2025年のGTWS(ゴールデントレイル・ワールドシリーズ)が、4月19日土曜日に日本の神戸トレイル Kobe Trail の21kmのレースで開幕しました。厳しい暑さと高い湿度、そして容赦ないテクニカルな路面が待ち受ける21.3km 2,109mD+のレースを制したのはサラ・アロンソ Sara Alonso (ESP) とパトリック・キプンゲノ Patrick Kipngeno (KEN) でした。
レースのメイン会場となる摩耶山掬星台を拠点に、選手たちは六甲山系の山と森、無数の階段、石畳のトレイル、そして息もつかせぬ急な下りを含むコースに挑みました。スタートラインには300人以上の選手が並び、トレイルランニングの世界トップレベルのシリーズ戦にふさわしく、世界のトップエリートも多数参加しました。2025年シリーズの開幕戦は、日本の象徴と伝統が息づく舞台で、ハイレベルな戦いを繰り広げました。
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(Photo by GTWS / ANTHONY DEROEUX)
アロンソとキプンゲノが神戸トレイルでその強さを発揮
GTWSのレースの多くは、男女のレースの注目度に偏りが出ないよう、レースのクライマックスが男女ともに同じ時間帯になるようにスタート時間が設定されます。神戸トレイルでは女子のレースのスタートから30分後に男子のレースがスタートしました。
女子は午後1時5分に、急な下り坂から最初のパートとなるループ1(3.7km 295mD+)がスタートします。序盤は昨年のGTWS年間王者のジョイス・ニェル Joyce Muthoni Njeru (KEN) がレースを引っ張り、マダリナ・フロレア Mădălina Florea (ROU)、サラ・アロンソ Sara Alonso (EPS)、マレン・オサ Malen Osa (ESP)、そして日本の高村貴子 Takako Takamura (JPN) が追走。ループ2(6.1km 515mD+)を終えた9.8km地点ではニェルがわずかにアロンソをリードしていました。しかし、その後ニェルが失速(会場アナウンスによればコースのロストがあった模様)し、アロンソは独走するようになります。2番手のフロレアが追いますが、差は広がっていきました。最初のエイドステーションまでにアロンソがトップに立つと、そのまま独走態勢を築きました。
ループ3(6.2km 671mD+)に入るとアロンソは単独でリードを広げ、続く選手たちに3分差をつけていました。フロレアが2位を堅守し、高村、オサが追い上げます。結果は、アロンソが厳しい戦いを制して、2時間53分57秒で優勝しました。2位にはフロレア(2時間59分46秒)。ループ4(5.3km 627mD+)で3位に浮上したオサが3時間02分10秒でフィニッシュ。
オサに45秒差で高村は4位となりました(3時間02分55秒)。5位にはサラ・ウィルホイト Sara Willhoit (GBR) が3時間17分15秒で続きました。
日本勢は髙村貴子の4位に続き、7位に秋山穂乃果 Honoka Akiyama、8位に田中吉美 Yoshimi Tanakaが続きました。
優勝したサラ・アロンソ Sara Alonsoは「この冬は本当にハードなトレーニングを積んできたので、このレースで勝てると信じていました。ジョイスがレース中にコースを間違えたようで、気の毒に思います。でも、自分がリードしていると気づいてからは、集中力を保つことだけを考えました。シーズン初戦を勝利で飾れて、本当に、本当に嬉しいです。」とコメントしました。
午後1時35分には男子のレースがスタートし、序盤から僅差のトップ集団が形成されます。ループ1を終えた掬星台では昨年2位のジョーイ・ハドーン Joey Hadorn (SUI) が先行。12秒差で追うシルヴァン・カシャール Sylvain Cachard (FRA)からはフィレモン・キリアゴ Philemon Kiriago (KEN)とパトリック・キプンゲノ Patrick Kipngeno (KEN)、ダニエル・パティス Daniel Pattis (ITA) が僅差で追います。トップから1分以内に7人が通過したのに続き、8位から11位に近江竜之介 Ryunosuke Omi、上田瑠偉 Ruy Ueda、小笠原光研 Koken Ogasawara、吉野大和 Yamato Yoshinoが駆け抜けます。
ループ2に入ると昨年このレースで優勝しているキプンゲノがトップにたちます。しかし僅差で彼を追っていた他の選手たちもループ3ではキプンゲノに2分近く離されることとなりました。結局、キプンゲノが2時間29分46秒で優勝。昨年の自身のタイムより7分遅れながらも厳しいレースを制して連覇しました。2位にはキリアゴが2分差で入りました。ループ4に入って一気に順位を上げたボグダン・ダミアン Bogdan Damian (ROU)がキリアゴに3秒差魔で迫る3位となり、健闘しました。さらに4位にはハドーンが続きました。カシャールがループ3を終えてリタイアする中、5位をめぐっては近江竜之介がパティスをループ4で抜き去ります。近江は2時間35分49秒で5位に入り、日本勢で首位のフィニッシュとなりました。
日本勢は8位に小笠原光研。後半に入って苦しいレースとなった上田瑠偉は9位。吉野大和が11位、藤飛翔 Tsubasa FUJIが12位でした。

男子優勝のパトリック・キプンゲノ Patrick Kipngeno (KEN)は「まず、再びこのレースで勝つことを許してくださった神に感謝します。競争相手であり友人でもある選手たちを祝福したいです。彼らが最後まで私をプッシュしてくれました。今日の自分のパフォーマンスを誇りに思います。」と話しました。
リザルト
リザルト速報はこちら。
女子トップ10
- サラ・アロンソ Sara Alonso (ESP) – Asics – 2:53:57
- マダリナ・フロレア Mădălina Florea (ROU) – Scott – 2:59:46
- マレン・オサ Malen Osa (ESP) – Salomon – 3:02:10
- 高村貴子 Takako Takamura (JPN) – 3:02:55
- サラ・ウィルホイト Sara Willhoit (GBR) – Scarpa – 3:17:15
- ジョイス・ムトニ・ンジェル Joyce Muthoni Njeru (KEN) – Nnormal – 3:21:19
- 秋山穂乃果 Honoka Akiyama (JPN) – Merrell – 3:21:55
- 田中吉美 Yoshimi Tanaka (JPN) – 3:24:28
- ベティ・ベルクストランド Betty Bergstrand (SWE) – Salomon – 3:26:19
- コートニー・コッピンガー Courtney Coppinger (USA) – Brooks – 3:27:57
男子トップ10
- パトリック・キプンゲノ Patrick Kipngeno (KEN) – Run2gether On Trail – 2:29:46
- フィレモン・キリアゴ Philemon Kiriago (KEN) – Run2gether On Trail – 2:31:53
- ボグダン・ダミアン Bogdan Damian (ROU) – Datacor – 2:31:56
- ジョーイ・ハドルン Joey Hadorn (SUI) – Salomon – 2:33:45
- 近江竜之介 Ryunosuke Omi (JPN) – Salomon – 2:35:49
- ダニエル・パティス Daniel Pattis (ITA) – Brooks – 2:37:21
- テオ・ブルジョワ Theo Bourgeois (FRA) – Brooks – 2:39:38
- 小笠原光研 Koken Ogasawara (JPN) – 2:39:48
- 上田瑠偉 Ruy Ueda (JPN) – Ueda Team – 2:46:45
- ユホ・イリネン Juho Ylinen (FIN) – Hoka – 2:49:11
GTWSは来週末の中国、万里の長城で行われる Jinshanling Great Wall Trail Raceへと続く
神戸での戦いを終え、GTWSは中国へ転戦します。4月26日に中国・金山嶺 Jinshanling をスタート・フィニッシュ地点とする24.2km、累積標高1,500mのコースで再び激しいレースを繰り広げます。














