先週末、開催されたUltra-Trail du Mont Blanc(UTMB)の表彰式の翌日9月3日月曜日にクールマイヨールでトレイルランニングの関係者が集まった国際会議が初めて開催された。その模様をフランスのTrails Endurance誌がレポートしているので、その模様をご紹介したい。
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以下は当方による抄訳。
(写真はTrails Endurance誌のウェブサイトより)
・今回の会議はUTMBのオーガナイザー、カトリーヌ&ミシェル・ポレッティ夫妻、エルベ・サイモン(フランス陸上競技連盟)の呼びかけで開催された。・IAU(ウルトラランニング国際連盟)などの競技団体、スポーツブランド(Salomon, New Balance, The North Face, Adidas, Tecnica, Lafumaなど)、選手(セバスチャン、ホーカー、フロスト、鏑木、などこれまでUTMBで活躍してきた選手)、大会主催者(UTMFなど欧州 以外を含む)、メディア(米iRunFar、豪Ultra168、仏Trails Endurance Mag)、SkyRunningの関係者が参加。・論点その1:トレイルランニングの定義について。20-40kmを「Short Trail」、40-80kmを「Trail」、80km以上を「Ultra Trail」と定義することについて。アメリカの参加者からはフルマラソン以上の距離ならUltraと呼ばれているとの意見。・論点その2。倫理憲章について。公正、他者と環境の尊重、連帯と説明責任など。・論点その3。賞金の基準や有力選手の招待の基準について。アメリカでは4万ドルの賞金を出しているレースがあるとの話題。・Didier Curdy氏が作成したデータベースによるトレイルランナーの国際ランキングが紹介された。・午後はフランス陸上競技連盟やウルトラランニング国際連盟などの団体からドーピングに関する規則の考え方などのプレゼンテーションが行われた。・最後に、ポレッティ夫妻、エルベ・サイモンが、「関係者の間で見解は異なるとしても、トレイルランニングを前進させるために協力していこう」との呼びかけて締めくくった。今後は考え方を議論するワーキンググループを設置することとなった。
このような競技の標準化の動きについては、意義を感じない関係者も多いのではないだろうか。例えばアメリカのトレイル・ウルトラランニングの関係者からは新たに何か基準や標準化を求める声はまず出ないだろう。
アメリカやアジアなど他の地域に比べて、ヨーロッパでのトレイルランニングの盛り上がりは著しく、有力選手のレベル向上が著しいのはここ数年の欧米のレースでも明らか。この会議のような世界規模(あるいは欧州規模)での標準化を進めようとするのは、欧州のトレイルランニング・コミュニティがこの盛り上がりをてこにして、競技としての成熟(例えばプロリーグ化やオリンピック競技化)につなげようという意欲の現れなのかもしれない。
となると、アメリカ、あるいは日本の関係者からすると欧州の進もうとする方向性の意義は理解しにくい、ということになる。ただ、世界の動きについて情報を収集していく必要はあるだろう。