先週末に開催されたUltra-Trail du Mont Blanc。8月26日土曜日の23:30にフランス・シャモニーを出発した2011年のUTMB。天候の影響などでさまざまな変更を経て、結果として例年にないハードなレースとなった170km、9700mD+のUTMB2011に当方もチャレンジし、38時間半後の午後2時ごろ、シャモニーでフィニッシュすることができた。
たくさんの方からさまざまな形で応援、励まし、お祝いのメッセージを頂戴し、感謝しています。
Sponsored link
これから備忘としてのレースレポートを細切れに残そうと考えている。レース後からフィニッシュ翌日の日本へ戻る機内の現在まで、レース全体に関する情報も細切れにしか追えていないが、今の時点での気づきを書き留めておこうと思う。
下は雨が降り続くスタートラインに向けて、フル装備の@n2n2noriさんと。
1.UTMBは「トレイルランニング」じゃなかった!
雷雨の強い時間を避けるため、スタート時間を23:30に繰り下げてスタートしたUTMBだが、夢中で走り始めた夜が明けて気づいたのは、これは最低限の荷と共に軽快に山を駆ける、自分が思っていた「トレイルランニング」ではない、ということだった。今回7位に入賞された鏑木毅さんによれば「山岳レース」、私の率直な印象では「長時間早足山登り大会」。当方の前後では平坦なロードや林道も含めて長いコースの中で走る人は多くなかった。トレッキングポールを使って早足で歩いている。しかしその歩きは早く、自分よりも軽々と傾斜のある登りを進んでいくのに「これではとても自分はついていけない」と打ちのめされた。
いいとか悪いとかいう話ではないが、UTMBとは通常トレイルランニングと呼ばれているものとはちょっと違うもののようだ。
2.執着心がなければフィニッシュできない
完走した驕りと思われるかもしれないが、実感した。100マイルを越え、ほとんどのランナーが24時間以上かかるコースでは、肉体も精神も途中で投げ出す理由は次々に現れる。それらを理解し検討した上で前に進むかどうかはフィニッシュ地点にたどり着くことへ執着心の程度にかかってくる。また、その執着心がレース前の準備にも影響するだろう。逆にいえば執着心があれば肉体や精神の不満を抑えて前へ進める。UTMBの制限時間であれば多くの人に可能性は開かれているように思った。
ただし、「執着心がなければフィニッシュできない」としても「執着心さえあればフィニッシュできる」とは限らない。後者との誤解は大きな代償につながる。
なお、インターネットで当方のレース中の主なチェックポイントの順位が後半に少し上がっているのをご覧になった方からは、後半に追い上げたとお褒めをいただいた。しかし、実際のところ、本人としては淡々と前へ進み続けていただけだった。それだけ多くの人が途中で棄権したのだろうが、ここにも執着心は影響したかもしれない。
3.「楽しむ勇気」の本当の力?
レース前に鏑木毅さんの「楽しむ勇気」という言葉について書いたが、自分もそれを体験できた気がした。今回のUTMBはコースが一部変更された。122キロ地点のChampex lacから140キロあたりのTrientの間の変更に当たってはレース中に変更が決まった(噂はあった)。変更区間については何の情報もなく、122キロを終えた足で道のルートを進むのは、今思えばあり得ない苦痛だ。しかしレース中は前後のランナーと悪態をつきながらも、ミステリーツアーでもしているような楽しさもどこかにあった。
こうした経験ができ、その可能性を知ることができたのもUTMBというイベントがあってこそだろう。
– Posted from my iPhone