今年のGTWS(ゴールデントレイルワールドシリーズ)は10月のイタリア・レドロの空の下、Ledro Sky Trentinoのグランドフィナーレで幕を閉じました。しかし2025年のGTWSが私たちに示したのは、シーズンの終わりではなく、このスポーツが新しい時代に突入したという確かな証拠でした。
(All Photo by GTWS)
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完璧を追求したエルハウシン・エラザウィ
エルハウシン・エラザウィ Elhousine Elazzaoui(MAR)は、2025年シーズンに史上4人目となる2度目の総合優勝を達成しました。そしてその勝利に至る道のりは圧巻でした。順位に応じたポイントランキングにおいて満点の1,000ポイントという完璧なスコアでシーズンを制覇したのです。これは理論上可能な最高得点であり、レミ・ボネ Rémi Bonnet(SUI)やモード・マティス Maude Mathys(SUI)らが持つ2度の総合優勝記録に並ぶだけでなく、その達成の仕方において新たな基準を打ち立てました。
NNormalに所属するエラザウイは、アメリカのBroken Arrow Skyraceでフィレモン・キリアゴ Philemon Kiriagioの2024年の記録を約2分も更新し、コースレコードまで樹立しています。モロッコの砂丘からヨーロッパの山頂へと旅を続けてきた彼の物語は、まさに彼のアイデンティティである「遊牧民」という言葉に象徴される、国境を越えて友情と尊敬を築く力を体現しています。
ルーマニアの新星、マダリナ・フロレアが頂点へ
女子では、マダリナ・フロレア Madalina Florea(ROU)がScott Runningのブランドとともに、初の総合優勝を飾りました。2019年にトラック競技からトレイルランニングへの転向を果たしたフロレアは、2023年にGTWSに初参戦。Sierre-Zinalで7位に入る活躍を見せるなど、急速に国際舞台で名を上げてきました。
2024年のスポトルノでのシリーズファイナルでは、ソフィア・ラウクリ Sophia Laukli (USA) やジュディス・ヴィダー Judith Wyder (SUI) といった有力選手を抑えてプロローグを制し、最終レースでもヴィダーのタイムをわずか15秒上回る走りで総合3位を獲得。そして2025年、彼女はついに頂点に立ちました。
一方で、キリアン・ジョルネ Kilian Jornet(ESP)とマティスが保持するSierre-Zinalの歴史的なコースレコードは、今シーズンも破られることなく、その伝説的な地位を守り続けています。
9,300人のアスリート、90の国・地域、9億人へリーチ
2025年のGTWSは、63の国籍から9,300人以上のアスリートが参加し、3大陸8カ国で合計240キロメートル以上、累積標高16,000メートル以上のレースを展開しました。しかし、このシリーズの真の革新性は、競技そのものだけでなく、それをどのように世界に届けるかにありました。
テレビとオンデマンド配信では67時間以上のコンテンツを制作し、HBO Max、Eurosport、discovery+、TNT Sportsを含むWarner Bros. Discovery(WBD)のプラットフォームだけで1,800万回の視聴を記録。さらに90の国・地域で放送され、FloSports(米国・カナダ)、ClaroSports(中南米)、SuperSport(アフリカ全域)、Sky(ニュージーランド)、Fox Sports(オーストラリア)、J-Sports(日本)、iQiYiとRun Yeah(中国)など、5大陸すべてで6億8,700万人にリーチする潜在視聴者を獲得しました。
ソーシャルメディアで9,000万回の視聴、デジタルエンゲージメントの爆発的成長
テレビの向こう側では、GTWSのデジタル戦略が真価を発揮したとのこと。TikTok、Instagram、Facebook、YouTube、Stravaを横断して年間1,000件以上の投稿を公開し、2024年比83%増となる9,000万回以上の動画視聴を達成。コミュニティも46万5,000人のトレイルランニング愛好者へと成長し、前年比24%増を記録しました。
特に注目を集めたのは、ピエール・ガルブルダン Pierre Galbourdin(FRA)のオーストリアでの驚異的なダウンヒルや、パトリック・キプンゲノ Patrick Kipngeno(KEN)がメキシコでシューズのトラブルを解決するための素早い「ピットストップ」の映像で、いずれも合計で300万回以上の再生を記録しました。
GTWSは2025年にStrava Clubを再立ち上げし、公式認証バッジを獲得。ファンは各レースの公式GPXトラックを探索し、サーキット全体で最も象徴的なセグメントを発見し、お気に入りのアスリートからの洞察や活動を楽しむことができる専用の交流拠点となっています。
メディアカバレッジの深化とドキュメンタリー
250人以上のジャーナリストがGTWSのレースにプレス登録し、5言語でのプレスリリース配信、画像やアスリートインタビューの厳選コンテンツの国際配信など、現地取材とリモート報道の両面で充実したメディアカバレッジが実現しました。
シーズンのハイライトと主役たちへの独占インタビューは、GTWSのYouTubeチャンネルで視聴可能なドキュメンタリー「Unfinished Business」にまとめられており、ストーリーテリングを通じてアスリートと観客をより深く結びつける試みが続いています。
2026年へ、さらなる革新を予告
2025年の記録的なシーズンを経て、GTWSは2026年に向けてテレビ放送の新たな革新、ライブイベントとデジタルプラットフォーム向けの新鮮なコンテンツ、そしてサプライズに満ちたカレンダーを準備していることを明らかにしています。公式カレンダーは近日中に発表され、いくつかの新しいレースが加わる予定です。
トレイルランニングの国際シーンは、単なる競技から、グローバルなスポーツエンターテインメントへと進化を遂げています。エラザウイとフロレアという2人のチャンピオンが象徴するように、国境を越えた情熱と卓越性の追求が、このスポーツの未来を形作っていくことになります。
(Source: GTWS)













