アジア、特に日本以外のアジアでトレイルランニングの人気が急激に高まっているようです。今年も8月22日から28日にかけて開催されるUTMB®(旧称・Ultra-Trail du Mont-Blanc)から、今年のUTMBを数字で紹介するプレスリリースが発表されました。
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その内容をみると、必要な資格ポイントの引き上げといった仕組みの改革を進めながらも、世界最高峰のトレイルランニング・イベントとしてUTMBが人気を集め続けていることがわかります。一方で国別の参加者数をみるとアジアからの参加者がぐっと増えている様子が伺えます。日本からの参加者は300人程度で、国別ではフランス、スペイン、イタリア、イギリスに続く5番目でここ数年と変わりありませんが、中国からの参加者は今年は200人近くとなり、香港とあわせると日本とほぼ同数。アジア、特に日本以外のアジアでトレイルランニングが人気を集め、その結果として世界最高の大会を目指すランナーが増えているという動きが見て取れます。
以下ではUTMBのプレスリリースから主な内容をご紹介します。
UTMBエントリー資格の推移
- 170kmのUTMBへのエントリーは2003年に行われた第一回大会の700人から2016年大会では5471人に。
- 2016年は170kmのUTMBのほか100kmのCCCなども加えると、7500人の出場枠に1万5千人が応募。
- 170kmのUTMBは自然環境への配慮などの理由から、2005年に定員の上限を2300人と設定。今日までこの上限の設定は変わっていない。
- 2008年大会のエントリーから、トレイルランニングの経験による出場資格を設定。最初に設けられた資格は「50kmのレースを二回、または80kmのレースを一回完走したことがある」というもの。
- 2008年大会はまだ先着順でエントリーを受け付けたため、エントリー開始からわずか9分で満員に。これを受けて翌年から抽選が導入。
2016年UTMBのエントリー
プレエントリー数に対する当選率 | UTMB® | CCC® | TDS® | OCC |
2015年 | 43% | 71% | — | 40% |
2016年 | 39% | 67% | 94% | 60% |
- UTMBでは前年に比べてプレエントリーは8%減。エントリーに必要な資格ポイントが9ポイントと前年より1ポイント引き上げられたことが影響。さらに、世界各地の大会についての資格ポイントの認定は従来の「勝手認定」から各大会からの申請に基づく認定に変わりました。これにより資格レースの数は2015年の1245件から1131件に減少したことも影響しているとみられます。
- UTMB以外では100kmのCCCのプレエントリーが前年比4パーセントポイント増で一昨年並みに。119kmのTDSでプレエントリーが初めて定員を超え、抽選が行われました。
- 55kmのOCCはエントリーに際して資格ポイントが新たに必要となったことからプレエントリー数が減少、抽選の当選率は上昇。
抽選は国別の比率も見ながら実施
- 定員を上回るプレエントリーの中から各大会への参加者を選ぶ抽選が行われますが、プレエントリーの国別の比率に当選者の国別の比率が一致するように配慮。
- 当選しても実際にはエントリー手続きをしなかったり、エントリー手続きをしても大会には出場しない人がいることを考慮して、当選者数は定員をある程度上回る数字に。
国別では5番目に参加者が多い日本、アジアからは中国からの参加者が急増
- 2016年のUTMBの全レースを通してみると、出場者は世界の86カ国に広がる。
- 国別でみると日本は304人で5番目、欧州以外では最多の出場者数。
- アジアでは中国が197人と急増しており、出場者が100人を超えている香港とあわせると日本とほぼ同数に。アジア全体では18カ国から750人が出場。
2016年UTMBの国別の出場者数
- フランス 3,771人(40.21%)
- スペイン 965人(10.29%)
- イタリア 863人(9.2%)
- イギリス 552人(5.89%)
- 日本 304人(3.24%)
- ベルギー 275人(2.93%)
- スイス 241人(2.57%)
- ポルトガル 213人(2.27%)
- ドイツ 202人(2.15%)
- 中国 197人(2.10%)
(以下、ポーランド、香港。ブラジルと続き、以上の13カ国はいずれも100人以上が出場)