セバスチャンがUTMBをはじめとするウルトラ/トレイルランニングに向けた準備、トレーニングについて解説するビデオシリーズ、Get Ready For。2011年のシーズン最後のエピソードはシーズンオフのトレーニング、特にメンタルトレーニングについて。メンタルコーチのDominique Simoncini氏を招いて。
以下は主な内容のメモ。例によって当方の意訳ですので誤解などあるかもしれません。お気づきの点があればお知らせいただけると助かります。
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(メンタルトレーニングとは)
・フランスでは1980年代からスポーツ選手が取り入れ始めた。
・まず、目標を明確にする。その目標と選手の身体能力のギャップを把握する。しばしば選手が自分の能力を過剰に評価しすぎていることがある。
・その上で目標に対して選手がどのような感情をもっているか確かめる。目標に対してハッピーな気持ちになれるか、あるいはストレスを感じるか。このような感情を目標達成までの間、把握してコントロールする。
・具体的な方法としては、リラクセーション、メンタルイメージング、NLPなどがある。
(具体的なトレーニング)
・例えばUTMBを目標レースとしていたのに、最近のレースでうまくいかずDNFとなってしまった、とする。
1.体験した出来事(レースでのDNF)の精神的なインパクトを評価する。失望か、怒りか、など。
2.感情を切り替える。失敗した後の感情は一時的な心の状態であることを理解し、全てが終わったわけではないと理解する。
3.3C(Competence, Consciousness, Confidence)を取り戻す。失敗して自信を失うのは強さ(competence)が失われたと思うから。失敗する前のレベルまで強さを取り戻せれば自信がよみがえる。
(身体トレーニングとメンタルトレーニング)
・メンタルトレーニングは身体のトレーニングとともに全体として考える。特に身体トレーニングのしすぎで燃え尽きてしまわないことが重要。
・シーズンはじめに、目標とするレースとそこに向けた身体トレーニングの展開を確認し、その段階に応じてメンタルトレーニングを行う。
(メンタルトレーニングの教え:今に集中する)
・メンタルトレーニングからの一つ具体的なアドバイスは、今に集中すること。例えば、UTMBのような長いレースの中でセーニュ峠の登りがあまりに辛いと感じたとする。そこで「この先、シャンペやボヴィーヌまでどんなことになるだろうか」と考え始めると、最後までいけるか不安になり、自信を失ってしまう。
・そこで目の前にあること、自分がいる場所に集中する。この苦しい状態からはいい方向に向かうばかりだと考えることができ、迷うことはなくなる。
翻訳のせいか、あまりぴんとこない感じもするが、最後の「今に集中する」というのは、経験上実践しているランナーも多いのでは。次のエイドステーションまで何とかたどり着こう、とか、今は脱水で苦しいがエイドで水が得られたら復活できる、というような考えで苦しい状況を乗り越えるというのも、このアドバイスの例のように思った。