北大西洋のカナリア諸島・グランカナリア島を縦断する125kmのトレイルでは最終盤に逆転劇が起こりました。日本時間3月5日土曜日に Ultra-Trail World Tourの第3戦となるトランスグランカナリア / Transgrancanariaが開催され、男子でディドリク・ヘルマンセン / Didrik Hermansen(ノルウェー)、女子はカロリーヌ・シャヴェロ / Caroline Chaverot(フランス)が優勝を勝ち取りました。
Sponsored link
レースの展開
125kmのトランスグランカナリアはグランカナリア島北部のアガエテ/Agaeteを現地時間3月4日(金)午後11時(日本時間5日土曜日午前8時)にスタート。男子のレースはフランスの実力派で2014年レユニオン3位のオーレリアン・コレ / Aurélien Colletがリードし、2分ほどの差で後続集団が続くという展開になりました。84km地点となるコース最高地点のPico Nievesではコレのリードは10分以上に広がりました。しかしここからの下りに入って体調を崩して失速、106km地点のエイドでドクターストップとなる波乱の展開に。
最終盤でトップに立ったのはゲディミナス・グリニウス / Gediminas Grinius。昨年のUTMFで優勝して日本のファンにも強さを見せつけたグリニウスは中盤以降に徐々に順位を上げる堅実な走り。しかし同様にこの日手堅い走りを見せたのがディドリク・ヘルマンセン / Didrik Hermansenでした。序盤のトップ10圏内から、先行するランナーを拾い続けてPico Nievesではグリニウスと並んでトップのコレを追います。終盤の長い下りではグリニウスとヘルマンセンの優勝争いとなりましたが、圧倒的なスピードを見せたヘルマンセンが13時間41分で優勝。2位となったグリニウスに3分以上の差をつけて鮮やかな逆転劇でレースを制しました。トランスグランカナリアのコースはほぼ毎年変更されているものの、ほぼ同じコースだった昨年にグリニウスが優勝した時のタイムよりも40分以上速いというハイレベルなレースになりました。
ノルウェーをベースに活躍するディドリク・ヘルマンセンは現在35歳。ロードのウルトラマラソンなどで活躍していましたが、2014年のトランスグランカナリアで5位になった後、昨年は同じトランスグランカナリアで2位、Lavaredo Ultra trailで優勝。UTMFにも参加していましたが惜しくもリタイアしています。今回は昨年に続くグリニウスとの優勝争いとなり、昨年の雪辱を果たしました。
2位のグリニウスに続く3位にはパウ・カペル / Pau Capell Gilとディエゴ・パゾス / Diego Pazosが並んでフィニッシュ。カペルは昨年のCCCで6位、今年1月のHong Kong 100では4位となっており、今後活躍が期待される25歳。パゾスは昨年のCCC4位。レユニオンでは4位となった31歳です。
その後は5位にイギリスのアンディ・サイモンズ / Andy Symonds、6位に先月タラウェラで優勝したジョナス・ブード / Jonas Buud(スウェーデン)、7位にベテランらしい粘り強い走りをみせたジュリアン・ショリエ / Julien Chorier。8位にはリトアニアのバイダス・ゼラビス / Vaidas Zlabys、9位に2013年UTMBで3位だったハビエ・ドミンゲス / Javi Dominguez Ledo。10位に昨年のUTMBで土井陵と競り合い、今年1月のHong Kong 100で6位だったジョルディ・ガミト / Jordi Gamito Bausが入りました。
このほか注目されていた選手ではアントワン・ギュイヨン / Antoine Guillonが11位、セバスチャン・セニョー / Sebastien Chaigneauが14位。地元のジェライ・デュラン / Yeray Duránが17位、18位にサンゲ・シェルパ / Sange Sherpa。シリル・コワントル / Cyril Cointreが28位、昨年CCCで2位となったアメリカのTim Tollefsonが91位に。アメリカのセス・スワンソン / Seth Swanson、ヤン・ロンフェイ / Yan Long Fei、ユン・ヤンキャオ / Yun Yan-Qiaoはリタイアしています。
女子のレースは一昨年、昨年とこのトランスグランカナリアで優勝しているヌリア・ピカス / Núria Picasが足の具合の不調からスピードに乗れず、33km地点でリタイア。この日のレースを終始リードしたのはカロリーヌ・シャヴェロ / Caroline Chaverotでした。フランスの実力ある長距離ランナーで、昨年はIAUトレイル世界選手権で2位、Lavaredo、Eigerでともに優勝しています。この日は2番手に2時間近い大差で圧勝となりました。
シャヴェロに続いていたのはこちらもレユニオンでの優勝などの実績を持つフランスのベテラン、エミリー・ルコント / Emilie Lecomteでしたが中盤でリタイア。2番手争いはアンドレア・ヒューザー / Andrea Huser(スイス)とウシュエ・フライエ / Uxue Fraile(スペイン)に絞られます。二人の差は僅差でしたが終盤の下りに入ってヒューザーが引き離して2位に。3位にフライエが続きました。4位は1月のHong Kong 100で3位だったシルビア・トリゲロス / Silvia Ainhoa Trigueros Garrote(スペイン)、5位はアルゼンチンのアドリアナ・バルガス / Adriana Vanesa Vargasでした。女子の若手で注目されていた中国のドン・リー / Dong Liはこの日は女子10位前後を走る苦しい展開でしたが、9位でフィニッシュしています。
このほか、女子の注目選手ではマヌエラ・ヴィラセカ / Manuela Vilaseca(ブラジル)、リサ・ボルザニ / Lisa Borzani(イタリア)がリタイアしています。
長距離トレイルランニングレースの国際的なシリーズ戦、Ultra-Trail World Tourは続く第4戦のサハラ砂漠マラソン/Marathon des Sablesが4月8日から18日に開催。モロッコで開催される6ステージ・計250kmのレースで、こちらも今回のトランスグランカナリアに続いてランキング・ポイントが加算されるSeries / セリエ・レーベルとなります。このほか、4月には15日から17日に準加盟(フューチャー・レーベル)の100マイル・オブ・イストリア / 100 Miles of Istriaがクロアチアで、そして23日には第5戦としてポルトガル・マデイラ島でマデイラアイランド・ウルトラトレイル/Madeira Island Ultra-Trailと続いていきます。
リザルト
リザルト一覧はこちらから。
男子 Men
- ディドリク・ヘルマンセン / Didrik Hermansen(ASICS、ノルウェー) 13:41:48
- ゲディミナス・グリニウス / Gediminas Grinius(Vibram、リトアニア) 13:45:08
- パウ・カペル / Pau Capell Gil(COMPRESSPORT、スペイン) 14:11:02
- ディエゴ・パゾス / Diego Pazos(スイス) 14:11:02
- アンディ・サイモンズ / Andy Symonds(SCOTT、イギリス) 14:14:55
- ジョナス・ブード / Jonas Buud(ASICS、スウェーデン) 14:21:39
- ジュリアン・ショリエ / Julien Chorier(HOKA、フランス) 14:24:59
- バイダス・ゼラビス / Vaidas Zlabys(リトアニア) 14:30:17
- ハビエ・ドミンゲス / Javi Dominguez Ledo(Vibram、スペイン) 14:39:46
- ジョルディ・ガミト / Jordi Gamito Baus(WAA、スペイン) 14:48:27
女子 Women
- カロリーヌ・シャヴェロ / Caroline Chaverot(HOKA、フランス) 15:23:40
- アンドレア・ヒューザー / Andrea Huser(Mammut、スイス) 17:21:43
- ウシュエ・フライエ / Uxue Fraile Azpeitia(Vibram、スペイン) 17:28:05
- シルビア・トリゲロス / Silvia Ainhoa Trigueros Garrote(RACE LAND、スペイン) 18:31:54
- アドリアナ・バルガス / Adriana Vanesa Vargas(Salomon、アルゼンチン) 18:35:21
- ソフィー・グラント / Sophie Grant(ニュージーランド) 18:43:22
- アレクサンドラ・クライン / Alexandra Clain(フランス<レユニオン>) 18:43:24
- ルシンダ・ソーサ / Lucinda Santos Sousa(ポルトガル) 18:46:42
- ドン・リー / Dong Li(Salomon、中国) 19:20:40
- デニス・ジンマーマン / Denise Zimmermann(Salomon、スイス) 19:49:05