海外ではスカイランニングやウルトラトレイル・ワールドツアーの大会が開催され、当サイトの中の人はUTWTのレースであるmozart 100に参加しました。今週末は海外ではアメリカでWestern States、イタリアでLavaredo Ultra-Trailという二つの大きな大会が開催されるビッグ・ウィークエンドです。国内でもスパトレイル、黒姫、山中温泉などの大会が行われるほか、100kmウルトラマラソンのサロマ湖も開催されます。
(写真・mozart 100のコースより。Photo by Koichi Iwasa, DogsorCaravan)
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先週末のイベント
6月15日金曜日 – 6月17日日曜日: Zugspitz
- Zugspitz Ultratrail (100k): ドイツ南部、グライナウを拠点に開催。男子のレースはトフォル・カスタニエール Tofol Castañerとクリストファー・クレメンテ Cristofer Clementeのスペインの二選手がリード、最後数キロのダウンヒルまでもつれ込んだ勝負を制したのはカスタニエールで10時間59分3秒で優勝。48秒差でクレメンテが2位。17分差の3位はトーマス・ファーブマッハー Thomas Farbmacher(オーストリア)で2016年、17年の優勝者でした。女子のレースは女王・カロリーヌ・シャヴェロ Caroline Chaverot(フランス)が久々の快走をみせて12時間59分33秒で優勝。13時間11分で2位にクリステン・ベルグルント Kristin Berglund(スウェーデン、2016年優勝)、3位はマグダレナ・ラジャック Magdalena Laczak(ポーランド)でした。以上6人の選手はいずれもSalomonチームのアスリート。リザルトはこちら。
6月15日金曜日 – 16日土曜日: Bighorn 100
- Bighorn 100: アメリカ・ワイオミング州のビッグホーン国立森林公園で開催される歴史あるトレイルランニングレース。リザルトはこちら。
6月16日土曜日 – 17日日曜日: Red Bull白龍走、Mohican 100
- Red Bull 白龍走: 熊本県下益城郡美里町。石段3,333段、距離3,333mの上りレースです。今回は昨年の富士登山競走チャンピオンで学生時代の箱根駅伝5区の活躍でも知られる五郎谷俊 Shun Gorotaniが22分42秒で優勝。永里剛城 Goki Nagasatoが26分2秒で2位、荒木諭志 Satoshi Arakiが26分32秒で3位でした。この大会で優勝した経験を持つ川崎雄哉 Yuya Kawasakiは27分55秒で8位でした。女子はクルーパ理智が33分22秒で優勝、青木佐和が2位(36分22秒)、下村亜夕美が3位(36分32秒)で続きました。リザルトはこちら(公開され次第リンクします)。
- Mohican 100: アメリカ・オハイオ州で開催の100マイルトレイルランニングレース。リザルトはこちら(公開され次第リンクします)。
6月16日土曜日: mozart 100、Livigno、Broken Arrow、Eco Trail Stockholm
- mozart 100® (102.5k / 56.2k / 11.5k / 25.6k): オーストリア・ザルツブルグで開催され、105km 4600mD+のレースがUltra-Trail World Tourの第11戦でした。男子優勝はフロリアン・グラーゼル Florian Grasel(オーストリア)で10時間26分36秒。グラーゼルは昨年のUTMBで26位となっています。3分差の10時間29分でダミアン・ホール Damian Hall(イギリス)が2位、昨年優勝のアレクサンダー・ラベンスタイナー Alexander Rabensteiner(イタリア)が10時間32分で3位。女子でも開催国・オーストリアのマルティナ・トリンメル Martina Trimmelが11時間57分50秒で優勝。2位にサラ・モーウッド Sarah Morwood(イギリス)が12時間12分、3位にベロニカ・リンバーガー Veronika Limberger(オーストリア)でタイムは12時間21分。日本からの参加者では長田豪史 Goshi Osadaが男子51位(14時間37分)でした。当サイトの中の人、岩佐がこのレースに参戦したものの、59km地点で制限時間に間に合わずリタイア。今回のmozart 100については改めてレポートをお送りする予定です。リザルトはこちら。
- Livigno Skymarathon (35k): イタリアのアルプス山脈にあるリヴィーニョで開催された34km 2,500mD+のレースはミグラン・スカイランナー・ワールドシリーズのSky Classicカテゴリーの第3戦で、ランキング・ポイントが50%増しとなるボーナスレースでした。男子はペター・イングダール Petter Engdahl(スウェーデン)が3時間33分26秒で優勝。2位にパスカル・エグリ Pascal Egli(スイス)が3時間38分、3位はデビッド・シンクレア David Sinclair(アメリカ)で3時間39分。日本からは上田瑠偉 Ruy Uedaが参加し、3時間52分で8位でした。女子はスペインのラウラ・オルゲ Laura Orguèが終始レースをリードして4時間10分11秒で優勝。2位にシェイラ・アビレス Sheila Aviles(スペイン)が35秒差で続きました。3位はエリサ・デスコ Elisa Desco(イタリア、ドーピング違反により2010年から2年間の資格停止)でした。リザルトはこちら。
- Broken Arrow Sky Ultra – 52k, 26k, 10k, VK: アメリカ・カリフォルニア州・スコーバレーで開催。52kmのレースは ジミー・エラム Jimmy Elamが大会新記録の4時間54分で優勝。ユタ在住で注目レースでの勝利を勝ち取りました。女子でもメーガン・キンメル Megan Kimmelが大会記録を30分以上縮めて5時間30分で優勝しています。アメリカのスカイランナー・ナショナルシリーズのレースとなったのが26kmのレースでした。男子優勝はマックス・キング Max Kingで彼も昨年自身が更新した大会記録を8分短縮して2時間9分で優勝しました。女子優勝のダニ・モレノ Dani Morenoの2時間36分も大会記録を9分更新していて、この大会は記録更新ラッシュとなりました。リザルトはこちら。
- Eco Trail Stockholm (80k, 40k, 16k): スウェーデン・ストックホルム。街とその近郊の自然をつなぐ都市型トレイルランニングのイベント。リザルトはこちら。
6月17日日曜日:湯沢、Echigo、日光100km、青梅
- 湯沢スカイエクストリーム(55k、23k): ガーラ湯沢スキー場をメイン会場にした55kmと23kmのレース。55km男子は安藤晃英が7時間56分で優勝、⼩林俊介(8時間13分)、⼭本諒⾺(8時間28分)が続きました。女子は出場した3人のうち唯一のフィニッシャーである加藤揚子が9時間5分で優勝。23kmでは町田知宏が2時間33分、森美由紀が3時間37分でそれぞれ優勝しています。リザルトはこちら。
- Echigo Country Trail (53k):新潟県長岡市小国町~小千谷市。53km 2500mD+のレースは今年もAsia Trail Masterのシリーズ戦でした。先月のトレイル世界選手権で12位の荒木宏太が4時間46分の大会新記録で優勝。2位には小川壮太が5時間2分、3位は河野健一でした。永田務が4位、大瀬和文が5位に続いています。女子優勝は6時間16分で高島由佳子。2位の選手に30分以上の大差をつけました。2位はAsia Trail Masterのレースで優勝した経験を持つカロル・フックス Carole Fuchs(フランス)で6時間52分。リザルトはこちら。
- 日光100kmウルトラマラソン(100km、62km):栃木県日光市。ロードのウルトラマラソンでウルトラマラソン世界遺産シリーズの一戦でした。男子では今井清隆が7時間39分16秒で優勝。昨年2位の西原隆之が7時間41分で続きました。3位は佐々木智範(8時間4分)でした。女子は中山苑香が昨年の第一回大会の優勝記録を上回る8時間40分19秒の大会記録で優勝。吉田未歩(9時間7分)が2位、枝元香菜子(9時間44分)が3位でした。リザルトはこちら。
- 青梅市民体育大会トレイルラン(10k):東京都青梅市。風の子太陽の子広場をスタートし、青梅高水山トレイルランでおなじみのコースをたどる5kmを往復するコース。リザルトはこちら。
- 立山山麓トレイルラン(21km):富山県。今年で12回目を迎える大会で21km 1,980mD+のレースがスカイランニング北陸選手権の大会となっています。男子は宮川鉄也が2時間22分4秒で優勝、山下陽暉が1分46秒差の2位。さらに約1分の差で遠藤健太が3位でした。女子は広瀬悠が3時間30分44秒で優勝。6分差で森田泉が2位、湊美子が3位。長野県のレースの表彰台でおなじみの宮川を除いては男女のトップ3は北陸(新潟、富山、石川、福井)の在住者で閉められ、北陸選手権チャンピオンは19歳の山下と18歳の広瀬が獲得しました。リザルトはこちら。
今週末のイベント
6月21日木曜日 – 6月24日日曜日: Lavaredo
- The North Face® Lavaredo Ultra Trail (119k / 47k / 20k): イタリア北東部の山岳エリア、ドロミーティで開催。コルティーナ・ダンペッツォをスタート・フィニッシュ地点とする120km 5,800mD+のレースがUltra-Trail World Tourの第12戦、セリエ・レーベルの大会です。同じくUTWTのレースであるWestern Statesが同じ週末に開催されますが、今回のLavaredoの有力選手はかなり層が厚くなっています。男子では4月のUTMFで2位のパウ・カペル Pau Capell(スペイン)、昨年のCCC優勝のヘイデン・ホークス Hayden Hawks(アメリカ)、昨年のTDS優勝のミシェル・ランヌ Michel Lanne(フランス)、昨年UTMBで3位のティム・トレフソン Tim Tollefson(アメリカ)、そして今年1月のHong Kong 100で優勝のチー・ミン Min Qi(中国)が欧米のトップ選手と再び競います。女子では昨年のCCC優勝のクレア・ギャラハー Clare Gallagherをはじめ、キーリー・ヘニンガー Keely Henninger(今年のLake Sonoma優勝)、ケリー・ウルフ Kelly Wolf(今年のTarawera優勝)、ダーシー・ピセウ Darcy Piceu(昨年のHardrock 100で2位)などアメリカ勢が目立ちますが、昨年のUTMBチャンピオンのヌリア・ピカス Núria Picas(スペイン)やフェルナンダ・マシェール Fernanda Maciel(ブラジル)の名も。今年のHong Kong 100で優勝したヤオ・ミヤオ Miao Yao(中国)、2位のミラ・ライ Mira Rai(ネパール)、そして日本からは丹羽薫 Kaori Niwaがエントリーしています。スタートは22日金曜日の午後11時(日本時間23日土曜日午前6時)です。
6月23日土曜日 – 24日日曜日: Western States
- Western States 100: アメリカ・カリフォルニア州のスコーバレーをスタートし、シエラネバダ山脈を横断してオーバーンでフィニッシュ。アメリカで最初に始まった100マイルのレースで、こちらもUltra-Trail World Tourの第13戦、セリエ・レーベルの大会です。男子では昨年もUTMBで優勝しているウルトラトレイルの王者でありながら過去2回のウェスタンステイツでは勝利を手にしていないのにフランソワ・デンヌ François D’Haene(フランス)、一昨年昨年とドラマチックにレースをリードしながらも同じくドラマチックに散っているジム・ウォルムズレイ Jim Walmsleyがどんなレースをみせるか注目です。アメリカの若手で最近目覚ましい結果を出しているティム・フレリクス Tim Freriks、ジャレド・ヘイゼン Jared Hazen、マリオ・メンドーサ Mario Mendozaといった面々が勝機をつかむ展開も考えられます。このほか、過去にUTMFなど日本のレースに出場したジェフ・ブラウニング Jeff Browning、マーク・ハモンド Mark Hammond、ディドリク・ヘルマンセン Didrik Hermansen(ノルウェー)、シアトル在住の藤岡正純 Masazumi Fujiokaもエントリーしています。女子は4月のUTMFで優勝したコートニー・ドウォルター Courtney Dauwalterが初めてのウェスタンステイツながら優勝候補として注目されています。優勝経験者のケイシー・リックタイ Kaci Lickteigやステファニー・ビオレ Stephanie Violettも今年のスタートラインに立ちます。ウェスタン・ステイツは23日土曜日午前5時(日本時間同日午後9時)にスタートします。
- West Highland Way 95m: イギリス・スコットランドのグラスゴー近郊で開催。95マイル(153km)の累積獲得高度は4,500mD+。
6月23日土曜日: Olympus、San Juan、黒姫
- Olympus Marathon (42.2km): ギリシャ神話で神々が住む山とされたオリンポス山を登る登山レース。古代遺跡で知られるディオンをスタート、標高2760mまで登ってリトホロへと下りる44km 3,200mD+のレースが、前週に続いてミグラン・スカイランナー・ワールドシリーズのSky Classicカテゴリー第4戦です。有力選手では開催国ギリシャのテオドラカコス・ディミトリオス Theodorakakos Dimitriosやスティービー・クレマー Stevie Kremmer(アメリカ)、アンナ・フロスト Anna Frost(ニュージーランド)、キリル・ニコロフ Kiril Nikolov(ブルガリア)といった名前が挙がっています。このほか、今年からは65kmのOlympus Ultraと4.25kmのOlympus Verticalの二つのレースが新設され、後者はVertical Kilometer World Circuitの一つになっています。
- San Juan Solstice 50m: コロラド州レイクシティで開催。コロラドでも非常に山深く、美しい高山帯が広がるサンフアン山地をコースとする大会です。
- “ROCKIN’ BEAR”黒姫トレイルランニングレース(42k/13k): 長野県信濃町。黒姫高原をスタートし、新潟県妙高市の笹ヶ峰牧場などをめぐって黒姫に戻るコースで開催。柴田幸生、リチャード・コグラン、土屋克則、駒村俊介、牧野公則、石井克弥がエントリーしています。
6月24日日曜日:サロマ湖、スパトレイル、両神山麓、山中温泉
- サロマ湖100kmウルトラマラソン(100k / 50k): 北海道北見市、湧別町、佐呂間町で開催、33回目となる国内100kmウルトラマラソンの最高峰で、今回も来年のIAU100km世界選手権の日本代表選考レースとなっています。
- スパトレイル〔四万to草津〕(72.3k / 38.2k): 群馬県の四万温泉から草津温泉草津国際スキー場へ向かうコースで開催。72.3k男子は宗石和久、三浦裕一、小林誠治、荒木諒、女子では望月千幸、林絵里、大庭知子、折戸小百合、秋山穂乃果、村井絢子がエントリー。
- 日本百名山・両神山麓トレイルラン(20.2km/10.7km/5.4km): 埼玉県小鹿野町。「新緑の奥武蔵 トレイルランシリーズ」の最終戦となります。
- OSJ山中温泉トレイルレース(76k, 31k): 石川県加賀市。山中温泉をメイン会場とする70kmを超える本格的な大会です。昨年までは10月下旬に開催されていましたが、今回は初夏の開催となっています。
- World Mountain Running Association Long Distance Championships(36.2km):トレイルランニングに似たスポーツで、より長い歴史を持つのがマウンテンランニング。その国際競技団体であるWMRAが主管するマウンテンランニング長距離世界選手権がポーランドで開催されます。カルパチという町を拠点に、チェコとの国境となるスニェシュカ山に登って下りる大小二つのループからなるコースの累積獲得高度は2,111mD+。コースは岩場のテクニカルなパートを含みます。出場選手のリストはこちらで、ヨーロッパ各国とアメリカが参加していて日本からは代表選手は参加していません。男子ではスカイランニングでおなじみのパスカル・エグリ Pascal Egli(スイス)、リッキー・ライトフット Ricky Lightfoot(イギリス)、IAUトレイル世界選手権で3位だったトーマス・エバンス Thomas Evans(イギリス)、ジョー・グレイ Joe Gray(アメリカ)が各国代表として参戦します。なお、WMRAが主管する世界選手権には(長距離でない)マウンテンランニング世界選手権もあり、今年は9月16日にアンドラで11.9km 1,028mD+(19歳以上の部)、7.3km 576mD+(16-19歳の部)というコースで開催されます。
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