完走)さえも大きな挑戦となっており、そのためには26時間40分以内に2周を完走する必要がありました。残りのランナーたちがこの厳しい条件を乗り越えられるか、引き続き注目されます。
今年のバークレイマラソンの情報はキース・ダン氏のX投稿のほか、イギリスのRUN247、アメリカのRun by Outsideが発信しています。