一般のトレイルランナーにも関係あり?ITRAがコースのカテゴリー分けを刷新

ITRA-logoITRA(国際トレイルランニング協会)は2月13日にトレイルランニングの距離や累積高度によるコースのカテゴリー分けを改正することを発表しました。この変更により、コースのカテゴリーはITRAの審査により認められるITRAポイントに対応した7つに分けられることになります。同時にITRAポイントの算定の仕方もコースタイムを基準に見直され、一部には従来よりも1ポイント低いポイント数しか認められない場合も出てくることがありそうです。


今回のカテゴリー分けの改正がそれぞれのトレイルランニングの大会に直接影響することはないでしょうが、ITRAポイントの算定方法の見直しは、例えばUTMB®︎UTMFのように大会のエントリーに資格レースにITRAポイントが決められている場合に影響するでしょう。さらには資格レースとなっているレースが従来通りのITRAポイントを維持するためにコースを見直す、というような場合がありうるかもしれません。ITRAポイントの算定の仕方の変更は2019年からで、今年2018年中に開催されるレースについては算定の仕方は従来通りです。

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以下ではITRAのウェブサイトとニュースレターから、今回の変更についてご紹介します。

コースのカテゴリー分けの背景

ITRAでは2014年以来本格的に世界各地で開催されるトレイルランニングのレースとその結果のデータベースを蓄積しています。今日ではそのデータベースはのべ選手数は100万人以上、レース数は数万件を超えています。それらのデータベースの分析することでITRAがレースを審査して認めるITRAポイント(2015年より1から6の六段階)と、選手がそのコースを完走するために要する労力との間に、十分な相関関係があるかどうかを検証してきました。

その結果として、これまでITRAがトレイルランニングのコースを分類するために用いてきた4段階のカテゴリー(Ultra XL <100km以上>、Ultra L<70kmから99km>、Ultra M<42kmから69km>、Trail<42km未満>)はコースの距離のみの基づく分類で、同じ距離のコースであってもコースの特徴によって完走するためにかかる時間は全く違うという事実を反映していないことが課題となりました。この4段階のカテゴリーは、レースの結果をもとに選手の実力を数字で評価するITRA成績指数(Performance Index)を算出する際に、各選手について各カテゴリーの成績指数を算出する、という形で利用されていました。

変更点1・カテゴリーをITRAポイントに対応した7つに改正

トレイルランニングのコースを分類するカテゴリーは、従来のようにコースの距離のみを基準とするのではなく、ITRAが各レースの審査に当たって用いる距離と累積獲得高度から算出される計数に基づいて認定するITRAポイントに対応するカテゴリーに改めることとなります。

これによりカテゴリーはXXS(ITRAポイントが0)、XS(同じく1)、S(同じく2)、M(同じく3)、L(同じく4)、XL(同じく5)、XXL(同じく6)の7つとなります。

変更点2・ITRAポイントについてよりコースタイムと相関性を高めるために算出の仕方を修正

さらに、上記の新しいカテゴリー分けの基準となるITRAポイントの基準についても、コースを完走するために要する労力との相関性を高めるための修正が加えられます。

現在、ITRAポイントの基準となっているのは「キロメートル・エフォート Km-effort」と呼ばれる指標で、「コースの距離<km単位>」に「累積獲得高度<m単位>を100で割ったもの」を加えて四捨五入したものです。例えば50km 2,000mD+のコースは50+20でキロメートル・エフォートは70となります。

このキロメートル・エフォートの数値を、0(ITRAポイントなし)から6までの7段階に区切ります。この時、同じカテゴリーに該当するレースは選手に同程度の労力を要する、具体的には同程度のタイムでフィニッシュすることが望ましい、と考えます。

この観点から、それぞれのカテゴリーに属するレースについて選手が実際に完走に要した時間のばらつきをみると、カテゴリーの区切りとなるキロメートル・エフォートの数値を現在の数値から見直すことでばらつきが小さくなることがわかりました。

こうした見直しの結果は以下の表の通り。全般に修正前と比べると各カテゴリーのキロメートル・エフォートの基準となる数字は引き上げられることになります。この結果、従来認められたITRAポイントよりも一段低いITRAポイントとなるレースが出てくることが考えられます。例えば先の例の50km 2,000mD+はキロメートル・エフォートが70なので従来は3ポイントでしたが、修正後は2ポイントとなります。距離50kmのレースの場合は従来は累積獲得高度が1,500mD+以上であれば3ポイントだったのが、修正後は2,500mD+以上でないと3ポイントは認められなくなります。

新しいコースのカテゴリーとそれに対応するITRAポイント、およびそのITRAポイントに該当するキロメートル・エフォートのレンジの修正前後をまとめたもの。それぞれのカテゴリーのレースは同じレベルの選手(表では優勝するレベルの選手)が概ね同じくらいの時間で完走するように改められた。

変更のタイミング

ITRAでは変更点2のITRAポイントの算定の仕方の変更は2019年に開催されるレースから行うとしており、今年2018年中に開催されるレースについては算定の仕方は従来通りです。

変更点1のカテゴリーの見直しについては、2018年3月からITRA成績指数の算出に新カテゴリーを用いるとしています。これにより、各選手について算出されるカテゴリー別の成績指数は3月から新カテゴリーについて新たに算出される数値に置き換わることとなります。

以上はややテクニカルなお話で、ITRA成績指数が気になる有力選手や、ITRAの審査を受けている大会主催者以外の皆さんにはあまり関係がないことかもしれません。ただ、最初に紹介した通り、一般のトレイルランニング愛好家にも間接的に影響することもあるでしょう。

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