GTWS2025はグランドファイナルを前に最終決戦へ、今週末はスイスで伝統の高速山岳レース「シエール・ジナル Sierre-Zinal」が開催

GTWS(ゴールデン・トレイル・ワールドシリーズ)2025は、10月にイタリアの レドロ・トレンティーノ Ledro-Trentino で開催されるグランドファイナルを前に、ポイントを獲得できる最後の機会となる第8戦「シエール・ジナルSierre-Zinal」を迎えます。スイス・アルプスの絶景の中を駆け抜けるこの伝説的なレースは今週末の8月9日土曜日に開催されます。世界トップクラスのトレイルランナーたちが、スピード勝負の山岳コースで激しい火花を散らします。

(写真は昨年のシエール・ジナルで、わずか1.5秒差で準優勝となったフィレモン・キリアゴのフィニッシュ。Photo @GTWS @ JustinGalant)

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52年の歴史を誇る「5つの4000m峰のレース」

スイスの ヴァレー州 Valais を舞台とするシエール・ジナルは、今回で52回目を迎えるトレイルランニング界において最も象徴的なレースの一つです。「5つの4000m峰のレース」との異名を持つ通り、コースからはヴァイスホルン Weisshorn、ジナールロートホルン Zinalrothorn、オーバーガーベルホルン Obergabelhorn、マッターホルン Matterhorn、そしてダン・ブランシュ Dent Blancheといった名峰を望むことができます。

コースは標高560mの シエール Sierre からスタートし、ジナル Zinal の標高1,675mでフィニッシュする距離31km、累積獲得標高は2,200mD+です。序盤の11kmで標高差1,300m以上を駆け上がる急登の後は、コースの最高地点 ナヴァ Nava(2,424m)までアップダウンを繰り返し、そこからフィニッシュまでは一気の下りとなります。シーズン屈指の高速コースとして知られ、勝負が最後の1kmまでもつれ込むことも珍しくありません。

現在のコースレコードは、男子が2024年に キリアン・ジョルネ Kilian Jornet (ESP) が樹立した2時間25分34秒、女子は2019年に モード・マティス Maude Mathys (SUI)が記録した2時間49分20秒。今年もこの記録に迫る熱戦が期待されます。

男子はキリアン不在で混戦模様、シリーズリーダーのエラザウィが初優勝を狙うか

男子のレースでは、昨年のトップ10のうち8選手が再びスタートラインに立ちます。昨年の優勝者であり、大会記録保持者の キリアン・ジョルネ Kilian Jornet (ESP) は出場しないことから、新たな王者の誕生に注目が集まります。

優勝候補の筆頭は、2023年の覇者である フィレモン・キリアゴ Philemon Kiriago (KEN)です。昨年はキリアンと壮絶なデッドヒートを繰り広げ、わずか1.5秒差で2位となりました。今年、コースレコードを塗り替えるパフォーマンスを見せる可能性も十分あるでしょう。2022年大会を制した アンドレウ・ブラネス Andreu Blanes (ESP)は、この間の2年間は陸上競技のトラックやロード種目に専念しており、今シーズンは久しぶりにトレイルレースに復帰しています。今季はGTWS初戦のゼガマで2位に入るなど、そのスピードは健在です。

今季のGTWSで3勝を挙げ、シリーズをリードする エルハウシン・エルアザウイ Elhousine Elazzaoui (MAR)も見逃せない優勝候補です。これまでこのレースでは結果を残せていませんが、GTWSの各レースで圧倒的な強さを発揮していることから、今回は悲願の初優勝のチャンスとなります。シリーズランキング2位の パトリック・キプンゲノ Patrick Kipngeno (KEN)は、過去に2位(2022、2023年)と3位(2024年)を経験しており、今季2勝の勢いに乗って、今度こそ頂点を目指します。

このほか、トラック競技出身でパリオリンピック3000m障害決勝進出経験のある レオナルド・チェムタイ Leonard Chemutai (UGA)、地元の期待を背負う ロベルト・デロレンツィ Roberto Delorenzi (SUI)、昨年4位の シルヴァン・カシャール Sylvain Cachard (FRA) らも上位をうかがいます。

女子は昨年優勝のチェプンゲノと、地元のヒロインであるマティスが激突か

女子のレースも、昨年のトップ10から7人が顔を揃える豪華な顔ぶれとなります。

最大の注目は、昨年のチャンピオンである ジョイライン・チェプンゲノ Joyline Chepngeno (KEN) に集まります。昨年はケニア国外での初レースとなったシエール・ジナルでいきなり優勝という衝撃的なパフォーマンスを見せました。今年はコースにも慣れ、連覇への期待が高まります。

そして、このレースの歴史を築いてきた地元のヒロイン、モード・マティス Maude Mathys (SUI)が帰ってきます。2019年から2022年にかけて4連覇を達成し、5年以上破られていない女子のコースレコードを保持しています。近年はケガに苦しんでいますが、そうした中でも得意なコースでは変わらない強さを発揮しています。地元で開催され、最も愛するこのレースで復活を期します。

2023年3位、2024年4位と安定した強さを見せる フィラリーズ・キサン Philaries Kisang (KEN)、今季絶好調でシリーズ4位につける ジョイス・ンジェル Joyce Njeru (KEN)、今大会初出場となる キャロライン・キムタイ Caroline Kimutai (KEN) といったケニア勢も強力な優勝候補です。

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その他、UTMBを2度制している ケイティ・シャイド Katie Schide (USA)がこのレースに登場します。100マイルで強い選手という印象ですが、2023年にはOCCで準優勝した経験も持っています。昨年4位の ヤオ・ミャオ Miao Yao (CHN)、昨年6位の アンナ・ギブソン Anna Gibson (USA) など、実力者揃いの女子のレースとなります。

レースは8月9日午後6時(日本時間)にスタート

レースは8月9日(土)午前11時(中央ヨーロッパ夏時間、日本時間同日午後6時)にスタート。GTWSのパートナーである各メディアプラットフォームではライブ配信を視聴することができます。この他、大会公式のYouTubeチャンネルでも例年、ライブ配信を視聴することができます。

シエール・ジナルはエリート選手だけでなく、一般ランナーにとっても特別な大会です。早朝にスタートする「ツーリスト」カテゴリーには、2万人以上の応募から選ばれた6,800人が参加。プロと同じコースを走り、大会独特の祝祭的な雰囲気を作り出します。

グランドファイナルへの切符をかけた最後の戦いとなるシエール・ジナル。アルプスの絶景を舞台に、今年もトレイルランニングの歴史に刻まれるドラマが生まれるかもしれません。

(Source: GTWS)

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