佐藤圭介のスカイランニング世界シリーズ最終戦、リモーネ・エクストリーム / Limone Xtreme参加レポート(3/3)

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【編者より・10月に開催されるリモーネ・エクストリーム / Limone Xtremeはイタリア北部のリゾート地、ガルダ湖に面したリモーネの街を拠点に湖を取り囲む山岳地帯で行われる大会で、23kmのスカイレースや標高差1000mを一気に駆け上がるバーティカルなどのレースが行われます。今年2015年の大会でバーティカルとスカイレースの二つに挑戦した / さんにレポートを寄稿していただきました。佐藤さんは今シーズンはスカイランニング日本選手権・80kで7位となるなど、実力あるアスリートの一人です。レポートは3回に分けて掲載し、今回はその最終回です。】

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佐藤圭介のスカイランニング世界シリーズ最終戦、リモーネ・エクストリーム / Limone Xtreme参加レポート(2/3)

2015.12.31

佐藤圭介のスカイランニング世界シリーズ最終戦、リモーネ・エクストリーム / Limone Xtreme参加レポート(1/3)

2015.12.28

今回のリモーネ・エクストリームを振り返って

疲労気味のシーズン終盤で迎えた今回のレース

今回のリモーネ・エクストリームの結果はバーティカルが54分47秒で総合56位、スカイレースが4時間11分40秒で総合161位でした。紙の記録証などはなく、正式な結果は電子メールで送られてきます。

個人的な反省はたくさんありますが、まず体調管理ができていなかったことが挙げられます。10月に入ってから風邪気味のままでした。またシーズン中の疲れが抜けきっていなかったのも事実です。今年は2月に香港で行われたMSIG Sai Kung 50(28km)に始まり、スカイランニング日本選手権の三部門(VK、SKY、ULTRA)の各大会、、スカイランニング以外のトレイルランニングのレースも含めると出場したレースは10回を超えました。加えて他のレースのスイーパーなども務めたことから、長時間行動で体が慢性的に疲れていたように思います。特に夏以降にそう感じていて、十分な練習もできないまま。正直なところ、レースで戦う状態になかったというのが一番です。また今回のヨーロッパ特有のガレたコース、きつい斜度にも対応できませんでした。本場に来たぞという高揚感で、どこか気持ちが浮かれているようなところがあったかもしれません。

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日本から参加したランナー、現地で一緒になった同じランナーのグループで意気投合。All Photos courtesy by Keisuke Sato unless mentioned.

よかった点は気持ちの面ではコース変更に臨機応変に対応できたこと。スカイレースは当初の登って下るだけのコースから全く違うコースになってしまったのですが、動揺はありませんでした。むしろ自分はこのコースの方が有利だと前向きに考えることができたと思います。結果は全くいいところがありませんでしたが、消極的なレースにはしませんでした。一方、バーティカルはコース変更で傾斜の大きなパートを通らなくなってしまい、残念でした。

コンバインドの厳しさ

二日間で2種目に連続で出場するコンバインドはスキー競技では一般的なようです。リモーネではバーティカルを終えた後、14時間ほどおいて翌日のスカイレースに出場することになります。それでもコンバインドで出場した有力選手はそれぞれのレースで普通に上位に入るばかりか、バーティカルでの疲労にもかかわらず、バーティカルに出ていない有力選手にスカイレースで勝ってしまいます。実際に自分もコンバインドを経験してみて、そのタフさにびっくりしました。

自分も日本では2日連続でレースに出るなどして試していましたが、疲労は残る足は重だるい感じです。陸上競技出身の僕は距離こそ違いますが2日連続で試合に出たこともあります。また、合宿などで疲労が残った状態で大会に出ていい結果を出した経験もあることから、疲労についてはあまり気に留めていませんでした。ただ今回でいえば二日目のスカイレースではペースが乱れ、大きくペースを落としてしまったことを考えると、自分にはまだ2日連続でレースを走る実力がなかったのかなとも思います。

今回、コンバインドで2種目を走るにあたっては、リモーネの1週間前に開催された尾瀬バーティカルで会った富山の高瀬さんや南関東の竹原さんから「(初日の)バーティカルを全力で行け」といわれていました。バーティカルで力を出し切れないと翌日のスカイレースを気持ちの納得がないまま迎えることになるのがよくない、というわけです。これについては僕もそうだと思いました。スカイレースに体力を取っておこう、などという考えはなく、バーティカルを本命だと思って臨みました。スカイレースのことはバーティカルが終わってから考えよう。そんな気持ちでした。

二日目のスカイレースではコンバインドの2種目を上手くまとめたかったのですが、結果としては力を出し切れませんでした。ただ、二日目のスタート前には体が重いから後半からペースを上げていくというのではなく、最初から積極的に行くつもりでした。せっかく出場するSWS(スカイランナー世界シリーズ戦)。そのスピードを体感してみたい、自分と同じように昨日のバーティカルに出た選手だっているんだ、と自分に言い聞かせました。ちなみに日本人で今回コンバインドで両レースに出場したのは僕と大学生の菊地選手だけでした。

松本選手、星野選手などSWSの年間ランキングのポイントを狙う選手は今回はスカイレースに専念し、今シーズンはSWSのVKカテゴリーのレースには出場していません。僕と菊地君にとっては今回は経験を積むという意味もあったと思っています。初めからコンバインドで出場することを前提にスカイランニングという競技に取り組むことが、ゆくゆくは自分の力になるのではないかと思います。イタリアなどでは山岳スキー出身のスカイランニングの選手が多く、彼らの山に対する力は圧倒的です。日本人がそれに追いつくには、まず登りの力と2日間を通して力を発揮できる高出力の筋力、持久力が必要だと思います。

僕自身はまたコンバインドで出場することに挑戦したいと思います。そのためには普段の練習でもコンバインドを想定して、例えば二日連続の練習で初日にバーティカル、二日目に速いペースで大きな山を何個も超えるような練習をしていきたいと思いました。

シリーズ戦を戦う選手の厳しさと友情、勝者への賞賛

スカイランニングにはVK、SKY、ULTRAの3部門があり、それぞれに世界シリーズ戦、コンチネンタル(大陸別)選手権、国別のナショナルシリーズがあります。リモーネ・エクストリームは今年の世界シリーズ戦でVKとSKYの最終戦として開催されました。シリーズ戦には毎回世界各地の強豪選手が集まるのでその雰囲気を見ることもリモーネに来た目的でした。

僕は上位選手ではないので、世界のシリーズ戦を走るトップ選手の気持ちはよく分かりませんが、松本大さんのコメントを聞くと、本調子でないからといって世界シリーズ戦のレースで一度でも失敗すればランキングから脱落してしまう厳しさ、その中で自分の実力を出し切らければならないという緊張感があるようです。このあたりについては僕は国内でそれを感じるしかありません。実際、松本大さんとトム・オーウェンス / Tom Owens 選手、マルコ・デ・ガスペリ / Marco De Gasperi 選手の間では、2月から今シーズンに何戦も戦い、それを終えたリモーネではお互いの健闘を称えあったそうです。

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スカイランニングのレジェンドというべき存在のマルコ・デ・ガスペリ / Marco De Gasperi(イタリア)と記念写真。

一般ランナーにとってはそのようなスカイランニングのトップ選手を間近で見ることができることも、シリーズ戦に指定されるレースに出る面白さだと思います。リモーネでは年間の世界シリーズ戦ランキングの表彰式も行われました。年間シリーズ男子優勝の地元イタリアのタデイ・ピヴィク / 選手が表彰台に上がると凄まじい歓声が巻き上がりました。イタリアの国歌が流れると、会場はすごい興奮と熱気に包まれます。文化が違い過ぎる。セレモニーの一部始終の動画を撮影しましたが、何度見てもすごいと感じます。これがスカイランニング世界シリーズ戦最終戦の表彰式。シリーズを制した栄誉のビブスが渡されるのは大きな名誉です。年間シリーズの上位3位には賞金が与えられ、目録が表彰台の下に置かれていました。

ランニングだけでなくMTBも人気のガルダ湖周辺の山岳エリア

レース前にガルダ湖北側の湖畔の街に繰り出し、アウトドアショップを探しました。気づいたのは、MTBやロードバイクなどのショップが多いこと。そうしたショップではツアーなども行われており、街で買ったリモーネ周辺の地図には今回のリモーネ・エクストリームのコースマップだけでなく、MTBのコースも紹介されていて、ガルダ湖周辺の山岳エリアではこうしたスポーツが盛んなことを実感しました。

会場となったリモーネの雰囲気の盛り上がりに感激

今回のリモーネ・エクストリームのコースは登り下りを繰り返すかなりタフなもので、傾斜の大きいところや、岩場の固いトレイルの連続に苦戦しました。大会運営という視点でみると、スタッフはエイドを拠点に適宜配置され、特に問題に感じることはありませんでした。マーキングは約3種類ほどのテープが置かれていましたが、危険箇所等はしっかりテープで塞いだり、マークの間隔も10〜50mといった感じで適切、迷う恐れはなかったと思います。

スタート・フィニッシュの会場は観光地となっているガルダ湖畔です。 レストランが立ち並び、観光船が行き来して、落ち着いて過ごせる雰囲気があります。レース前日にはフィニッシュゲート、各メーカーのブースなどが設置され、レースに出ない観光客も楽しめるようになっており、選手はゴール後にビールでも飲みながら仲間を待つことができました。男性と女性のMCがそれぞれスタートとフィニッシュを選手紹介やゴール後のインタビューなどで盛り上げます。僕もフィニッシュ後にインタビューされました。

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スカイレースをフィニッシュして向けられたマイクに笑顔で応じる佐藤圭介。

表彰式は夕方18時を回ってから、スタート・フィニッシュとは別の会場で行われます。大きなテントの中で食べ物やお酒を楽しめるようになっており、椅子や机も用意されています。200人ほどがこのテントにいたでしょうか。年代別や10Km、ジュニアの表彰を終えると、いよいよSWS最終戦となったバーティカルとスカイレースの表彰、SWS年間シリーズ入賞者の表彰が行われました。最終戦にふさわしい期待と興奮に満ちた表彰式は、日本では雰囲気を味わうことができないもので、欧州でのスカイランニングの盛り上がりを改めて実感します。その後はステージでバンドの演奏、ダンスに歌でパーティーとなります。レースに出た人、関わった人がお互いの健闘を称え、飲み交わし、レースを忘れて、リモーネの夜は深まっていきました。

リモーネをお勧めします

リモーネはスカイランニングの世界シリーズの最終戦として、世界のトップ選手も参戦し、観光地としても過ごしやすいところです。世界シリーズの年間ランキングに参戦することを考えている方はポイントが20%増しとなるので見逃せません。また、コンバインドに挑戦したい方にとっても貴重な機会です。夜のバーティカルや湖畔から見上げるとせり上がるように立ち上る山々の景色もお勧めです。ぜひ、年間の予定の一つに考えてみてはどうでしょうか。

佐藤圭介のスカイランニング世界シリーズ最終戦、リモーネ・エクストリーム / Limone Xtreme参加レポート(2/3)

2015.12.31

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ABOUTこの記事をかいた人

Keisuke Sato

佐藤圭介(さとう・けいすけ)1986年12月生まれ。高校・大学と陸上競技の競歩に取り組む。2013年上州武尊スカイビュートレイルから標高差のあるスカイレースに取り組む。JST南関東所属。チームチョキ、!竹トレらん部!でも活躍中。