足の前方とかかと部分でソールの高さが同じという「ゼロ・ドロップ」の個性的なシューズで日本でもファンを集めたシューズブランド・ALTRA。ALTRAが誕生したアメリカ・ユタ州のメディア、KSL.comでそのブランド誕生のストーリーが紹介されています。
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ALTRAの創業者の一人、ゴールデン・ハーパー/Golden Harperさんはマラソンランナーだった父親から「ケニア人ランナーのように走りなさい」と教えられてきました。すなわちストライドを大きく広げない走り方、ヒールストライク(かかと着地)でない走り方です。
自身もマラソンやウルトラマラソンのランナーとして活躍するようになったハーパーさんは、そうした走り方に適したシューズはどのメーカーも出していないことに気づきます。そこでハーパーさんは普通に売られているかかとが高くなっているシューズのソールを切り落とします。
「快適だったんだ。シューズを履いているのに裸足で走っているようにナチュラルに走れる。そこでみんなにこの感覚を試してもらいたい、と思ったんだ。」
そこでハーパーさんは行きつけのランニングショップで、一足20ドルから60ドルでシューズのソールを切り落として前足部とかかとの高さが同じになるようにするサービスを始めます。数ヶ月のうちに1000人以上のお客さんのシューズのソールを切り落としたそうです。
そこからALTRAの、つま先が足の形に沿ってゆとりがあり、ソールはクッションがあるけれど「ゼロ・ドロップ」となっているシューズのアイディアが生まれます。ハーパーさんはこのアイディアをいくつもののシューズメーカーに持ち込みますが、関心を持ってくれるメーカーはありません。
そこで「それなら自分たちでシューズを作ろう」と言い出したのがハーパーさんのいとこ、ジェレミー・ホーレット/Jeremy Howlettさん。アウトドアを趣味にして、マーケティングの経験があったホーレットさんは当時肥満気味。3人の子供やマラソンランナーの妻のことや自分の健康について考えていた時にALTRAのシューズのアイディアを聞いて、ぜひやってみたいと思ったそうです。ホーレットさんはその後、ランニングに取り組むようになって見事減量に成功したとか。
こうして2011年春に初めて自分たちのシューズを作ったいとこ同士の二人は、ALTRAをアメリカで第8位のランニングシューズブランドにまで成長させました。
ALTRAといえば、トレイルランニング向けのLone Peak、ロード向けのInstinct/Intuitionなどのシューズが知られていますが、2014年に登場のモデルとしてよりクッション性を高めたトレイル用のトレイル用のOlympus、ロード用のParadigmが先日のORショーで登場した模様です。個性的なシューズブランドがこれからどんな方向に向かうのか、ランナーにとっては気になるところです。
ソース
- Local shoe company reaches global market | KSL.com Mobile
- Sneak Preview: Running Shoes Coming in 2014 | Runner’s World