[DC] インタビュー・鏑木毅さん、アメリカの伝統ある100マイルレースで18時間台で逆転優勝・2013 Bighorn 100

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6月14日金曜日午前11時(日本時間15日土曜日午前2時)にアメリカ・ワイオミング州でスタートしたBighorn Mountain Wild and Scenic Trail Runの100マイルの部( 100)に出場した鏑木毅さんが18時間51分55秒で優勝。一時は25分まで開いたトップとの差を徐々に縮め、残り10マイルほどの急な下り坂で一気にトップを奪い、2位に11分もの差をつけてフィニッシュ。一年半ぶりとなる米国でのレースで見事、逆転劇で勝利を収めました。

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ワイオミング州デイトンのScott Parkで優勝した鏑木毅さん。Photo by DogsorCaravan.com

レースの展開

レース当日の天候は晴れ。気温はこの季節ではやや低めで、スタート時点の午前11時では約20℃くらい。多くのランナーが長時間経験する標高2700m以上のトレイルの夜間はおそらく0℃程度。全般に肌寒く、防寒着が欠かせないレースとなった。

Bighorn 100のコースは48マイル地点にある折り返し地点までを往復するコース。スタートから13.4マイル地点にある大きなエイド(Dry Fork)には、今回のレースで上位が予想された、Zach Miller(2010年Western States 5位など), Matt Hart(2012年Tahoe Rim Trail 100優勝など)などに続いてトップから4分の5位で通過。

続く30マイル地点のエイド(Footbridge)には、トップのZach、2位のMattに続く3位で鏑木さんは到着。トップから9分、前半は抑えて自分のペースを守るという戦略。48マイル地点の折り返し地点のエイド(Jaws Trailhead)には8時間17分でZachがトップで到着。少し胃の調子がよくない、といいながらも笑顔でエイドの食べ物をつまんでから出発。17分後には2位で鏑木さんが到着。このあたりから鏑木さんも胃の調子が必ずしも冴えず、用意していたジェルや補給食も予定に比べて残しがち。エイドでの補給中に3位のMattがエイドに到着。簡単にエイドでの補給を済ませたMattを追うようにして鏑木さんも出発。

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30マイル地点のエイドを出発した鏑木さん。

鏑木さんは、胃の不調は続くもののゆっくり補給してしのぎながら、前を走るZachを追う展開。大きな下りパートではリードを25分まで広げられながらも、その後の登りでリードを10分くらいまで短縮。残り34マイル地点(Foot Bridge)からはJustin Angleがペーサーとして鏑木さんと並走。しかし、その後の82マイル地点のエイド(Dry Fork)では15時間39分で到着したZachから20分後に2位で鏑木さんは到着。ほとんど補給はせずにジャケットだけを着込んであっという間にエイドを出発。エイドスタッフの間では鏑木さんの気迫に驚く声が聞かれたほど。

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ペーサーの準備をするJustin Angle。昨年2012年の信越五岳トレイルランニングレース(SFMT)を走っている。

残り18マイルは標高差1000mの下りパート。その最初にあるやや岩が多いテクニカルで急な下りパートで鏑木さんは一気に加速。「ペーサーのJustinが同じランナーとして僕の気持ちをよく理解してくれて、しきりに励まし、気分を盛り上げてくれた。Justinがプッシュしてくれなければ、優勝はできなかった」と鏑木さんは話していました。

Zachは後半に入ってややペースを落とし気味、鏑木さんの猛烈な追い上げにあうと力なく先を譲り、鏑木さんがトップに。そのまま5マイルはある未舗装林道を走りきり、18時間51分で見事優勝。続いてZach、Mattが続きました。

鏑木毅さんにレース翌日に当日のレースの模様、優勝しての感想などについて聞きました。

  • Bighorn 100 男子リザルト
    • 1st (鏑木毅)18:51:55
    • 2nd Zach Miller 19:13:01
    • 3rd Matt Hart 20:09:04
    • 4th Zach Violett 20:16:41
    • 5th Aaron Spurlock 20:10:15
  • Bighorn 100 女子リザルト
    • 1st McCloskey Sarah 23:20:07
    • 2nd Gwen Scott 25:31:06

観戦メモ・44歳にして圧倒的な勝負強さ

「正直なところ100マイルレースを走るにはまだ準備不足。どこまで行けるか分からないけどまずは初めて走るレースを楽しみたい」とレース前に語っていた鏑木さん。レースが始まってからは鏑木さんのいつもの展開のとおり、序盤は無理せず自分のペースを守る走りだったが、途中で補給が遅れがちになり、エイドステーションでも十分な補給をせずに先を急ぐ姿をみて、当方にはこのあとまずい展開になるかもしれないという予感がした。
しかし、鏑木さんは自分の状況をよく理解しつつも、慌てずにこまめに補給することでこのピンチをしのいでいた。そして途中のエイドでトップを走るZachとの差が縮まったことを知り、そこからペースを上げていけばきっと勝てるはずだ、と思ったとのこと。そして、80マイルも走ってきたところで次第に足が軽くなり、動きがよくなったのだという。「やってきたチャンスは何が何でも手放さない。」そんな思いが一時は25分も先行したZachを追い上げ、フィニッシュでは11分もの差をつけるという大逆転劇を生み出した。

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フィニッシュ後にレースを振り返って語り合う。左からZach Miller、ペーサーのJustin Angle、Matt Hart、鏑木さん。

伝統あるアメリカの100マイルレースでの劇的な勝利。現在44歳の鏑木さんにとって、このBighornでの勝利は世界トップレベルの現役選手としての実力、経験と研究が培った勝負強さが健在であることを世界のトレイルランニング・コミュニティにみせつける最高の舞台となった。レース後、ZachやMattをはじめ、ともに走ったランナーから次々に祝福の声をかけられる鏑木さんをみながら、ペーサーのJustin Angleが話してくれた。「鏑木さんが走る姿にクラシックな武士道精神、我慢強さというものを見せつけられた。鏑木さんと走れて本当に光栄だった。」

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フィニッシュ直後の鏑木さんとペーサーのJustin Angle。

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