7月最後の金曜日は伝統の山岳レースの開催日。当サイトでは今年も今週の7月27日(金)に開催される富士登山競走/Fuji Mountain Raceのフィニッシュとなる富士山頂から上位の結果をライブでお伝えします。第71回目となる今回は、昨年のこの大会で男女ともに山頂コース初挑戦で優勝した五郎谷俊 Shun Gorotaniと吉住友里 Yuri Yoshizumiが連覇を果たすかどうか、さらに大会新記録を達成できるか、に注目が集まります。
富士登山競走では恒例の当サイトによるライブ速報は、大会特別協賛のHOKA ONE ONEのご協賛によりお送りいたします。当サイトのTwitterアカウント(@Dogsorcaravan)をフォローしてお楽しみください。
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日本を代表する山岳競走のクラシック・イベント、今年はスカイランニング日本選手権としても開催
富士登山競走のメインイベントとなる山頂コースは過去の直近3大会のいずれかでのスタートから五合目までのタイム(五合目コースの完走タイムまたは山頂コース五合目関門の通過タイム)による参加資格が設けられています。合格ラインとなるタイムは68回大会(2015年)、69回大会(2016年)の分は2時間25分、70回大会(2017年)については2時間20分へと引き上げられています。
山頂コースは午前7時に富士吉田市役所をスタート。冨士浅間神社、馬返し、吉田口登山道を経て富士山頂(久須志神社)に至る21キロ、標高差3000mのコースで、フィニッシュ地点の山頂での制限時間は4時間30分です。コースはスタートから馬返しまでの11.4km(標高差680m)は概ね舗装路の上り坂となっており、スピードが求められる区間。馬返しから次第に木の階段の段差や石畳が現れて、いわゆるトレイルらしい雰囲気に。山小屋跡をつづら折りの急坂で辿った先に富士山五合目・佐藤小屋(15km地点、スタートから標高差1480m)に到着(山頂コースの五合目関門と五合目コースのフィニッシュゲートは場所が異なり、今回は前回とは互いに入れ替わっています)。
ここからは吉田口登山道を辿って山頂を目指します。富士山頂へとひたすら登りが続きますが、とりわけ山頂までの最後の山小屋となる八合五勺・御来光館(20.0km、標高3,450m)からの最後の1kmは溶岩の間を手づかみで登る難所となります。
富士山吉田口五合目までの15キロをコースとする五合目コースも並行して開催されます。スタートは午前8時半スタートで制限時間3時間30分。こちらは上記のように来年以降の山頂コース出場資格を得るためのレースという意味合いも持っています。
日本のシンボルである富士山に駆け登る貴重な機会であることに加えて、長い歴史を持つ富士登山競走はトレイルランナーだけでなくロードマラソンで活躍するランナーも集める日本を代表する山岳ランニング・レースです。
さらに今回はスカイランナー・ジャパンシリーズ Skyrunner Japan SeriesのSky Classicシリーズの第3戦として、シリーズ戦で活躍するアスリートも多数加わって、日本のスカイランニングの頂点ともいえる大会となります。なおSky Classicシリーズの年間チャンピオンは2019年10月に世界のトップ選手のみを集めて欧州で開催予定の「ザ・スカイ・マスターズ The Sky Masters」の出場資格を獲得できることになっています。
富士登山競走の現在のコースレコードは山頂コース男子が2時間27分41秒(第64回大会<2011年>、宮原徹)、女子が2時間51分36秒(第39回大会<1986年>、中島和子)。五合目コースは男子が1時間17分5秒(第69回大会<2016年>、五郎谷俊)、女子が1時間32分12秒(第58回大会<2005年>、星野芳美)となっています。【追記・五合目コース男子の大会記録について訂正しました。2018.06.26】
有力選手紹介
そして、当サイト恒例の有力選手の紹介です。山頂コースで上位を目指す幅広い顔ぶれのランナーの皆さんを紹介します。
女子 Women
トレイルランニング・スカイランニングで目覚ましい活躍を見せる吉住友里 Yuri Yoshizumiの記録の中でも、昨年の富士登山競走で優勝したことはひときわ大きな話題となりました。山頂コース初挑戦での優勝、そして3時間1分17秒というタイムは30近く出ていなかった好タイムです(吉住のタイムを上回る優勝タイムは41回大会<1988年>の2時間56分31秒、40回大会<1987年>の2時間59分33秒(いずれも佐々木和子)、そしてき上記の第39回大会の大会記録のみです)。今シーズンは4月にSTYで優勝したことも話題になりましたが、今回も優勝候補の筆頭として連覇を目指します。
そして富士登山競走といえば小川ミーナ Mina Ogawa。3度の優勝(2011年、2012年、2015年)、2度の準優勝(2014年、2017年)と安定した実力の持ち主で自己ベストタイムは3時間7分51秒(2012年)。今シーズンは上田バーティカルレースで3位、昨年の尾瀬岩鞍VKで2位になっています。
このほか、荻原真紀 Maki Ogiwaraは2013年2位、2014年3位、2015年2位(自己ベストの3時間22分29秒)の実績を持ち、昨年は五合目コースに参加して4位。3年ぶりに山頂コースに参戦します。大庭知子 Tomoko Oobaもこの大会では上位の常連で2015年に自身の最高位となる3位(自己ベストの3時間28分8秒)になっています。今シーズンはUTMFで12位、北丹沢で女子総合6位、スパトレイルで5位。そしてクイーン・大石由美子 Yumiko Oishiも今回の富士登山競走に参戦。これまで2015年に4位(自己ベスト、3時間33分16秒)、2017年に3位でした。今シーズンは美ヶ原80kで優勝しています。
さらに以下の皆さんにも注目です。
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浅原かおり Kaori Asahara: 2017年に4位(3:46:35)。
- 長坂恵子 Keiko Nagasawa: この大会では上位常連で最高位は2012年の3位(3:30:42)。昨年2017年は7位(3:53:55)。
- 鈴木遥 Haruka Suzuki: 2015年に5位(3:36:09)、2017年8位(3:57:56)。
- 石川純子 Junko Ishikawa: 2011年に9位(3:47:48)。
- 岩永瑛子 Eiko Iwanaga: 2017年9位(3:58:35)。
- 太田美紀子 Mikiko Ota: 2017年10位(3:59:04)。
- 遠藤麻美 Asami Endo: 昨年の五合目コースで7位。
- 平山真由美 Mayumi Hirayama: 昨年の五合目コースで8位。
- 平川裕子 Yuko Hirakawa: 昨年の五合目コース10位。
- 星野芳美 Yoshimi Hoshino: 富士登山競走で5回優勝のレジェンド(52回、53回<五合目打切り>、54回、55回、63回)。最近では2012年の65回大会で2位(3:25:14)。
- 折戸小百合 Sayuri Orito: 今年の志賀マウンテントレイル40kで3位。
- 須藤吉仕子 Kishiko Suto: 今年の上田スカイレース、びわ湖バレイスカイレースでそれぞれ5位。
- 狩野幸子 Sachiko Kano: 今年のロッキンベア黒姫42kで3位。
- 加藤揚子 Yoko Kato: 昨年の上州武尊山120kで2位、尾瀬岩鞍VKで3位、今年のUTMFで11位。
男子 Men
2016年の箱根駅伝で山登りの区間として知られる五区で区間3位となった実績を引っさげて昨年、山頂コースに挑んだのが五郎谷俊 Shun Gorotani。周囲が注目する中で優勝を勝ち取り、そのタイムは2時間31分34秒。宮原徹の持つ大会記録に3分53秒差まで迫る歴代2位のタイムでした。2回目の挑戦となる今年はやはり大会新記録を出せるかが注目されます。今シーズンは5月に上田バーティカルレースに出場して6位に。9月に開催されるスカイランニング世界選手権(スコットランド)ではVKカテゴリーの日本代表として出場予定です。
今回の出場選手のこれまでの記録では五郎谷が飛び抜けていますが、その後には実力の伯仲した選手が揃います。
加藤聡 Satoshi Katoは富士登山競走では2011年に2位、12年に3位、13年、14年、17年は2位という成績を残していて、残しているのは優勝だけ。自己ベストは2:41:11(2011年)です。今回も五郎谷のレース運び次第では加藤に優勝のチャンスもあるかもしれません。昨年はスカイランニングアジア選手権・Zao Skyrunningで上田瑠偉に続いて2位になっています。
昨年、自己ベストの2:48:43を記録して3位になった江本英卓 Suguru Emotoも富士登山競走では上位常連です。昨年のスカイランニングアジア選手権・Zao Skyrunningでは10位。
宮川朋史 Tomofumi Miyagawaは昨年の4位(2:52:59)。昨年のスカイランニングアジア選手権・Zao Skyrunningでは7位、びわ湖バレイVKで3位になっています。
ベテラン勢の中で期待したいのは小川壮太 Sota Ogawa。日本を代表する山岳スポーツの第一人者として知られる小川は当サイトの手元のデータでは過去6回の山頂コースは欠かさず参戦していずれも2時間50分台でトップ10以内。自己最高の順位・タイムは2012年の2位(2:50:58)です。昨年は5位(2:53:41)でした。
近藤敬仁 Yoshihito Kondoが富士登山競走に出場するなら、上位入賞候補として注目しないわけにはいきません。この大会での最近の記録は2015年の20位。それ以前では2011年に3位(2:48:26)、2012年に5位(2:55:14)となっています。今年は5月の上田スカイレースで2位でした。
さらにトップ10入りを目指す選手として、各地の大会で活躍する次の皆さんに注目です。
- 石井克弥 Katsuya Ishii : 昨年6位(2:54:05)、自己ベストの順位・タイムは2011年の4位(2:50:55)。
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牛田美樹 Miki Ushida : 昨年7位(2:54:48)。今年のSTYで優勝。
- 宮川鉄也 Tetsuya Migawa : 昨年13位(2:59:58)、2015年に3位(2:50:28)。
- 千田尚孝 Naotaka Senda : 昨年9位(2:55:35)。
吉原稔 Minoru Yoshihara : 昨年10位(2:56:28)。【追記・吉原は都合によりスタートしません。20180726】- 高橋幸二 Koji Takahashi : 昨年11位(2:57:05)、2015年4位(2:51:45)。
- 岩永浩明 Hiroaki Iwanaga : 昨年12位(2:57:33)。
さらに次の皆さんも今年の山頂コースのスタートラインに立ちます。
- 岡嶋智己 Tomomi Okajima : 昨年14位。
- 松本陽介 Yosuke Matsumoto : 昨年15位。
- 細木郁生 Ikuo Hosoki : 昨年16位。
- 斎藤良介 Ryosuke Saito : 昨年18位。
- 真田卓也 Takuya Sanada : 昨年20位、2014年6位。
- 高瀬裕行 Hiroyuki Takase : 2015年11位。
- 武田直樹 Naoki Takeda : 2012年9位。
- 横山忠男 Tadao Yokoyama : 2011年7位。
- 貝瀬淳 Jun Kaise : 2013年7位。
- 野永健宏 Takehiro Nonaga : 昨年五合目4位。
- 三輪博基 Hiroki Miwa : 昨年五合目5位。
- 高村純太 Junta Takamura : 昨年五合目7位。
- 藤飛翔 Tsubasa Fuji : 今年の経ヶ岳VLで2位。
- 工藤祐輔 Yusuke Kudo : 今年のびわ湖バレイスカイレース5位。
- 吉田岳生 Takeo Yoshida : 今年の上田スカイレースで4位、びわ湖バレイスカイレース2位。
- 星野和昭 Kazuaki Hoshino : 今年のびわ湖バレイスカイレース優勝。