今週末の4月24日日曜日に開催される奥三河パワートレイルは愛知県の新城市、設楽町、豊根村にまたがる奥三河で開催される70km+ / 4,000mD+のトレイルランニングレースです。昨年第一回大会が開催されたばかりですが、シーズン前半ではすっかり少なくなった長距離のトレイルランニングレースとしてファンには人気が高いイベントです。さらに、今年は10月にポルトガルで開催されるIAUトレイルランニング世界選手権の日本代表選考レースとしても注目が集まります。この記事ではこの大会に集まる有力選手をご紹介します。
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下り基調のスピーディな展開となりそうだが、後半で明暗が分かれそう
奥三河パワートレイルのコースは愛知県豊根村の茶臼山高原から、設楽町を経て湯谷温泉(新城市)まで北から南へと向かうポイント・トゥ・ポイントのコースです。昨年との比較ではコース前半(AS1 津具<12.6km地点>からWS1 面の木<17.8km地点>)で林道からトレイルにコースが変更された箇所があって距離が少し延びています。これを受けて制限時間も昨年より1時間長い13時間。スタートは午前6時30分です。
コース全体で見れば下り基調となり、スタート直後の茶臼山(1415m)からAS1/津具<12.6km地点>までは標高差500mの下り。ここからWS1 面の木<17.8km地点>を経て標高差で300mほどの登り返しとなりますが、碁盤石山<およそ21km地点>を過ぎると今度はタコウズ川沿いの林道の下り。AS3/小松<37.3km>まで標高差で700m以上も下ります。
スムーズな下りが続くコース前半から後半は一転し、アップダウンを繰り返すトレイルが続くことになります。岩古谷山、鞍掛山を経てAS4/四谷<48.4km>、宇連山を経てAS5/棚山高原<57.1km>。およそ65km地点にある鳳来寺山を過ぎると、あとは標高差600mの急な下りの先にフィニッシュ地点の湯谷温泉が見えてきます。
レースプロデューサーの石川弘樹さんのメッセージにもある通り、コース前半は走りやすくスピードも上がるでしょうが、力を試されるのは後半のアップダウンが続くトレイルとなりそうです。時間内の完走を目指す人から上位入賞をねらう人まで、この後半でペースを落とさずに走れるかどうかが結果を分けることになるでしょう。
男女優勝者はIAUトレイル世界選手権の代表内定に
今回の奥三河パワートレイルは2016年のIAUトレイルランニング世界選手権の代表選考レースの一つとなっています。今年の世界選手権は10月29日(土)にポルトガル北部・ブラガを拠点に開催される85kmのトランス・ペネダジェレス / Trans Peneda-Gerêsで行われます。
日本ウルトラランナーズ協会(JUA)の選考基準によれば、今回の奥三河の男女優勝者は日本代表に内定となります。その他、2位、3位の選手についても他の代表選考レースの結果を受けて日本代表に選考される可能性があります。詳細はJUAのウェブサイトに掲載されている代表内定基準をご覧ください。
日本代表をねらう有力選手の顔ぶれ
今回の奥三河には日本代表選考レースとなったこともあってか、有力選手の皆さんも多数集まります。今シーズンの活躍を占うという意味でも注目される奥三河の有力選手の皆さんを紹介します。
女子 / Women
女子のレースをリードすることになるのは丹羽薫 / Kaori Niwaと大石由美子 / Yumiko Ohishiの二人となりそうです。丹羽は昨年トランスバルカニアで9位、比叡山50kとFairy Trailで優勝、スカイランニング日本選手権(美ヶ原80k)で2位、そしてUTMF4位と大きな結果を残しました。一方、大石の昨年は東丹沢宮ヶ瀬、道志村優勝、STYで2位、ゴビウルトラマラソン3位と一昨年のケガからの回復を印象付けました。二人の勝負に注目が集まりそうですが、大石は同日開催の東丹沢宮ヶ瀬にもエントリーしています。
この二人に続いて上位を狙うのはまず山ノ内はるか / Haruka Yamanouchi。2013年ハセツネ8位、2014年と2015年のスパトレイル優勝、2015年王滝50k優勝で、今回も優勝争いに加わる可能性があります。そしてこの大会で昨年9位だった浅原かおり / Kaori Asaharaはその後の白馬国際50kで4位、STYで4位、ハセツネで6位となっていて今シーズンも活躍が期待されます。その白馬国際50kで昨年2位だった湯浅綾子 / Ayako Yuasa、3位だった芦澤ひとみ / Hitomi Ashizawaも今回の奥三河にエントリーしています。芦澤は昨年秋のFairy Trailで2位になっています。
このほか、表彰台を目指すことになりそうなのは次のみなさん。
- 西(佐藤)芳美 / Yoshimi Nishi, née Sato:昨年の奥三河で2位、UTMFで20位。
- 野間陽子 / Yoko Noma:昨年はスリーピークス八ヶ岳で6位、美ヶ原80kで6位、Eiger Ultra Trailで18位、ハセツネ・カップ12位など。
- 川井朋子 / Tomoko Kawai:スパトレイルで2014年7位、2015年8位。信越五岳では2014年10位、2015年15位。
- 寒川陽子 / Yoko Samukawa:昨年の小江戸大江戸203k優勝、2014年スパトレイル15位。
- 折戸小百合 / Sayuri Orito:白山白川郷ウルトラマラソン50kでは2013年3位、14年優勝、15年2位。昨年の峨山道73kで4位。
男子 / Men
男子でも日本代表選考レースにふさわしい顔ぶれが揃っています。ズバリ優勝候補を挙げるとしてもその名前を絞り込むのは容易ではありません。
まず名前を挙げたいのは小原将寿 / Masatoshi Obara。昨年はITJ、峨山道で優勝を飾り、UTMFでは5位と充実した結果を残した一年でした。そして昨年のUTMFでは小原に次ぐ6位だった大瀬和文 / Kazufumi Ooseも今年は1月にHong Kong 100で7位となっていて幸先よいスタートを切っています。さらに40–60kmのレースでは強さが際立つのが近藤敬仁 / Yoshihito Kondoで昨年のスカイランニングアジア選手権・Sai Kung 26kでは2位、フランスのトンプリエで13位と海外に活躍の場を広げています。関西の大杉哲也 / Tetsuya Osugiは2013年ハセツネ2位で注目を集め、昨年はSTYで3位に。地元関西ではダイトレ6連覇を達成したばかりで、優勝争いに絡む可能性は高いといえます。
この4人のリードを許さないランナーがいるとすれば、まずは昨年のこの大会でチャンピオンの平澤賢市 / Kenichi Hirasawa。そして昨年は富士登山競走2位、信越五岳2位という結果を残している菊嶋啓 / Kei Kikushimaは序盤に大幅なリードをして後半に逃げ切るというシナリオも考えられます。TJARで3連覇の望月将悟 / Shogo Mochizukiは逆にコース後半で強みを発揮しそう。信越五岳で上位常連の西城克俊 / Katsutoshi Saijo、三浦誠司 / Seiji Miura、中野正道 / Masamichi Nakanoにとってはこの奥三河も得意なコースかもしれません。
さらに加えてトップ10をねらうのは次のみなさん。
- 柴田幸生 / Yukio Shibata:昨年のこの大会で7位。昨年はハセツネで8:29で12位に。
- 細山雄一 / Yuichi Hosoyama:昨年はFunTrails 100k、神流50kで優勝のほかハセツネで8:35で17位。
- 大作健次郎 / Kenjiro Osaku:2013年から出場しているUTMFでは昨年自身最高位の13位に。2013年八ヶ岳スーパートレイル100マイルで2位、2012年白馬国際50kで3位。
- 仁科昌憲 / Soken Nishina:昨年9位。海外の大会にも積極的に参加しており昨年12月のTNF 100 Hong Kongでは9位。
- 石田賢生 / Kensei Ishida:昨年のUTMFで21位のほか、OSJ新城64kで4位。
参考
- 大会ウェブサイト
- コースマップ(PDFファイルへのリンク)
- 大会当日の各参加選手の通過速報「TRAIL SEARCH」
- 当サイトの2016年IAUトレイルランニング世界選手権に関する記事
- 当サイトのIAUトレイル世界選手権日本代表選考レースについての記事