【編者より:7月18日にスイス・グリンデルワルトを拠点に開催されるアイガーウルトラトレイル / Eigar Ultra Trailはアイガー北壁の北側をめぐる101kmのほか、50km、16kmのレースが開催されるイベントで、今年はUltra Trail World Tourのメンバーとなったことで昨年以上に大きな大会となりました。この大会に日本から参加した奥宮俊祐 / Shunsuke Okunomiyaさんにレースレポートを寄稿していただきました。奥宮さんは昨年に続いて今年も6位で101kmのレースをフィニッシュ。昨年、相馬剛 / Tsuyoshi Somaさんがこの大会に奥宮さんとともに参加した後、マッターホルンで遭難されています。そうした経緯もあって、奥宮さんにとってこの大会には特別な思いがあるとのことです。奥宮さんは来週再び欧州に向かい、ウルトラトレイル・デュ・モンブラン / Ultra-Trail du Mont Blanc®に出場されます。】
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Eiger Ultra Trail。12時間50分、6位。
全て出し切りました。相馬さんに胸を張って報告できそうで安心しています。
タイムは、昨年より20分以上縮める事が出来ましたが、とても万全と言える状態ではありませんでした。3月に独立して以来、思っていた以上に忙しく、トレーニングを最優先に出来ない日が多くありました。
そのため、レース前、不安になることもありました。それでも、出来るトレーニングは積んだ事、サポートスタッフの矢鳴さんがいてくれた事、そして、相馬さんと最後に競ったレースで下手な走りはしたくないという思いが不安を払拭してくれました。また、ツアーで一緒に参加したメンバーと本当にリラックスした楽しい時間を過ごす事が出来たのも大きなプラスになりました。
スタート直後、昨年よりも速いペースと大きな先頭集団に戸惑いつつも、マイペースで走る事を意識しました。昨年は、第1CPのグロッセシャイデックに着く頃には、振り返ると人はまばらで、先頭の方とは明らかに差がありました。しかし、今年は振り返るとまだまだ長蛇の列!少し油断すると順位が大きく落ちてしまう状況でした。UTWTの一戦になり、参加者が増え全体のレベルが上がった事を実感しました。
油断出来ないレース展開でしたが、標高2000mを超えたコースから景色は最高!世界遺産にも指定されているアルプスの素晴らしい景色や咲き乱れる高山植物にを見ていると、先を急いでいる場合じゃないな…と、思ってしまう程でした。中間点でもあるブルグラウネンを過ぎてからが本当の勝負!気持ちを切り替え前を追いました。遥か彼方に見えていた選手に追い付き、引き離したつもりでも、気が付くとすぐ後ろにいる…そんな駆け引きをしているうちに、3人で6位争いをしていました。
一時大きく引き離されるも、最後の登りで再び抜き返し、最後は必死にラストスパート!何とか逃げ切り6位でゴールする事が出来ました。 サポートして頂いた矢鳴さんやツアーに参加した仲間に迎えられてのゴールは本当に嬉しかったです!!出せる全ての力を出し切る事ができました!悔しさはありますが、後悔のないレースになりました。また、つい最近気が付いたのですが、今年の私のゼッケン「6 」は、昨年の相馬さんのゼッケン番号でした。偶然とは言え、やはり運命的なものを感じました。改めて、相馬さんのお陰で走れた事を感じました。
来年は、表彰台に乗れるように、攻めの走りをしたいと思います。今月末にあるUTMBも全力で頑張ります。応援よろしくお願いします!!プロフィール:奥宮俊祐(おくのみや・しゅんすけ) 1979年生まれ。ハセツネ・カップを舞台にトップアスリートが競い合う中で常にレースをリードしてしてきたことで知られる日本を代表するトレイルランナーの一人。2007年、2010年ハセツネ・カップ2位、2011年Western States 13位。2012年UTMF 7位、2013年富士登山競走4位、2014年 Hong Kong 100 7位。3月に独立して立ち上げたFunTrailsではトレイルランニングのツアーやレースの企画を行っており、今年11月22日(土)-23日(日)に初開催の予定のFunTrails 100Kが注目を集めている。