【編者より:今年も12月30日から1月1日にかけて開催されたウルトラトレイル・タイモーシャン / Ultra Trail Tai Mo Shanは年々人気が高まっていて、今年も日本からたくさんのみなさんが参加しました。松永紘明 Hiroaki Matsunagaさんはこの大会で2016年の元旦の100マイルのレースで3位、2017年の元旦の50kmのレースで4位となっていて大会では有名な存在。今年も年末の香港で50kmのトレイルランニングレース「YTF」に参加して準優勝した松永さんにレースレポートを寄稿していただきました。】
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大晦日の午前9時にタイトン(Tai Tong、大棠)をスタート。地元香港の参加者にとっては便利なバス停のすぐ横。台湾からの招待選手、チョウ・チン Chou Ching、昨年のYTFで優勝している香港のマックス・ラウ Max Lauの両選手と私の3人で最初のロード2キロはキロ4分ペースで進む。ここでトレイルへの入り口を両選手が間違えたため、私が先頭に立つことに。小刻みなアップダウン、両側が開け左手奥にはこれぞ香港と思わせる、超高層ビルの数々がみえる。
そのままCP1(Fung Kat Heung、蓬吉郷、12.5km地点)まで進む。コースはここから山を4つ越える。まずは標高わずか585mの圭角山(Kai Kung Leng)。ここは開けた牧草地のような山で、景色と山の雰囲気は今回のコースでは一番。多くの登山者と一緒に景色を楽しんだ。ここで一度は5分弱ほどは離れたはずのチョウ・チン選手が背後に。彼は追いついてくるのに少し追い込んだせいか、下りでは何度もバランスを崩していた。二人で一緒にSCP2(Ta Shek Wu、打石湖、19.5km地点)に到着。補給を済ませてエイドを出発するタイムの差で、私が再び先頭を走る。しかし、しばらくするとチョウ・チン選手に追いつかれ、その後はジリジリと彼の背中が見えなくなった。
2つ目の山は稜線が長く細いため景色は良好。CP2(Kadoorie Farm and Botanic Garden、嘉道理農場、27.5km地点)では先頭と3分差の2位。この後に現れたのがコース最高峰の四方山(Sze Fong Shan、標高780m)。麓は森の中で山頂付近は岩山のためここも山頂からしばらく景色を楽しめる。世界的な大都会のすぐ横に山々があるため景色は新鮮。ここからCP3(Wun Yiu、39.5km地点)までの下りが要注意で、藪に近い箇所や斜めに伸びる竹林がコースに覆いかぶさるようになっているところがあってこのコースで一番のワイルドポイントなのだ。ここを集中して下ればあとは最後の山、草山(Grassy Hill、標高640m)だ。登り切ったあと、最後はロードと階段メインの下りで一気にこれぞ香港と言うべきビル街(フォータン、Fo Tan、火炭)へゴール。結果、トップと11分差で準優勝となった。優勝のチョウ・チン選手と私の二人は、大会記録を上回るタイムだった。
雪と氷の新潟から春の香港にやってきて走った今回のYTFで、晴れて乾いた土の上で集中した中で楽しく苦しむことができ、来た甲斐ありの旅だった。主催者、すべてのボランティアの皆さま、スポンサーの皆さまを始め関係者の皆さま本当にありがとうございます。
【YTF 50k・男子リザルト】
- 1位 チョウ・チン Chou Ching(台湾) 6時間4分
- 2位 松永紘明 Hiroaki Matsunaga(日本) 6時間15分
- 3位 マックス・ラウ Max Lau(香港) 6時間28分
松永紘明(まつなが・ひろあき)1980年2月生まれ、静岡県出身。少年時代からサッカーに打ち込み、そのトレーニングのために山を走り始める。大学生でハセツネCUPに出場してから、ウルトラトレイル・デュ・モンブラン(現・UTMB®)をはじめとする国内外のトレイルランニングレースで活躍。現在は「トレイルランナーズ」代表として新潟県を拠点にトレイルランニングなどのアウトドアスポーツイベントの主催・プロデュースにも力を注いでいる。スポンサーにTHE NORTH FACE、C3fit、SHOTZ、ROOMEAT、MAGMA、New-hale、ZEN、Creer hair、パートナーズプロジェクト税理士法人、ラーメン三宝亭、田村義肢製作所、朝日酒造、高田建築事務所、米萬商店。