リザルト:山本健一 / Kenichi Yamamotoが快走して2位入賞・アンドラ・ウルトラトレイル / Andorra Ultra Trail Vallnord 2016

AndorraUltraTrail-LogoAUTV今回もヤマケンらしい走りでファンを魅了しました。一方、新しい境地を開こうとする原さんにとっては苦い経験となりました。

ピレネー山脈の中の小国・アンドラで週末に開催されたアンドラ・ウルトラトレイル / Andorra Ultra Trail Vallnordで最注目のイベントであり、世界有数の本格的な山岳コースで行われるレース、ロンダ・デル・シム/Ronda dels Cims(170km / 13,500mD+)で、日本から参加した / Kenichi Yamamotoが終盤にかけて順位を上げ、32時間28分でフィニッシュ。 / Nahuel Passerat(フランス)に続く2位となる快挙をみせました。

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(写真・コースの最高地点となるコマ・ペドローサ Coma Pedrosaの山頂を目指す山本健一。 by © Stephane Salerno / AUTV)

Ultraspire_Logo当サイトはUltrAspireのご協賛で今回のアンドラ・ウルトラトレイルを現地からレポートしました。

昨年までは6月末に開催されていたこの大会ですが、今年は7月中旬の開催に変更されました。標高2000m–3000mのテクニカルな山岳地帯を進むコースは残雪も少なめ。大会期間中の7月15日金曜日から17日日曜日まで、雲ひとつない快晴という絶好のコンディションの中で大会は開催されました。

170kmのロンダ・デル・シム/Ronda dels Cimsは7月15日金曜日午前7時(日本時間同日午後2時)にオルディノ / Ordinoの町をスタート。男子のレースは事前に上位が見込まれていた数人のランナーがレースをリードします。

序盤のコマ・アーカリス / Coma Arcalis(32km地点)ではペップ・バレスター / Pep Ballester(スペイン)がリード、2分差で昨年3位のナウエル・パセラ / Nahuel Passerat(フランス)、そこから4分で地元アンドラのルイス・サンビサンテ / Lluis Sanvicente。 4番手には昨年のL’Chappee Belleで山本健一に次ぐ男子3位だったニコラ・バッシ / Nicola Bassi(イタリア)。ここでは山本健一 / Kenichi Yamamotoはトップから18分差の10位、僅差で / Yoshikazu Haraも続いていました。

47km地点には崩れやすい岩、砂礫を進む長く急な登りという難所を経て到着するコマ・ペドローサ / Coma Pedrosaの山頂(2,941m)があります。穏やかな天候で360度の視界が広がる山頂に最初に到着したのはバセラ。30秒差でバレスター、トップから5分差でサンビサンテ、6分差でバッシ、11分差でエド・バルセロ / Eduardo Barcelo-Mendoza(アンドラ)。この5人に、トップから19分差で山頂に到着した山本健一が加わって、この後の上位陣のレースが展開します。

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朝日を浴びながら快調に進む山本健一。© Carlos Llerandi Ariño Visuals / AUTV

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優勝したナウエル・パサラがコマ・ペドローサに到着。© David Ariño_Ariño Visuals / AUTV

コル・デ・ラ・ボテラ / Coll de la Botella(61km地点)では地元の期待を集めていたサンビサンテがリタイア。山本健一はトップから25分の5位。ここから75km地点の大エイド、マルジネダ / Marginedaを経て再び大きな山岳エリアに入り、上位選手は夜を徹してサポートクルーがアクセスできない深い山の中を走ります。夜が明けて到着したパス・デ・ラ・カサ / Pas de la Casa(130km)ではバッシを先頭に、パサラ、山本、バレスターが数分差で続いて到着。優勝争いは再び振り出しに戻りました。

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コマペドローサ山頂から駆けおりる山本健一。満面の笑みで雄叫びをあげながら猛スピードで駆け下りた。

ここからリードを奪ったのはパサラでした。インクレス / Incles(142km)では2位で続く山本に9分差をつけ、リードはコム・デ・ヤン / Coms de Jan(150km)で24分、ソルテニー / Refugi Sorteny(158km)で44分と拡大。結局、ナウエル・パサラが31時間33分22秒でオルディノにフィニッシュし、初優勝を勝ち取りました。現在31歳のパサラはピレネー山脈のフランス側の麓に在住。昨年のこの大会では33時間2分で3位。普段からピレネーの山を友達と走るのを楽しんでいるというパサラは、レース中にあんパンを食べるなど大の日本通でした。

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山本健一はパサラから57分差、32時間30分33秒でフィニッシュして2位に。今回はスタートからフィニッシュまで故障もなく体調も優れ、アンドラの山々の壮大な眺めを楽しみながら自分の力を出し切ることができた、とレース後に話しました。持ち前の明るい人柄で、コースで応援している人たちには笑顔と片言のカタルーニャ語で応えていて、今回も大会で一番の人気を集める存在となりました。3位にはバッシが32時間43分で続きました。昨年のフランスのL’Chappee Belleでも一緒に表彰台に立った山本健一とフィニッシュラインでお互いの健闘を称え合いました。

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笑顔でフィニッシュした山本健一 / Kenichi Yamamoto、32時間28分で2位に。

このほか、日本関係では原良和がマルジネダ / Margineda(75km)でリタイア。テクニカルな登山コースに手を焼きながらも、一時は10位台の後半まで順位を上げましたが、レース後に「コースのあまりの険しさ、断崖絶壁や鎖場の連続に肝を冷やし、神経をすり減らしてしまった」と話しました。原の新境地への挑戦は少々苦い結果となりました。このほか61歳の吉田洋介 / Yosuke Yoshidaさんが昨年に続いて今回もこの大会を58時間30分で完走、年代別一位となる健闘を見せました。菊池伸明 / Nobuaki Kikuchiさんは相撲取りのコスチュームで170kmに挑戦。惜しくも完走はなりませんでしたが、コマ・ペドローサをはじめコースの核心部をこのユニークな扮装で駆け抜け、大会スタッフや地元の観客の皆さんの注目を集めていました。

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原良和は「高所恐怖症なんです」といいながらも難所のコマペドローサを通過。しかし危険箇所の通過に神経を使ったという。

女子のレースはイタリアの長距離トレイルのエキスパート、リサ・ボルザニ / Lisa Borzaniが終始レースをリードして37時間25分で優勝。2位にミッシー・ゴスニー / Missy Gosney(アメリカ)、3位にマルタ・ポレッティ / Marta Poretti(イタリア)が続きました。日本からの参加で、UTMFで上位常連の伴明美 / Akemi Banは53時間40分で女子8位に。昨年優勝のネレア・マルチネス / Nerea Martínez(スペイン)はリタイアしています。

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女子優勝のリサ・ボルザニ / Lisa Borzani。© Carlos Llerandi_Ariño Visuals / AUTV

参加資格を満たした約450人のランナーが参加した今年のロンダ・デル・シム / Ronda dels Cims 170kmは62時間の制限時間の最終ランナーとして日曜日の午後8時32分、61時間32分でブルーノ・ベルヘーゲ / Bruno Verhaegheさんが大勢の応援に見守られてフィニッシュ。完走率は63%となりました。このほか、大会史上最年少、19歳のトマス・ステベラク / Tomas Stverakさん(チェコ)が37時間16分7秒で完走したほか、距離は42kmながら、途中で険しい岩場を通過するマラト / Marato dels Cimsでは78歳のユルゲン・クルメイ / Juergen Kuhlmeyさんが11時間11分44秒で完走したことも話題となりました。

当サイトの記事でもご紹介したように、アンドラ・ウルトラトレイル、とりわけ距離が最も長い170km / 13500mD+のロンダ・デル・シムは世界で最も過酷で最も美しい100マイルトレイルランニング・イベントの一つです。日本のファンとしては、山本健一が後半にかけて徐々に順位を上げていく鮮やかなレースで2位に入ったことはうれしいニュースとなりました。レース後に山本に聞いたところ、レース中は走りながら上位の選手とおしゃべりしていたとのこと。フィニッシュ後も、優勝したナウエル・パサラや3位のニコラ・バッシと和やかにお互いの健闘を称え合い、しばらく話が尽きないといった様子でした。後でパサラに聞いたところ、自身も決して有名なレースで優勝を狙いに行くようなタイプではないといいます。世界屈指のトレイルランニング大会であり、これからも注目を高めていくに違いありませんが、この大会の目指すところは、UTMBのようなトップ選手が勢ぞろいする世界選手権とは違うところにあるようです。その意味では、トレイルランニングの人気が高まる前の、古き良き雰囲気を残していこうという意思を感じた大会でした。

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長時間、アンドラのトレイルを一緒に楽しんだ3人がフィニッシュラインで再会。右から2位の山本健一、優勝のナウエル・パサラ、3位のニコラ・バッシ。

今回の当サイトのレポートは170kmのロンダ・デル・シムを中心にお送りしましたが、アンドラ・ウルトラトレイルはほかにも83kmのセレストレイル / 、42kmのマラト / Marató dels Cims、10kmのファンランイベントであるソリダリトレイルが開催されました。すべてのレースがオルディノをスタート・フィニッシュするのですが、それぞれのコースは単に170kmの一部だけを切り取っているわけではありません。中でも42kmのマラトは他のレースでは通らない、険しい岩場、鎖場が連続するパートを含んでいて、独立した「スカイレース」としての魅力を持っていると感じました。日本のトレイルランニング、スカイランニングの幅広い愛好家の皆さんにとって見逃せない魅力を放っています。

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コースには次々と本格的な山岳パートが現れる。© Stephane Salerno / AUTV

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42kmのマラトのコース。170kmのコースには含まれない、カサマーニャ / Casamanyaのピークを越える。© Carlos Llerandi_Ariño Visuals / AUTV

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こちらも42kmのマラトのコース。一部ではあるが、かなりテクニカルな岩場があるスリリングなコース。© Stephane Salerno / AUTV

ピレネー山脈の中で、美しい自然と充実した滞在が楽しめる街と村が共存する小さな国・アンドラ公国は、トレイルランニングというスポーツにとっても独自の光を放つ存在として人気を高めそうです。

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ロンダ・デル・シム/Ronda dels Cims(170km / 13,500mD+) リザルト

参加者全員のリザルトは大会ウェブサイトをごらんください。スタートが予定されていた午前7時ちょうどから約2分遅れたため、公式タイムは以下から若干ずれる可能性があります。

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アンドラ・ウルトラトレイル Ultra Trail 170k Ronda dels Cimsの表彰式。左端の山本健一 / Kenichi Yamamotoのほか、男女上位3人ずつが表彰台に立ちました。

男子 / Men

  1. ナウエル・パサラ / Nahuel Passerat(フランス) 31:33:22
  2. 山本健一 / Kenichi Yamamoto(日本) 32:30:33
  3. ニコラ・バッシ / Nicola Bassi(イタリア) 32:43:10
  4. ペップ・バレスター / Pep Ballester(スペイン) 33:02:52
  5. トマソ・マツォーリ / Tomaso Mazzoli(イタリア) 35:21:24
  6. レジス・クーメンジェ / Régis Coumenges(フランス) 35:41:08
  7. エンリコ・ビオラ / Enrico Viola(イタリア) 36:10:55
  8. トーミン・イスンツァ / Txomin Isuntza(スペイン) 36:24:25
  9. ミゲル・マタイ / Miguel Mataix(スペイン) 36:24:25
  10. ローレン・ドローイン / Laurent Drouin(フランス) 37:04:49

女子 / Women

  1. リサ・ボルザニ / Lisa Borzani(イタリア) 37:25:20
  2. ミッシー・ゴスニー / Melissa Gosney(アメリカ) 39:52:14
  3. マルタ・ポレッティ / Marta Poretti(イタリア) 40:49:31
  4. アンナ・マリン / Anna Marin(フィンランド) 42:17:59
  5. モナ・ケルズバーグ / Mona Kjeldsberg(ノルウェー) 44:30:26
  6. ジョー・ジョージア・マンタ / Jo Georgia Manta(ギリシャ) 51:41:24
  7. マルホレン・ビル / Marjolein Bil(オランダ) 52:38:00
  8. 伴明美 / Akemi Ban(日本) 53:40:26
  9. アン-マリ・ボーシェル / Anne-Marie Vauchel(フランス) 55:04:50
  10. ハリエット・キアー / Harriet Kjaer(デンマーク) 56:42:48
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