今年6月にアメリカで開催された100マイルレース・Western States 100(ウェスタン・ステイツ)。当サイト・岩佐がこのレースに参加した記録は当サイトでも細かくご紹介したが、このレース中、何箇所かでランナーの足下を撮影している調査チームがいた。
その調査結果について、ランナーごとにメールで連絡があった。
以下はそのご紹介。
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調査の趣旨は次のとおり。
- 100マイルのウルトラマラソンを走るランナーの足の着地パターンを調べる。
- レース中に着地パターン、ストライドの長さ、頻度(ケイデンス)が変化するか。
- 足の着地パターンはレースの成績に関係するか。
- 脚の疲労度合い(筋肉のダメージのより発生する物質、CKの血中濃度)が足の着地パターンの影響するか。
調査されたレース中の場所は次の通り。
・一箇所はLyon Ridgeのエイドの手前(10.2 miles)
・Michigan Bluffエイドで二箇所。フラットな箇所 (56.1 miles),と9%の下り坂(56.4 miles)
・もう一箇所、フィニッシュ手前でも調査(100.1 miles)
全体の分析結果は次のようなもの。
- かかと着地のランナーは80-90%。マラソンレースに比べ少し少ない。10.2マイル地点で80%、56.1マイル地点で90%、フィニッシュ直前の陸上トラックで85%という変化。
- ストライドの長さは10.2マイルで最も長く、56.1マイルで少し短くなり、フィニッシュ直前で少し長くなる。ケイデンスは10.2マイルで最も高く、56.1マイルで少し低くなり、フィニッシュでも同じくらい。
- 足の着地パターンとレースの成績に相関はなかった。
- ミッドフット着地やフォアフット着地に比べ、かかと着地は筋肉へのダメージが少ない(CKの血中濃度が低い)。
岩佐の各地点での着地パターンとストライドの長さ、ケイデンスは次の通り(カッコ内の数字は全ランナーの平均値)。だいたい上記の全体の傾向を踏襲しているがミッドフットからかかと着地になり、下りではフォアフット着地になっている。ちなみにシューズはドロップ4mmでソールの薄いNew Balance / MT110を履いていたが、最後のフィニッシュではドロップ10mmのMontrail / Bajadaを履いていた。
Site = 10.2 miles (Lyon Ridge)
Foot strike = MFS (ミッドフット着地)
Stride Length = 79.53 inches (79.12 inches)
Stride Rate = 2.09 strides/s (1.75 strides/s)
Site = 56.1 miles (Michigan Bluff – level)
Foot strike = RFS (かかと着地)
Stride Length = 59.06 inches (74.45 inches)
Stride Rate = 1.69 strides/s (1.54 strides/s)
Site = 56.4 miles (Michigan Bluff – downhill)
Foot strike = FFS (フォアフット着地)
Stride Length = 62.2 inches (82.88 inches)
Stride Rate = 1.78 strides/s (1.55 strides/s)
Site = 100.1 miles (Auburn)
Foot strike = MFS (ミッドフット着地)
Stride Length = 69.29 inches (78.94 inches)
Stride Rate = 2.18 strides/s (1.55 strides/s)
ちなみに、エリートランナー、Ian Sharmanの結果も彼のブログで見ることができる。彼は全体を通じてかかと着地となっている。
Sharman Ultra: Western States 2012 Research Findings