GTWS(ゴールデントレイル・ワールドシリーズ)2025no第8戦 シエール・ジナルSierre-Zinalは、男女ともに前年のチャンピオンが連覇を達成しました。男子はフィレモン・キリアゴ Philemon Kiriago (KEN)、女子はジョイライン・チェプンゲノ Joyline Chepngeno (KEN)が、それぞれ2度目の大会制覇を果たしました。31km・累積獲得標高2,200m+という歴史ある名レースでの両選手の連覇は、今季のGTWSレギュラーシーズンの締めくくりにふさわしいハイライトとなりました。シリーズはこの後、10月9–12日の「レードロ・スカイ・トレンティーノ・グランドファイナル」へと続きます。このグランドファイナルでは2倍のポイントが付与されます。年間シリーズチャンピオンのタイトルは混戦のまま最終決戦へと向かいます。またこのレースはWMRAのマウンテンランニングW杯のレースともなっていました。
(Photo @rising.story @mathisdecroux @SierreZinal @GTWS)
Sponsored link
男子レース・地元の声援を背にしたブリフォッドの健闘と、キリアゴの逆転劇
レースはスタート直後から容赦のない登りとなります。舗装路の1kmを終えると、最初の8kmでポンシェットへと一気に標高差1,300m超を登る最難関区間に突入します。フィレモン・キリアゴ Philemon Kiriago (KEN)は序盤から積極的にリードしますが、これにジョスファット・キプロティッチ Josphat Kiprotich (KEN)や、地元スイスのアドリアン・ブリフォ Adrien Briffod (SUI)が並んで走ります。急勾配を最初に越えたのはブリフォでした。その直後にキリアゴ、さらにティモシー・キベット Timothy Kibett (KEN)、ドミニク・ローリ Dominik Rolli (SUI)、キプロティッチが2分差以内で続きました。

Photo @rising.story @justingalant @SierreZinal @GTWS
最大の登りを越えてからは、シエール–ジナルの代名詞ともいえる「ファスト&フューリアス」区間へ。勾配は緩むものの細かなアップダウンが重なり、脚が削られるセクションで、ブリフォが先頭を維持しつつ、背後からキリアゴが差を詰めます。2分差でティモシー・キベットとドミニク・ローリがじわじわと追撃。やがてコース最高点手前の区間でキリアゴが首位を奪取。後方ではパトリック・キプンゲノ Patrick Kipngeno (KEN)、マイケル・セレロ・サオリ Michael Selelo Saoli (KEN)、ポール・マチョカ Paul Machoka (KEN)ら「ケニア勢パック」が勢いよく追い上げます。
下りの勝負どころでキプンゲノが差を少し詰めたものの、キリアゴは危なげなく逃げ切って2度目の勝利を挙げました。キプンゲノが2位、セレロ・サオリが3位で続き、地元のブリフォは健闘の4位、マチョカが5位でフィニッシュしました。フィニッシュ後、キリアゴは「また勝ててうれしい。チームの仲間たちはここシエール–ジナルで勝ち、勝利を重ねることを夢見ている。自分の目標はここで5勝に近づくこと。達成できたらゼガマ・アイスコリなど他のレースにも一層注力したい。シエール–ジナルで5勝するのが夢だ」と意欲を語りました。
日本からは山口大河 Taiga Yamaguchi が参戦して2時間45分でフィニッシュし、男子29位でした。
女子レース・チェプンゲノが中盤で抜け出し、独走で2連覇を達成
女子はジョイライン・チェプンゲノ Joyline Chepngeno (KEN)とキャロライン・キムタイ Caroline Kimutai (KEN)が序盤の登りをリード。中盤でキムタイがわずかに先行し、急勾配ではドイツのラウラ・ホッテンロット Laura Hottenrott (GER)も両選手に迫ります。最難関区間を越えるとキムタイが先頭、1分後方に前年女王のチェプンゲノ、さらに1分半差でホッテンロットが続きました。12km付近では、マダリナ・フロレア Madalina Florea (ROU)と大会4勝・女子コースレコード保持者のモード・マティス Maude Mathys (SUI)が、ともに先頭から2分半差でトップ5に名を連ねました。

Photo @rising.story @justingalant @SierreZinal @GTWS
シャンドラン(12km付近)でチェプンゲノがキムタイを捕らえて首位に浮上。そのまま主導権を握り、最高点のナヴァをトップで通過します。下り区間でもリードを保ち、昨年に続く連覇を達成しました。昨年2024年の自身の優勝タイムより46秒遅いものの、完璧なレース運びでの勝利です。キムタイが2位、そしてケイティ・シャイド Katie Schide (USA)が3位、モード・マティスが4位。終盤にスイスのオリア・リアチ Oria Liaci (SUI)がホッテンロットを逆転して5位に入りました。フィニッシュでチェプンゲノは「勝てるとは思っていなかった」と涙ながらに語っています。

Photo @rising.story @mathisdecroux @SierreZinal @GTWS
シエール・ジナルSierre-Zinal リザルト
全体のリザルトはこちら。
男子トップ10
- フィレモン・キリアゴ Philemon Kiriago (KEN) 2:28:32
- パトリック・キプンゲノ Patrick Kipngeno (KEN) 2:29:09
- マイケル・セレロ・サオリ Michael S. Saoli (KEN) 2:29:15
- アドリアン・ブリフォ Adrien Briffod (SUI) 2:32:07
- ポール・マチョカ Paul Machoka (KEN) 2:33:02
- マルティン・ニルソン Martin Nilsson (SWE) 2:33:53
- ドミニク・ローリ Dominik Rolli (SUI) 2:34:10
- アンドレウ・ブラネス Andreu Blanes (ESP) 2:35:20
- エルハウシン・エラッザウイ Elhousine Elazzaoui (MAR) 2:36:00
- フランチェスコ・プッピ Francesco Puppi (ITA) 2:37:50
女子トップ10
- ジョイライン・チェプンゲノ Joyline Chepngeno (KEN) 2:54:50
- キャロライン・キムタイ Caroline Kimutai (KEN) 2:55:34
- ケイティ・シャイド Katie Schide (USA) 2:58:32
- モード・マティス Maude Mathys (SUI) 2:58:57
- オリア・リアチ Oria Liaci (SUI) 3:00:22
- ラウラ・ホッテンロット Laura Hottenrott (GER) 3:00:32
- ヤオ・ミャオ Miao Yao (CHN) 3:01:36
- スサンナ・サープンキ Susanna Saapunki (FIN) 3:02:31
- アナ・ギブソン Anna Gibson (USA) 3:05:14
- ジョイス・ンジェル Joyce Njeru (KEN) 3:06:05
シリーズ総合ランキング(第8戦終了時点)
男子
- エルフシン・エラッザウイ Elhousine Elazzaoui (MAR) 600 pts
- パトリック・キプンゲノ Patrick Kipngeno (KEN) 588 pts
- フィレモン・キリアゴ Philemon Kiriago (KEN) 588 pts
- マイケル・セレロ・サオリ Michael S. Saoli (KEN) 498 pts
- ダニエレ・パッティス Daniel Pattis (ITA) 470 pts
- テイラー・スタック Taylor Stack (USA) 453 pts
- ロベルト・デロレンツィ Roberto Delorenzi (SUI) 436 pts
- チェーザレ・マエストリ Cesare Maestri (ITA) 434 pts
- ドミニク・ローリ Dominik Rolli (SUI) 432 pts
- ピエール・ガルブルディーヌ Pierre Galbourdine (FRA) 423 pts
女子
- マダリナ・フロレア Madalina Florea (ROU) 576 pts
- サラ・アロンソ Sara Alonso (ESP) 566 pts
- マレン・オサ Malen Osa (ESP) 540 pts
- ジョイス・ンジェル Joyce Njeru (KEN) 538 pts
- キャロライン・キムタイ Caroline Kimutai (KEN) 532 pts
- ローレン・グレゴリー Lauren Gregory (USA) 481 pts
- ロサ・ララ Rosa Lara (ESP) 459 pts
- フィラリーズ・ジェルト・キサン Philaries Jeruto Kisang (KEN) 456 pts
- ナオミ・ラング Naomi Lang (GBR) 451 pts
- 髙村貴子 Takako Takamura (JPN) 443 pts
グランドファイナルはダブルポイント、男女別日程に
今季のGTWSは、アジア(神戸・万里の長城)、欧州(イル・ゴルフォ・デッリゾーラ、ゼガマ)、北米(ブロークンアロー)、中南米(テペク)を巡り、先週のサロモン・ピッツ・アルピーネ・グレイシャー・トレイルと今回のシエール–ジナルでレギュラーシーズンが終了しました。最終決戦となる「レードロ・スカイ・トレンティーノ・グランドファイナル」(10月9–12日、イタリア)は、個人タイムトライアルのプロローグを含む特別なフォーマットで、男女は別日開催となります。年間チャンピオンを決めるポイントランキングにおいて、グランドファイナルは2倍のポイントが付与されるため、総合タイトルの行方は最後の一戦まで予断を許しません。
(Source: GTWS)














