[trail] 第17回日本山岳耐久レース(ハセツネ・カップ)71.5キロ

今年の春から始めたトレイルランニングだが、連休の日曜/月曜はそのトレイルランニングレースの日本における最高峰といわれているらしい日本山岳耐久レース、通称ハセツネに参戦。結果は15時間18分55秒(ネットタイム)で完走。脚の痛みなどもあり、満足な結果とは行かなかったが、この辺りが自分の実力なのだろう。このレースでも徹夜でコースガイドなどをしてくださった大会スタッフの皆様に感謝。備忘録は下の通り。

Itsukaichi

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(スタートまで:脚の痛みに不安)

信越五岳100キロはすばらしいレースだったが、経験したことのない長距離のレースはかなり身体にダメージを与えた模様。足指の内出血はある程度治まっていたのだが、膝の外側が走ると痛む、ランナーにありがちな腸脛靭帯炎と思われる症状が先週から出始めていた。

日曜日の朝は少しゆっくり起きた後、新宿駅からホリデー快速で武蔵五日市へ。受付を済ませて着替えのため五日市中学校の体育館に向かうが、既にスペースは埋め尽くされた感じ。寝袋を広げたり、中にはテントを張っている人も。なんだか、こういう場所取りってありなのかしら、と思いながら場所取りの隙間に着替えだけを入れたトートバックを置く。着替えは自宅で済ませているので、人いきれで蒸し暑い体育館の中でしばらく時間をつぶす。買っておいたおにぎり2個を少量の水で流し込む。

本日の装備は、昨年の覇者、山本健一さんが使っていたというのにあやかってホグロフスの5Lのバックパックに2Lのハイドレーションパック、パワージェル3個+Vespa Hyper1個+ランナーズソルト2粒を入れたフラスクを3個、シリアルバー1本。信越五岳で消費したのとほぼ同量。ただ信越五岳には充実したエイドステーションがあったがハセツネにはない。その他はジャケット(finetrackのニュウモラップフーディ)、防寒用のショーツ、替えのグローブ。ヘッドランプ用の替えの電池、財布。シューズは信越五岳に続いてmontrailのHardrock09。

(スタートから第一関門・浅間峠:抑えて入っているのに苦しい)

午後1時に五日市中学校グランドをスタート。盛大な声援で気分は盛り上がる。22.7キロ地点にある第一関門の浅間峠まではかなり抑えていかないと後半に自滅する、と聞いていたのであまり飛ばさないように気をつける。

しかし、2000人もが走るトレイルレースとなるとやはり渋滞。今熊神社の階段を上ってシングルトラックのトレイルに入っても前後に挟まれて自分のペースを維持しにくい。結果としてはやや早めのペースで登っていく。

コース試走の際も、西原峠辺りまではじわじわとした登りが続き非常に苦しかったのだが、やはり今日も辛い。脚の痛みはまだあまり出ていない。

生藤山を越えた辺り、軍茶利山の神社でベンチで休憩中のAさんに遭遇。鏑木さんのトレラン紀行でご一緒して以来。先は長いから休憩しながらいった方がいいですよ、とのアドバイス。

第一関門の浅間峠には午後5時12分ごろ到着。計時スタッフ、休憩するランナー、声援を送る皆さんで狭い峠はごった返している。かなり暗くなっているので、ヘッドランプとハンドランプを準備。先ほどのAさんに追いつかれ、見送ってから走り始める。この辺りで既にかなり消耗気味。脚の痛みもさることながら、この辺りでもシングルトラックをぴったり挟まれながら時折渋滞しながら走ることになり、ゆったりしたレースになれた身には息が詰まるレースだ。

(第二関門・月夜見山第二駐車場まで:ほとんど撃沈、リタイアも考える)

浅間峠からもコース中最高地点の三頭山までは小さなアップダウンを繰り返しながら登りが続く。西原峠の辺りから右膝外側の痛みが激しくなり、走るのが辛くなる。思い切って走るのはあきらめ、24時間以内に歩き通してゴールできればよし、どうしてもダメならリタイアしようと腹を決める。

そう決めて歩き出すと、どんどん後ろから抜かれることになる。少し歩いては背後に気配を感じて、シングルトラックの脇に踏み込んで道を譲ることの繰り返し。抜かれるのは気分のよいものではないが、仕方がない。この辺りからコース脇にしゃがみ込んだり、寝転がったりして疲れを取ろうとしている人を散見。あまり他のトレランレースでは見ない風景。しかし自分もそれにつられて、しばしばコース脇の切り株に腰掛けたり、大木にもたれかかったりして休息。この時点ではとても最後までたどり着けるとは思えないほど、消耗が激しかった。

三頭山山頂手前の避難小屋のトイレで用を足し、ようやく山頂に到着。ただただ苦しい。山頂で立ち止まらず、下りに入るが、下りは膝の痛みに堪える。この後も下りではずっと痛みのためペースダウンしてしまう。鞘口峠まで降りて登り返しが終わった辺りでコースはやや平坦になり、マイペースで歩いては後ろから抜かれることの繰り返し。途中で身体が冷えてきたので、ジャケットとショートパンツを着る。

苦しみながら第二関門・月夜見山第二駐車場(42キロ地点)にたどり着いたのは10時半頃。第一関門から5時間以上経ってしまった。1.5Lの給水を受け、トイレで用を足して5分ほどの休憩。ハイドレーションパックの中の飲み物が途中でなくなることを心配していたのだが、思ったより中身は残っていた。

ここまできたら歩いてでもゴールしよう、リタイアはしない、と腹に決めて出発。

(第三関門・御岳山長尾平まで:俄然元気がでる)

月夜見山第二駐車場を出るとすぐに平坦ながら急な坂道。脚が元気なら気持ちよく駆け下りるところだが、膝の痛みをかばいながらそろそろと降りる。ここからは御前山と大岳山の登りが控えている。

ここで、登りなら結構悪くない感じでこなせる力が残っていることに気づいた。相変わらず膝は痛み、下りではどんどん抜かれるが、登りはかえって自分の方が力が残っていて、前にいる人を追い抜けるくらいだ。第二関門までで力を蓄えていたのが意図せずして奏功したか。信越五岳では下りは飛ばせたが山登りで大失速だったから正反対だ。

登りで徐々に前のランナーを抜きながら、御前山手前の急登に到着。ここで数人からなる列に加わり急登を登る。先頭の方がかなり登りに慣れておられるようで、リズムよく、的確に足場を捉えて登っていくので、それをまねしながら登っていくことで無事御前山山頂到着。先頭の方はこれまたリズムよく下っていったが、当方はまたもや脚をかばいつつゆっくり降りる。

しかし、この辺りから下りや緩やかなトレイルで走ってもあまり膝が痛まなくなってきた。いや、実際には痛みに身体が慣れただけで、直ったわけではあるまい。そうなるとあれほど消耗していた体力が戻ってきた気がした。レース後半になって唐突に戦意がわき出してきた。

御前山から大ダワを経て大岳山までは、前半とは打って変わっていい感じのペースで登り、下りをこなしていく。大岳山手前の岩場も全身を使ってテンポよく登り切る。この途中で先ほど御前山の登りをリードしてくれたランナーも追い抜いた。前後のランナーが途切れ、自分のペースで走れるようになったのはようやくこの辺りから。

大岳山からの下りもテンポよく下り、次々にランナーを追い抜いていく。この辺りでは御岳山手前、綾広の滝の脇にある水場のことばかり考えていた。芥場峠までくるとますます意気が上がって水場到着。ちょうど月夜見山第二駐車場で補給した水もつきていたので、たっぷり湧き水をハイドレーションパックに詰める。ここからはあまり飛ばさず、早足で歩き、第三関門の御岳山・長尾平(58キロ地点)に到着。午前2時20分頃。ヘッドライトの明かりが弱まっていたので、電池を交換。程なく関門を出発。

(ゴールまで:けっしてよい出来ではないが最後まで力を出し切る)

御岳山から先は目立った登りもなく、下り基調。膝が不安な自分としてはあまりいい感じではないが、ゴールが見えてきた気もして心理的には前向きになれた。御岳神社とその参道の旅館街を抜けると日の出山へ向かう。まずまずいい感じで走るか早歩きで進んでいく。

日の出山からは多摩や東京都心方面の夜景がすばらしい。ベンチに腰掛け、残りのパワージェルを全て飲み込みながらつかの間の夜景鑑賞。

日の出山を下りると金比羅尾根の下り。時折前のランナーを追い抜く他は暗闇の中を一人駆け抜けていくのだが、これがなかなか気持ちがいい。ゴールまでに15人くらいは抜いただろうか。山を抜ける直前の舗装路の急坂を下るのはさすがに膝に堪えたが、歩かずに最後まで走り抜いて、ゴール地点の五日市会館に到着。午前4時20分。男子総合で615位、グロスタイム15時間20分22秒、ネットタイム15時間18分55秒だった。

(まとめ:満足な出来ではなかったがこれも実力か)

さほどタイムや順位にこだわるつもりはないのだが、全体で615位というのは上位3分の1くらいであり、今まで出てきたレースでは上位20%くらいには入れていたことを考えるとあまりいい結果ではなかったと思う。

やはり信越五岳100キロから3週間後にハセツネというのは自分には無理があるようだ。あるいは長距離レースで受けるダメージをどう調整するかについてもう少し経験が必要だろう。

しかし、試走の時もスタートから西原峠までは相当辛かった記憶があり、今回もやはりそうだったわけで、自分の走力ではこれくらいがベストなのかもしれない。それだけハセツネはハードなレースだということか。

しかしそうした苦しい展開の中でも後半はやる気を取り戻し、満足のいく走りができたのはよかった。一人暗闇の中を走るのも楽しかった。

ハセツネについて少々思うところもあるが、それはまた別エントリーで。

こうした長時間、長距離に渡るレースの運営は関係の皆様にとって大変負担の重いことだと思う。昼夜にわたりレースを楽しませていただいた皆様に心より感謝します。

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