井上千鶴さん・レースでも仕事でも「DNF」しないために必要なこと Count Down to UTMF 最終回【PR by THE NORTH FACE】

UTMF開催を記念したコラボレーションで、STRAVA上で開催中のバーチャルイベント「UTMF2019 -Virtual STY」は本日最終日です。4月11日木曜日からUTMF開催前日まで今日までにSTYの92kmに相当する距離を走るというチャレンジ、まだ「完走」していない方はあともうワンプッシュです。そして今年のウルトラ・トレイルマウントフジ Ultra-Trail Mt. Fuji(UTMF)は4月26日金曜日正午に迫っています。

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THE NORTH FACESTRAVA、UTMFによるバーチャルイベントを記念して、UTMFに参加する方を紹介する連載記事「Count Down to UTMF」は今回が最終回となりました。今回登場するのは井上千鶴さん。UTMFでは2014年に初めて完走して以来、2015年、2018年と毎回完走していて、昨年2018年は33時間14分で女子15位となりました。今年は4度目のUTMFにエントリーしている井上さんは、実はIT・通信企業の社長として通信ビジネスの最前線に立つビジネスパーソンとしても知られています。井上さんとトレイルランニングとの出会い、ビジネスとトレイルランニングの関わり、についてお話を聞きました。

(写真・UTMBを走る井上千鶴さん。)

ハードコアなウルトラトレイルランナーは実はIT企業の社長

井上千鶴(いのうえちづる)さん:兵庫県出身。株式会社MAYA SYSTEM代表取締役社長。デッカーズジャパンのスポーツブランドGMとしてHOKA ONE ONEなどの日本での責任者を務めた経験も。トレイルランニングを始めたのは2008年に初開催のMadarao 50kを19位で完走した時から。

井上千鶴さんが走っているのはUTMFだけではなく、UTMB®︎もすでに3回完走しています。それもただ完走しているわけではなく、着実にタイムは前回よりも縮めています。かと思えば砂漠のステージレースにも挑戦の幅を広げて、2017年にはPatagoniaで女子5位、2018年にはGobi Marchで女子3位に。いずれも必要な装備と食料を背負って6つのステージで約250kmというハードな大会です。「以前は、UTMB参加の2週間後にUTMFや、昨年はゴビ砂漠でステージレースを走って3週間後にはモンブランへと出発など。さすがにちょっと無理をしましたね。今年はもう少し一つ一つの大会にしっかり取り組みたいです。」と話す井上さんは日本のトレイルランニング・コミュニティの中では知る人ぞ知るハードでタフなアスリートです。

ただ、そんな井上さんのもう一つの顔はトレイルランニング界ではまだあまり知られていないかも知れません。ビジネスパーソンとしての井上さんは新卒で入社したNTTからMicrosoftやAppleに転職。英国MBA留学も経験し、ロレアルに転じてランコムなどの高級化粧品を複数統括し、EC事業の立ち上げや事業拡大、デジタルマーケティングの責任者として実績を上げます。そして現在は、株式会社MAYA SYSTEMの代表取締役社長に就任。「クラウドSIMテクノロジー」を搭載した、SIM不要の世界スマホ「jetfon」海外wifiルーター「jetfi」などの端末機器を展開する、という通信の最先端を切り拓くビジネスの世界に挑戦しています。

「平日はなかなか練習時間が取れないのが悩みですが、激坂練習に参加したり、週末はランニング仲間でいつも励まし合っている近藤みどりさんと30㎞~50㎞など長距離を走ったり、夏は高地練習のため、富士山に行ったりしています。ストイックに頑張っているメンバの多い、チーム100マイルの仲間との練習もとても刺激になります。何より自然のマイナスイオンを感じて爽快、リフレッシュ出来ます。」

井上さんにとってはスケジュールの調整からレースは始まっています。1週間にわたるPatagoniaのレースの参加直前にベルリン出張が入った時は、いったん参加を諦めたことも。しかし、その後1年前から予約していたフライトを全部取り直し、ステージレースの荷物持参でベルリンへ。仕事を終えたあと、そのままブエノスアイレスへ飛んでレースに参加。結局、地球を一周して帰ってきたといいますから、DNSもしない!というスピリッツも見えてきました。

「4 Deserts」のシリーズ戦の一つとして開催されたPatagoniaも井上さんには思い出のあるレース。過酷な環境のこのステージレースで女子5位になっている(左手の青いシャツとタイツ姿が井上さん)。

自然の中で自分の進化(上達)を感じられるのが楽しい

ビジネスで成功したら次はスポーツに打ち込む、という経営者の話はよく聞く気がします。しかし井上さんのスポーツ好きは筋金入り。学生時代はソフトボール部、剣道では初段、大学では体育会ハンドボール部。関西学生リーグでは得点王だったとか。社会人になってからはスキー、ウィンドサーフィン、ゴルフ、テニスと様々なスポーツを楽しんでいます。特にスキーは東京都スキー連盟のクラブに所属しシーズン入りするとほぼ毎週ゲレンデへ。基礎スキーのインストラクタの免許も持っています。

「最近では壮大な景色や大自然を楽しめるスキーやトレイルランニングにひかれます。澄んだ空気の中で日が差し込む森や山の美しさを感じ、風や川の音、鳥のさえずりを聞くとリフレッシュ出来ます。」

しかし、井上さんはのんびり自然を楽しむだけでは飽き足りなくなってくるようです。

「トレイルランニングの場合なら同じレースを目指していても、STRAVAで目標に向けて計画した練習量をしっかり守る人もいれば、自分が楽しめることが大事という人もいて、仲間のそれぞれの楽しみ方に個性があるのが面白いですね。私の場合は、ただ楽しくスポーツをするというより、技術の向上や、常に進化したい、それにより達成感を味わいたいと思ってトレーニングも楽しんでいます。ステージレースは1週間、自給自足で食べ物を背負って250㎞も走るので、B2B練習として外輪山2周チャレンジや、富士山山頂まで2往復など、不可能と思っていたことにチャレンジできるのも、仲間もいて楽しいですね。」

昨年8月に開催されたGobi Marchは6つのステージであわせて250kmを走る過酷なレース。このレースで井上千鶴さんは女子3位になった。

仕事もトレランも想定通りにいかないことはある、トラブルをチャンスととらえアクションする。「DNF」をしない、がモットー!

井上さんとのお話の最後では、やっぱり気になる、ビジネスにも通用するトレイルランニングから学んだことについて聞いてみました。

「どんな仕事をされている方でも同じだと思いますが、仕事とトレイルランニングはどちらも『山あり谷あり』なのは同じですね。自分の状態や目の前の状況を冷静に分析し対応しなければならないことも同じかな。あとは進み続けていればゴールは近づく、目標を達成できる、と常に前向きに諦めず、着実に解決方法を実践する事が大事なのも同じですね。周りから、いつもポジティブで明るいですね、といわれます。」

ビジネスでは真剣勝負で臨む。

実は井上さんはこれまで一度スタートしたレースではリタイアしたことがありません。さらに、井上さんがペーサーを務めたレースではランナーを必ず完走まで後押ししているのだとか。

「胃腸トラブルや急な雷雨など、もう止めるしかないと思った時も、ゴールまでの行程を逆算し、一度ペースダウンしたり休んだりすれば、と解決策を探し出し試行錯誤していくんです。特に100マイルやステージレースでは途中で必ずトラブルにみまわれるので、それを諦めず解決し続ける力が大事だと思っています。」

「ペーサーをする場合は、選手の体調が崩れても、少しずつ食べれるものを考えて補給、ペースと関門とコースを計算し、そうして体を動かしているうちに少しでも回復してきたら『このまま進めば絶対完走できる、これは脳の錯覚(笑)、みんな同じで苦しいよ』などとメンタル面からもサポートし、ランナーが安心して走れるように心がけます。私とランすると楽しく笑っておしゃべりしているうちにこんなに走っちゃった!と言われるのが嬉しいです。仕事でですか?仕事はもう少し複雑ですけれど、経営者として諦めずに目標に邁進する、その戦略を立て、実践するのは同じです。」

昨年2018年のOSJ KOUMI 100でランニング仲間の近藤みどりさんとペーサーの井上千鶴さん(右)がフィニッシュ。近藤みどりさんは年代別優勝を果たした。

お話を伺ったのは今年のUTMFのスタートまであと数日という時。「まだ仕事の調整が必要なんですけど準備は整っています。今回は4回目ですから、スタートからフィニッシュまで、自分の力を出し切るようなレースにしたいと思っています。」と話してくれました。

井上千鶴さんのウルトラトレイル・マウントフジの旅は4月26日金曜日の正午にスタートします。

(協力:THE NORTH FACE