[gear] 冬の長時間のトレイルラン

年末の「グルッと一周50マイル in 京都」では深夜の雪の中、早朝の底冷えの中を長時間走ったわけだが、ウェアなどの装備に関する気づきのメモ。同じ寒さでも数時間程度の日常的なランニングではなく、十数時間、夜を通すような場合について。 この季節のトレランでのツーリングのほか、来る5月のUTMFや8月のUTMBには当てはまるように思う。

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(基本は軽装) 
冬の防寒用アウトドアウェアには様々なものがあるので目移りしてしまうが、基本的には軽装で、ウェアの機能を活用して途中での脱いだり着たりは最小限とするのが合理的と思う。途中で長い休憩をとるのでなければ、歩いたり走ったりである程度体は温まる(無論、歩いたり走ったりするのに必要な補給は十分とる必要がある)。また、荷物が少ない方が歩いたり走ったりするのも快適だ。さらに毎回荷物を絞り込む工夫をすることで、レースや大きなイベントの際にどのように備えるかのノウハウも身につく。 
*ただし、ケガなどのトラブルに対する最小限の備えは別途考えておく必要がある。サポートなしで、人家まで遠い深いトレイルに入るとなれば相応に装備は増えてくるだろう。

(上半身:透湿性のある新素材はかなり有効) 
上半身は直接肌につけるベースレイヤーが非常に重要。暖かさと汗を吸い上げる速さ、乾きの速さのバランスを考える。この分野は様々なブランドからいろんな素材を使った製品が登場しているが、長袖で200gくらいのボリュームのあるもの、というのが一つの目安か。当方はUTMBでも使ったX-BIONICを年末のグルッとでも使った。

X-Bionic Winter Trekking / Ski Touring Long Sleeved Top – Ultralight Outdoor Gear

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それでも寒い、という場合にはこのシャツの下にもう一枚を追加するのが合理的と思う。finetrack/フラッドラッシュアクティブスキンのスリーブレスシャツCraftのZero ExtreamのTシャツなど。当方もUTMBではこの一枚の追加はなかったが、年末のグルッとではCraftのTシャツを追加。

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その上に防水・透湿性のあるハードシェルを着る。透湿性の高いWindstopperなどを使ったソフトシェル、防水性はないが軽量で防風効果の高いウィンドジャケットも天候が安定しているのであればよいかもしれない。しかし、天候の変化(雨)に備えるならハードシェルを一枚着ておくのが万能だろう。 

ハードシェルについては、ランニングをしていると中が蒸れて不快な気もするが、蒸れによって熱が維持されるので全く蒸れないウェアは適切でないだろう。蒸れで生じた湿り気がウェアから十分抜けず、水分となって肌を濡らすのが不快のもとだ。ならば湿り気が外へと抜けるウェアであればよいはず。GORE-TEXはそのような機能を持った素材だが、最近は防水性をもちながら透湿性を高めた素材が登場している。当方がUTMBで使ったMontane/Spektr SmockはeVentという素材を使っており、今回グルッとで使ったHaglofs/Endo JacketはGORE-TEXの新素材Active Shellを使っている。Spektr Smockの快適さはすでにUTMBで確認済みだが、Endo Jacketも同様に快適だった。急坂を登りあげたあと、朝日の中でジャケットから水蒸気が出ているのが確認できた。

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グルッとでは途中のコンビニなどでの休憩で体が冷えてくるので、インサレーションウェアを持った。今回はPatagonia/Ultra Light Down Shirt。ダウンを使った防寒着では非常に薄く軽量でコンパクトなもの。少しでも立ち止まったらすぐにこれをバックパックから取り出してハードシェルの上から着る。薄くて軽量なだけに保温性は限られるが、これほどコンパクトならトレラン用に一枚持っておく価値はあると思う。同様に軽量コンパクトなインサレーションとしてはThe North Face/Light Heat Jacketもあり、同じように使えると思う。

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ウェアとしてはこれだけでグルッとでは途中で脱いだり着たりはしなかった。結果として荷物を減らせた。ダウンジャケットは温かいが、ランニング中にずっと着ていてはダウンを湿らせてしまって保温効果が損なわれてしまうと思うのでランニング中に着るのは個人的にはあまり勧めない。フリースは薄手のものをベースレイヤーとして着るのはありと思うが、ふかふかしたハイロフトのものは重くかさばり、防風性もないので、長時間のランニングには向かないように思う。 

(下半身:冬用のランニングタイツがあると快適)
上半身に比べると下半身は比較的寒さに耐えやすいが、冬用のランニングタイツがあると快適。今回のグルッとではArcTeryx/Stride Pantsを使ったが、Patagonia/Cool Weather Tightsの方が温かくてよかったかもしれない。あるいは昨年のグルッとでしていたように、走りのパフォーマンスにこだわらないならトレッキング用の薄手のタイツを履いた上に薄手のトレッキング用のパンツ(当方はPatagonia/Traverse Pantsを使用)を履いた方がいいかもしれない。

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(その他小物) 
・頭はビーニーキャップが定番だろうが、冷えると辛い耳を覆うものであることが必須。 
・グローブはグルッとではThe North Face/Pertex Convertible Gloveを使用。普通のフリースのグローブだが、手の甲に指先を覆うPertex Quantum GLの薄いシェルでできたカバーがしまわれているというギミックがある。この指先だけ覆うカバーの有効性は昨年の信越五岳で確認していたが今回も有効だった。今シーズンはMHW/Momentum Running Gloveが使い勝手がよく毎日使っているが、やや薄手なので雪が降るような寒さには向かないかもしれない。

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・ネックウォーマー。寒いときは必須。鼻まで覆うこともできるので防寒効果は高い。 
・シューズ。今回は凍結や雪がありそうだったのでソールの突起が高いMontrail/Badrockを使った。さほど不安はなかったが、マイクロスパイクかGrivel/Spiderくらいは持っていた方が安心だった。あと、こういう寒いときはGoreTexを使ったシューズだと足の防寒になる(GoreTexを使ったトレランシューズは雨やぬかるみへの対策ではなく、冬の防寒対策のためのもの。従って日本では使うシーンは限られる)。 

以上、個人的な好みではあるが、現段階での長時間のトレイルランでの寒さ対策についてまとめてみた。ウェアや素材は次々新しいものが登場するので、気にし始めるときりがないが、程々に研究を続けていきたい。

*こちらでも同じような研究成果を披露していましたw

[UTMB] UTMBに向けて・つぶやきシリーズ | Dogs or Caravan.com

[gear] 秋冬のトレイルランニング向けのグローブ・2011 | Dogs or Caravan.com

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