【編者より・4月18日にトルコで開催された130kmのトレイルランニングレース、イズニック・ウルトラ/Iznik Ultraに参加して見事完走された平林弘行さん(さくら動物病院<愛知県弥富市>院長)にレポートを寄稿していただきました。国内外の長距離のレースの経験豊富な平林さんですが、今回のイズニック・ウルトラはウルトラトレイル・デュ・モンブランのTDSに参加したときの出会いがきっかけで参加することになったそうです。たくさんの写真とともにレポートをお楽しみください。平林さんとともに日本から参加した当サイト岩佐のレースレポートもまもなくご覧いただきます。】
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トルコのイズニック・ウルトラ/Iznik Ultraの130㎞(正確には136㎞)を完走してきました!!
今回の旅は、まず2011年モンブランのTDS・113km完走にさかのぼります。ゴールし帰国すると、Facebookを通じて、メールが届きました。「Is Picture you?」
それがEmre Tokとの出会いでした。当時彼はイギリス在住で、マイクロソフトの役員でした。Facebook上で交流が始まり、彼が結婚すると日本に新婚旅行に来てくれました。名古屋在住の私が京都を案内しました(笑)まあ外国人にとっては一緒ですからね…。
そしてライオンズの縁で交換留学に来た子もトルコの子でした。
さまざまなご縁があり、トルコに行ってきました!
・・・ツアーではなく個人、かつホームステイという完全に友人に身をゆだねることになろうとは・・・。
ターキッシュエアラインはなかなか良かったです。機内食も豊富で、12時間のフライトも時間も短く思えました。
早朝にもかかかわらず、Emreが迎えに来てくれて、朝6時過ぎに合流しました!
それからアヤソフィアや地下宮殿など探索し、チャイやグランバザール、スパイスマーケットなどを楽しみ、Emreの奥さんに出産祝いを届け、会場に向かうため、フェリーに乗りました。
途中のイスタンブール市内の渋滞やマナーは閉口ものです。理由は大阪府内の車の数が大阪市内に集中したら・・・そんな感じでイスタンブール市内の車の数は4000万台だそうです…。
夜中にイズニックの町に着き、初めて会う方の家で、初めて会うドイツ人と同室・・・(笑)。普通の人なら不安になるのでしょうけど、僕はその出会いが楽しくて仕方がなかったです。
湖際のお家で、小鳥のさえずりや湖の波の音で目を覚まし、朝食をいただきました(なお宿泊代も食事代も入国してからかかっていません)。
レースのレギュレーションは厳しく、モンブランに準じた装備が必要です。ようやくそこで二人きりの日本人岩佐さんと初対面させていただきました!僕が一方的に知っているトレラン界の有名人とご一緒させていただくなんて夢のようです!
レースの準備をして深夜0時スタートの136㎞、25時間制限の厳しい戦いに挑みました。
レースの30分前に、説明会があるとのことでしたが・・・無く・・・しかもスタートが3分遅れるという、日本ではクレームものですが、このおおらかさがいいですね~
コース図と合わせてみていただけると感覚が伝わりやすいかと思いますので添付します。
http://www.iznikultra.com/iznik-ultra-maratonu.php
すっごい不安になりながら、なんとかなるでしょ?精神で前に進みました!
最初の26㎞はほぼフラットで、途中アップダウンは少しあるものの、快調でした。難点を言うとコースはほぼ農道でトラクターの轍がひどく、イズニック特有の粘土質で基本は固く、ドロドロのところは酷かったです。足がとられ、少しずつボディーブローのように効いてきます。
その足で挑んだ最初の400mの山・・・なめていました・・・傾斜は厳しく、北丹沢の姫次の登りに似て直登でした。しかも木々は皆無で上が丸見えです…。下ると町があり38kmのポイントに着きました。かなり足に来ていました。
夜冷えるかなと思って準備したのですが、暑く、発汗量が半端なかったので、次第に脱水症状が現れてきました。胃にダメージが来て、食べられず、コーラは受け付けるというモンブランと同じ状態になりました。
次第に夜が明けると景色がわかるようになり、そこは一面オリーブ畑のど真ん中を走る農道でした。暑さが増し、57㎞のドロップバックのポイントで、同室のドイツ人ステファンと一緒になりましたが、湖畔の気持ちの良いところを15㎞走りました。
山の麓の町でエイドを堪能し、3つの800m越えに挑みます。
ここのエイドは豊富でした。モンブランも同じですが、チーズ、パン、ビスケット、チャイ、コーヒーなどが出てきます。リンゴ、オレンジも少しありました。
次のエイドまで距離にして17.5km。制限時間に間に合うには6時間以内に行けば何とかなるはずなので、山頂まで2時間、下りを走って1時間半でクリア!なのですが、途中オリーブ畑の番犬に追われたり、暑くてせせらぎの水を飲んだりかぶったり、しながら、日陰の全くない道を行きました。なおコース上には土砂崩れの上を超えるところがあり、そこはちょっとビビりました。
ようやくたどり着いた街は、歓迎が温かく、ここのスープが絶品でした!!お代わりを入しておなかを満たしさあ出直すぞ!と思いましたが、次第に灼熱のアスファルトの熱を浴び、たった6㎞がとてつもなく遠く感じました。
そして同じくらいの大きな山!足が元気なら走れそうなのにと思いながら、進みました。ここも日影がなく、暑く、だらだらになっている自分にカツを入れながら、前に進みます。80㎞の選手や地元の子供やおばあちゃんから盛大な応援が身に沁みます。
あとチェックポイント2つというところで最大のミス・・・CP11の手前で大きく左右に分かれるところを暗くなってきたのもあり、よく確認せず右に曲がってしまった…ふもとの町まで下りてしまい・・・また犬に追いかけられるハプニングがありました・・・1時間のロスの上に精神的にも体力的にも追い込まれ、知らないトルコの田舎町で迷うわけいいかないぞ!と言い聞かせて何とかコースに復帰・・・時間が迫ってきました…。
コーラと水を飲んで補給して、下るだけのはずのところを行きます。道は一番ひどく、泥んこの中を進んでいる感じ・・・ちょっとでも前に進もうと80㎞の選手たちに引っ張って行ってもらいました。
ようやくイズニックの城門が見えて街を1周してゴールに向かいます!
町の人々に歓迎を受けながら、ゴールの手前で主催者が待っていてくれて、日の丸の扇子を掲げてゴール!扇子は主催者にプレゼントしました!
ゴールすると友人のEmreとホストのSonarが出迎えてくれ、家まで車で送ってくれました。温かい食事とシャワーをいただき、昼まで同室のステファンと爆睡して帰路につきます。
昨日までと打って変わってダウンがないと寒いくらいの天気でした。それですっかり調子を崩して、残り1日ホテルで寝てもったいないことをしましたが、やや復活したので、オスマントルコ時代のメニューが食べられるという宮廷レストランAsitaneへ!!
http://www.asitanerestaurant.com/index.php
1400~1500年のころの宮廷レシピの復刻をいただきました。万全なら美味かったのにと思いました…。
ホテルを早めに出て空港に行きアップグレードでコンフォートクラス(ビジネスクラス)で帰宅と思いましたが、満席・・・ファーストクラスは17万ということで、あきらめました。それでもターキッシュエアラインは快適でした。
帰りは機内食ほぼ食べれませんでしたが、おいしそうでしたし、アメニティーがなかなか良かったです。
今回の旅は、異国の友人との交流が持て、好きなトレイルを堪能でき、トルコという美しい国を味わうことができました。これもモンブランのレースとFacebookのおかげと思います。
最後になりましたが、友人のEmre、ホストのSono、同室のステファン、サポートしてくれたデニスに感謝します。
本当にありがとうございました!!
プロフィール・平林 弘行(ひらばやし ひろゆき):さくら動物病院(愛知県弥富市)院長。獣医師として動物の治療にあたりながら各地のウルトラマラソン、トレイルランニングにチャレンジしている45歳。UTMB、UTMFなどを完走しているほか、川の道520km完踏。